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マジ文章書けないんだけど! ~特許の出願書類の書き方で最も重要なこととは?

『マジ文章書けないんだけど!』という本が話題になっています。

日本語の難しさの一例として、松田聖子さんの『赤いスイートピー』の歌詞を例に挙げて、助詞の「が」と「は」の違いで、主語が変わって、意味がまったく変わってしまうという内容は、なかなか面白いなと感じました。

①『あなたが 時計をチラッと見るたび 泣きそうな気分になるの』
②『あなたは 時計をチラッと見るたび 泣きそうな気分になるの』

①と②で、泣きそうな気分になるのはだれ?

●特許の出願書類の書き方で最も重要なこととは?

特許の出願書類では、読み手によって解釈が変わるような曖昧な文章はNGです。特許の出願書類の書き方で最も重要なのは「明確さ」です。

ちなみに一昔前であれば、なんとなく曖昧に書いておけば、あとで都合がいい解釈が可能だからむしろいいんだみたいな考え方があったようでしたが、現行法ではそんな考え方は百害あって一利なしです。

また、日本語を曖昧にしてしまうと、外国語に翻訳する際に、誤訳が生じるおそれがあります。

●特許の出願書類を明確にするには?

では、日本語の曖昧さ(特に、上記のような、主語のあいまいさ)をなくすにはどうすればいいかというお話しですが、特許の出願書類では、主語をとにかく文頭に書いてしまうのがいいようです。

例えば、上記①の文章では、主語は「わたし」ですから、以下の③のようにしてみましょう。

③『わたしは あなたが 時計をみるたび 悲しい気持ちになるの』

③は①よりも意味が明確です。外国語に翻訳する際に、誤訳が生じるおそれもありません。

ちなみに、③をgoogle翻訳で機械翻訳してみたら「I feel sad when you see the clock」でした!一方、①は見事に誤訳!(「You feel sad when you see a clock」)

日本語としてより自然なのは、主語と述語を近づけて『あなたが 時計をみるたび わたしは 悲しい気持ちになるの』とするか、あるいは歌詞のまま主語を省略するほうがいいのかも知れませんが、特許の出願書類では、「自然な日本語」よりも「明確な日本語」のほうが重要です。主語をとにかく文頭に書いてしまうのはおススメです。

●できるだけ短文にする

いかがでしたでしょうか。

ちなみに、明確な日本語にするもう一つの方法として、できるだけ短文にするというのがあります。当記事では、あえて長めの文章にしたり、主語の位置を変えたり、「は」と「が」が微妙な文章を多用したりしてみましたが、明確さや読みやすさはどうでしょうか。

このnoteでは、特許の審査官的な見地から、たまに特許の出願書類の書き方について記事を書いていますが、あまり偉そうなことを書くと、このnoteの書き方の悪い点を指摘されて墓穴を掘りますので、ほどほどにしておかないといけませんね(笑)

●YouTubeで音声でもご覧いただけます

●元ブログ(+αの情報あり)

https://www.tokkyoblog.com/archives/71132964.html

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東雲特許事務所(しののめ特許事務所)
弁理士 田村誠治(元特許庁審査官)
【東京都港区新橋】【東京都中央区八丁堀】【東京都北区田端】
【稀有な経歴】特許技術者→特許庁審査官→特許事務所運営

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