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明細書に「~でもよい」と書けば特許の権利に含まれるか?【リライト版】

(Q)特許の出願書類の記載についてです。
「~であってもよい」「~してもよい」という例示表現をよく見ます。
その例示された内容が、特許の権利に含まれるということでしょうか?

(A)特許の権利範囲は、特許請求の範囲の記載内容で決まります。
例示した内容が特許の権利範囲に含まれるとは限りません。

例を挙げてみます。
特許請求の範囲に「肉が入ったカレー」と記載されていたとします。

明細書に①~⑤の内容が記載されているとどうなるでしょうか?

①「肉は、牛肉ではなく、鶏肉でもよい」
「鶏肉が入ったカレー」ということですね。鶏肉も肉です。
特許請求の範囲(特許の権利範囲)に含まれます。

②「肉は、一切れでもよい」
一切れでも、肉が入ったカレーです。
特許請求の範囲(特許の権利範囲)に含まれます。

③「肉ではなく、じゃがいもでもよい」
ちょっとさびしいカレーになりましたね。
肉が入ったカレーではないですね。
特許請求の範囲(特許の権利範囲)に含まれません。

④「カレーではなく、シチューでもよい」
もはやカレーですらありませんね。
特許請求の範囲(特許の権利範囲)に含まれません。

例だけだと分かりにくいかも知れません。
一般論を記載するとかえってわかりにくくなると思います。
ご参考になれば幸いです。
他の例もいろいろ考えてみるのもよろしいと思います。

ちなみに、上記とは本質的に違うものとして、例えば、
⑤「肉とは、肉のエキスでもよい」
のような表現があります。

用語の定義を変えてしまうものです。
この表現で「肉のエキスが入ったカレー」が権利範囲に含まれるか?
これについては、議論の余地があります。
個人的には、このような書き方は、好ましいとは思いません。
別の記事で述べたいと思います。

■いわゆるサポート要件について

特許の出願書類(公報)には、①のパターンが多いです。

明細書では、発明を実施するための形態を示します。
イメージとしては、
✔(抽象的な)発明について(具体的な)一実施例を説明します。
(例:「肉が入ったカレー」の一例で「牛肉が入ったカレー」)

ただ、発明は実施例(牛肉)に限定されるものではありません。
このために、①のような書き方をすることがあります。

①のような記載がないと、
✔発明の説明が十分にサポートされていないとして、特許が拒絶
✔権利範囲が限定される
などになることもあります。

この点については、また別の記事にしたいと思います。

<元記事>
明細書に「~でもよい」と書けば特許の権利に含まれるか?(2018年02月05日執筆)

<関連記事>当ブログのリライトについて
特許の過去記事をリライトします&YouTubeも【1文1行ブログ】

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