039:六月二四日 アストランチア(二四)
やっぱり知ってる顔って安心する。我久くんみたいに極端なラフな格好の人もいれば、PTA役員っぽい浅田さんとか、スーツ姿のままで遅れてくるキャリア丸出しの人や、いかにもな同窓会スーツの人もいて、そんな中で私のリフォームブラウスは正解だった。
「谷口」って旧姓で呼ばれると教室の風景が思い起こされた。
「順子の息子、◯▢中学なんだって?」
「教えてよ、入試の秘訣。」
「うちも、来年受験なの!」
そんな風に言われて鼻の高い想いをした。
「で、順子は?専業主婦なんだっけ?」
「パートもしてないの?」
こう言われると少なからず劣等感を感じた。
「でも、ひとり息子も名門中学で、この後はエスカレーター式で心配もないから家庭円満ってとこでしょう?」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?