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特許制度の必要性と時代の流れ ~屋根裏部屋の発明者vs企業の発明部隊
企業様からのご依頼で、特許のセミナーを行うことになりました。受講者は、特許にあまり詳しくない方から、特許のプロである知的財産権部の方までさまざまです。特許の審査ネタは複雑すぎる気もするし、そこで、ネタ探しの意味でもいろいろな本を読んでいます。
そんな中、20年ほど前に出版された本が数冊あります。わたしがこの世界に入るときに読んだ特許の入門書です。
本記事では、「特許制度の必要性と時代の流れ」について、それらの本の内容をアレンジしつつお話ししたいと思います。
●屋根裏部屋の発明者vs企業の発明部隊
特許制度のはじまりのころには、特許の保護対象は「屋根裏部屋の発明者」が主でした。むしろ、「屋根裏部屋の発明者」の保護を図るために、特許制度ができました。
ところが、近年(注:20年前における近年)においては、そのような「屋根裏部屋の発明者」はほとんど特許を取ることができなくなり、特許は、もっぱら「企業の発明部隊」によって占められるようになりました。
●発明に優劣はない
たしかに、一個人が屋根裏部屋で、例えばバイオテクノロジーやロケットの発明を創作することは難しいかも知れません。
しかし、バイオテクノロジーやロケットの発明が特許になるように、例えば、日用品の発明(屋根裏部屋で作れるもの)も特許になるのです。
そして、バイオテクノロジーやロケットの発明と、日用品の発明との間で、優劣をつける必要はありません。技術の高度性と、発明の高度性(進歩性)とは、方向性が異なるものです。
必要な特許を、必要な者が取ればいいだけのことです。単に住み分けの問題とも言えます。
●ネット社会で個人・小規模事業者に有利に
20年前と言えば、バブルの頃でしょうか。ネットもまだ現代のように普及していませんでした。
それから20年経った現在は、まさにネット社会です。一個人(屋根裏部屋の発明者)でも、さまざまな発明ができ、そして生産ができ、販売ができるようになりました。
特に近年では、消費者の趣味・嗜好が広く浅くになり、以前より大量消費の傾向が薄れたので、このことも屋根裏部屋の発明者にとって追い風と言えます。
また、技術分野にもよりますが、発明は現場で生まれるものも多いものです。必ずしも企業の発明部隊でなくても、例えば営業部や管理部や人事部の一個人が、発明のきっかけを作ることも多いものです。
●屋根裏部屋の発明者を目指してみてはいかがでしょうか!
いかがでしたでしょうか?
上記の話しを、大きく見れば、発明者の主役は、
個人→大手の企業→そして、再び個人
になったとは言えないでしょうか。
たしかに、特許の出願件数は、大手の企業が圧倒的多数を占めます。しかし、それには、特許の使い方に関するさまざまな事情もあります。
個人が主役!とまで言うのは大げさとしても、少なくとも近年は、個人や小規模事業の発明者にとって有利な状況であることは、間違いありません。
特許庁も、個人や小規模事業者に対して、特許手数料の軽減を行っています。
あなたもぜひ、屋根裏部屋の発明者を目指してみてはいかがでしょうか!
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東雲特許事務所(しののめ特許事務所)
弁理士 田村誠治(元特許庁審査官)
【東京都港区新橋】【東京都中央区八丁堀】【東京都北区田端】
【稀有な経歴】特許技術者→特許庁審査官→特許事務所運営
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