見出し画像

【Q&A】特許法第36条の拒絶理由を指摘されたのですが →審査官のアドバイスです

(Q)特許を出願して、審査を受けたところ、拒絶理由通知が届きました。特許法第36条を理由に、特許が拒絶されるということです。これはどういうことでしょうか?

(A)特許法第36条の拒絶理由は、審査官からのアドバイスです。拒絶理由通知の内容をよく読まれて、審査官の意図を把握して、適切に対応しましょう。

●特許法第36条の拒絶理由=記載不備を解消してくださいというアドバイス

特許法第36条(以下、単に36条)が指摘されるのは、主に次の2つの場合です。
・特許請求の範囲の請求項の記載が不明りょうである。
・(明細書や図面で)開示した内容よりも、(特許請求の範囲で)権利を求める内容の方が広い。

ざっくり言ってしまえば、出願書類の記載に、不備があるということです。別の言い方をすれば、特許になる前に記載不備を解消しておいた方がいいですよ、という審査官からのアドバイスです。

ですので、審査官からの指摘が明らかに誤解でない限り、審査官の指摘に従って対応しましょう。

●発明を正確に表現できていますか?

最もよくないのは、36条の指摘を受けたときに、「出願書類の記載不備?審査官はわたしの発明を理解してくれない!」のように、感情的になってしまうことです。

あなたの発明は、あなたの頭の中では当然に明確です。しかし、出願書類の記載の上では、頭の中の発明を、正確に表現できていないかも知れません。そうすると、出願書類は、明確とは言えない場合もあります。

●記載不備のまま特許になると・・・

また、こういう考え方もあります。

仮に、本当は出願書類に記載不備があるのに、審査官から、36条が指摘されないとしましょう。そのまま特許になったとしましょう。それで本当にいいでしょうか?

記載不備を残したまま特許になると、後から無用な争いになるおそれがあります。そして、その争いの時点では、書類の記載不備を解消できないかも知れません。最終的には、特許が無効とされたり、きわめて限定的な権利になったり、特許権を行使できなかったりすることがあります。

●審査官はあなたの発明をきちんと理解しています

36条の指摘は、出願書類の記載不備を事前に解消し、あなたの特許を適切なものにする、よい機会なのです。

ちなみに、審査官があなたの発明を理解してくれないということはありません。審査官があなたの発明を理解できないとしたら、そもそも、36条の指摘もできないのです(例えば、学校の授業で、わからないところがわかる子は先生に質問できますが、授業がまったく理解できない子は、質問すらできませんね。)。

審査官は、あなたの発明をきちんと理解した上で、記載不備があればそれを指摘してくれるのです。「拒絶理由」という言葉の響きはよくないですが、指摘してくれた審査官に、感謝してもいいくらいなのです。

●拒絶理由を否定的に考えるべきでない

いかがでしたでしょうか。36条の拒絶理由通知に対して、否定的に考えるべきでないことがご理解頂けたと思います。

実は、36条よりも指摘されることの多い拒絶理由として特許法第29条第2項(いわゆる発明の進歩性)がありますが、これについても、同様の考え方をすることができます。この点については、別の記事で述べたいと思います。

最後までお読みくださりありがとうございました。

●YouTubeで音声でもご覧いただけます。

●元ブログ(+αの情報あり)

********************************
【PR】個人様・社長様に特化&元特許審査官が運営する特許事務所!
「おすすめの特許事務所」「おすすめの弁理士」を目指します!
そんな東雲特許事務所(しののめ特許事務所)へのお問い合わせは、
お気軽にこちらからどうぞ!
https://www.patande.com/お問い合わせ/ 
(↑お問い合わせフォームが開くだけですのでご安心ください。)
********************************

東雲特許事務所(しののめ特許事務所)
弁理士 田村誠治(元特許庁審査官)
【東京都港区新橋】【東京都中央区八丁堀】【東京都北区田端】
【稀有な経歴】特許技術者→特許庁審査官→特許事務所運営

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?