見出し画像

小学生の年賀はがきのアイデア(2)~アイデアの本質を考える

別の記事でご紹介した、小学生の年賀はがきのアイデアは、以下のとおりです。はたして、このアイデアで特許は取れるのでしょうか。

①まず、くじの番号をどこかに控えておきます。
②年賀はがきのくじの部分に、有色のテープを貼って、隠します。
③年賀はがきの裏面に、先ほど控えておいたくじの番号を、ボールペンで記載します。
④その上から、鉛筆で塗って、くじの番号が見えなくなるようにします。

さらに詳細はこちら
年賀はがきにちょっとしたイタズラをしてみる【工夫】【アイデア】

このアイデアで、特許を取るためには、どのように、特許を請求すればいいでしょうか。

例えば、この小学生が上記①~④の表現で特許を請求して、特許を取得したとします。
そうすると、他者に、①~④のどれか一つでも変えられたら、この小学生の特許権は及びません。
例えば、③のボールペンをサインペンにするだけで、特許権は及びません。

広い特許を取るためには、アイデアの本質(必須の要件)を考えることが重要です。

①~④について順に見ていきましょう。

①は、③のための布石です。くじの番号という情報を、なんらかの形で保持できればいいと言えます。
どこかに控える代わりに、頭で覚える、メモリーに保存する、写真に撮るなどなんでも構いません。
「どこかに控える」というのは、無用な限定です。

②の本質は、「くじ」を見えなくすることです。
これが実現できれば、「有色のテープ」でなくても構いません。
ただし、くじを傷付けてはいけないなど、前提となる条件があることも考慮すべきです。

③は、④のための布石です。
あとから④で、くじを表す際に、③のくじの番号が消滅しない必要があります。
これが実現できれば、「ボールペン」でなくても構いません。
例えば、④が銀箔であるなら、③は(消しゴムで消えてしまう)鉛筆でもいいわけです。

④の本質は、くじの番号を隠すことができ、あとから表すことができるようにすることです。

このように、アイデアの本質(必須の要件)を考えていきます。
そして、その必須の要件のみで、特許を請求します。

そうすると、特許を取ったとすれば、アイデアの本質そのものが権利となります。
構成がまったく違っていても、アイデアが同じものに対して、特許を主張できる可能性が高まります。

<例>アイデアが同じで、構成がまったく違う例
以下のA、Bの手段からなる年賀はがき加工装置。
A:年賀はがきのくじの番号をOCRで読み取り、その番号を、年賀はがきの裏面に印字する手段。
B:年賀はがきのくじの部分と、印字部分を、銀箔で覆う手段。

Aは、上記の①と③に対応し、Bは、上記の②と④に対応すると言えます。

もし、上記の①~④のまま特許になってしまったら、この「年賀はがき加工装置」に権利は及びません。
ところが、アイデアの本質だけで特許を取れれば、この「年賀はがき加工装置」に対しても、権利を主張できる可能性が高まります。

いかがでしたでしょうか。少し難しかったかも知れませんが、ご参考になれば幸いです。

次回は、「小学生の年賀はがきのアイデア」の3回目です。
そして、エピローグへと続きます。お楽しみに。

最後までお読みくださりありがとうございました。

●YouTubeで音声でもご覧いただけます

●元ブログ(+αの情報あり)

https://www.tokkyoblog.com/archives/19991403.html

********************************
【PR】個人様・社長様に特化&元特許審査官が運営する特許事務所!
「おすすめの特許事務所」「おすすめの弁理士」を目指します!
そんな東雲特許事務所(しののめ特許事務所)へのお問い合わせは、
お気軽にこちらからどうぞ!
https://www.patande.com/お問い合わせ/
(↑お問い合わせフォームが開くだけですのでご安心ください。)
********************************

東雲特許事務所(しののめ特許事務所)
弁理士 田村誠治(元特許庁審査官)
【東京都港区新橋】【東京都中央区八丁堀】【東京都北区田端】
【稀有な経歴】特許技術者→特許庁審査官→特許事務所運営

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?