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ああ、寂しい。悔しい。醜い。


私はあの頃を知らない。”みんな”が知るあの頃を知らない。
感動を知らない。喜びを知らない。感動して胸がギュっとなったみたいな感覚も知らない。だってその時のことを知らないんだから。

それが少し寂しい。

その輪の中に今は入ってるはずなのに、もっともっと狭い輪の中で語られている過去を知らないことが寂しい。
そして悔しい。長く永くそこにいるからこそ知ることができた過去を。その時の感動を。喜びを。胸がギュっとなった感覚も。

どうしたって私は過去の出来事として、ピリオドを打って完結した後に知る。だから文章を綴っているリアルタイムを味わえない。
いいな、いいよね。あなたはその過去を体験してるのだから。あなたとあの人とあの頃のみんなと一緒に、同じ景色を見たんだから。その思い出を呼び起こせて何度も酔うことができるのだから。

同じ島にいると思ってたけど、どうやらそれは違ったらしい。個々の島がくっついていただけに過ぎなくて、そこから更にふるいにかけられ、あの頃を共有できる島同士がくっついて、知らない島は波に揺られてふわふわとその場から離れていく。あの頃を共有してくっついた島から少しずつ離れていく。個へと自覚する。 

途端、急激な孤独感に襲われる。これだから内輪というのは苦手だ、みんなという言葉に抵抗があるんだと思い出す。


ああほんと、寂しくて悔しくて苦しい。
ふわふわ、ゆらゆらと水面に浮かんで目から海の雫を流す。

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