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しょーもなく、でも多分しあわせな日常。

またやってしまった。

それはそれは振り返るのもアホらしいほど、どーでもいいことで始まる親子げんかで、「あーもう、私なんか死んでしまえばいいのに」とダークサイドまで落ちてしまう、よくある自己嫌悪のスパイラル。

嫌われる勇気』を読んで以来「これは私の課題ではない」と、できるだけ人の問題には踏み込まないように注意しているものの、家族と住んでいるとついつい発した配慮に欠いた、もしくは踏み込みすぎたひとことをきっかけに言葉の応酬となり、精神をすり減らす結果となることがままある。

昨夜は「ゲームする前にお風呂行っとけば?」と「テレビのヴォリュームちょっと下げて」が地雷となった。まったくもって、しょーもない。
血は争えないもので、口げんかが始まると、親子どちらも引き下がらない。執念深く自分の正当を主張し、相手を非難し続け、「もうやめようや」という休戦の提案ですら、「そっちがしつこく言ってるから続いてるだけじゃん」と、受け入れられない。
腹立たしさとアホらしさと情けなさが入り混じった状態で、冒頭の心境に達した私は、いつもなら車で家出して現実逃避するところだが、あいにく風呂上がりのパジャマ姿で出かけるのもおっくう。仕方なく自室に強制退場を決め込んだ。

仕事用の資料の映画を一本見たところで眠ってしまい、深夜3時に目が覚めた。洗面台でつけっぱなしだったコンタクトレンズを外し、歯磨きをしようと思ったら、なぜか自分の歯ブラシがない。そういえば同居する母が洗面所を使っていたからキッチンで歯磨きしたんだったわと思い出し、キッチンへ。すると食器洗い用のスポンジや洗剤たちと一緒に置かれた、完全に掃除用に格下げされた自分の歯ブラシを発見する。あー、先週おろしたばかりの歯ブラシなのに。
70代も後半で、日々の言動に急激な老いが目立つ母が、キッチンに置かれたままの歯ブラシを掃除用と思う事は責められない。置きっぱなしにした自分を呪いながら、歯間用の極細歯ブラシでなんとか急場をしのいで、波乱の1日は幕を閉じた。

前夜のあれこれは前夜のこととして、何事もなかったかのように翌日を迎えるのが我が家の暗黙のルール。息子は高校へ、私は仕事、といつもの日常のはずだった。

夕方、締め切り前の集中タイムに息子からの着信。押し殺した声は怒りに震え、なんなら泣き出しそうだった。こういう時は注意深く。話を聞くと、以前から折り合いが悪かった先生に授業態度を注意され、「生徒指導室にいうぞ」と脅された、と怒っている。若い先生なんだろう。生意気な生徒に腹立つのも分かるが、推薦入試を目前に控えた生徒に適当な発言とは思えない。息子は先回りして生徒指導室にことの顛末を伝えに行ったという。こういう時の行動力はすこぶるよい。
とにかく頭に血が上っているのをなんとかなだめ、私がすることといえば学校へ電話。生徒指導の先生に「息子が面倒かけてすみません」と謝罪し、モンスターペアレンツと思われないよう細心の注意を払いつつ、推薦に影響ないですよねの確認を済ませた。幸い入学時から知っている先生だったので、「息子さんの性格もよく知っているので大丈夫です」と言ってくれた。問題の先生に聞き取りもしますとのこと。ほんと、お手間をおかけしてすみません。
生徒指導の先生とのやりとりをLINEしてたおかげか、息子はすっかり落ち着いて、あっけらかんとした表情で帰ってきた。

世の中にはいろんな人がいて、いい人もいっぱいいるけど、嫌な人も合わない人もいっぱいいるんだよ。嫌いな人を変えるためにマイナスなエネルギーを使わず、自分のエネルギーは自分のために使いなさい。そんな事を切々と語りながらも、あー、私、偉そうになに言ってんだかなと我にかえり、どっと疲れた昨日と今日のできごとでした。

ほんとしょーもないけど、おもしろいと思えばおもしろい。LIFE is CONTENTS。
こーいう日常を人はしあわせというのかもしれないね。

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