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安い女、なわけじゃないのよ。

仕事で遅くなったので、普段はあまり行かない24時間営業の激安スーパーに行った。

入り口を入るや否や、山積みの板チョコレートに迎えられた。
ああ、バレンタイン前だしね、なんて思いつつその値段に一瞬、足が止まった。

78円!

2ヶ月ほど前、これの10枚入りボックスを2箱、サプライズでプレゼントしてもらった。
チョコに目がない私。
大人買いのチョコの束を受け取った顔が、普段見せないほど満面の笑みだったらしく、プレゼントしてくれた当人に「ホントに好きなんだねー」と笑われた。

そう、スーパーの店頭で私の足を止めたのは、あのときの歓喜に金額がついてしまったからだった。
そうか、あのうれしさは1,560円だったのかー。
世の中には知らない方がいいことも多い。ちょっと興醒め。

でも、78円の板チョコを20枚ももらえることと、それをしあわせだと思えるのこと、どちらも私、しあわせだなぁと思う。

板チョコ20枚もあれば、昭和アイドルさながらにかじりつく、子どもの頃から憧れた贅沢な食べ方だってできる。一度に何枚も食べたっていい。
だけれども、2ヶ月経ってもまだ、大事に、ひとかけずつ食べている私。つくづく庶民。

もちろん、数粒で3,000円とか5,000円とかする、ピエールさんやジャンさんのショコラもおいしいし、食べたいんだけれどね。
日本の板チョコ、好きでよかった。


毎年、この時期は百貨店のバレンタインチョコ会場をはしごし、試食しまくるのがお決まりだった。
大阪に住んでいたころに友だちに「高級なチョコでも、聞いたら奥から試食が出てくんねんで」とワザも伝授された。
「本命チョコやのに、味見もせんと買うとかできひんわ」の精神で、ひるまず試食に挑むメンタルの強さも鍛えられた。

今年はこのご時世でチョコ売り場にも行きづらい。
ネットか地元の専門店でも覗いてみよっかな、と思ったけど、いやむしろ、板チョコ箱買いでもうれしいんじゃない?
私だけ?

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