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同じ発明で請求項1と請求項nならどちらが特許になりやすいか(完結編)

タイトルは分かりにくかったかも知れません。
本事例は、以下のようなケースを想定しています。

<ケース1>
【請求項1】a+b+c+d

<ケース2>
【請求項1】a
【請求項2】a+b(引用形式請求項)
【請求項3】a+b+c(引用形式請求項)
【請求項4】a+b+c+d(引用形式請求項)

<ケース1>の請求項1と、<ケース2>の請求項4は同じ内容です。

どちらが特許になりやすいでしょうか?
逆に、どちらが特許になりにくい(拒絶されやすい)でしょうか?

■理論上

同じ内容(発明)ですので理論上は拒絶される可能性は同じはずです。

しかし、実務上はそうとも限りません。
そこで、それぞれの場合について、検討してみたいと思います。

(1)<ケース1>のほうが拒絶されやすい場合
(2)<ケース2>のほうが拒絶されやすい場合

■(1)<ケース1>の請求項1のほうが拒絶されやすい場合

この点については、こちらの記事をご覧ください。
同じ発明で請求項1と請求項nならどちらが特許になりやすいか

上記記事のポイントは、

✔請求項1が拒絶でないとすれば、いきなり特許にするしかない
→少しくらい弱い論理であっても拒絶になることがある

✔<ケース2>のほうが出願書類に多くの内容を開示しているから

■(2)<ケース2>の請求項4のほうが拒絶されやすい場合

本記事を書いたのは、こちらのケースを書きたかったからです。

日ごろから拒絶理由通知を研究しています。
この拒絶理由の論理は微妙だなという案件に、たびたび出会います。

出願人側が、適切に反論できていない可能性もあります。

例えば審査の過程で、審査官が文献を4つ見つけたとします。
構成要素a~dをそれぞれ開示する4つの文献です。

この場合、拒絶理由通知には、こんな記載がされることがあります。
・請求項1(a)は、引例1(a)があるので拒絶
・請求項2(a+b)は、引例2(b)があるので拒絶
・請求項3(a+b+c)は、引例3(c)があるので拒絶
・請求項4(a+b+c+d)は、引例4(d)があるので拒絶

請求項2や3くらいまでは妥当なことも多いでしょう。
請求項4くらいになると、本当にそう?となることもあります。

引例どうしの組み合わせが適切でないこともあるでしょう。
キーワード:阻害要因、容易の容易など

一方、もしこれが<ケース1>の請求項1だったらどうでしょう?
引例1~4でa+b+c+dになる論理を厳密に書かざるを得ません。

ところが<ケース2>の請求項4はざっくり拒絶になりがちです。
「dは引例4に開示されている、以上」みたいなこともあります。

高い山に、1日で登頂は無理でも、4日で少しずつ登れば可能?
そんなイメージです。いわゆる「困難の分割」ですね。

ざっくり拒絶されたときは、じっくり検討してみるのもいいですね。

いかがでしょうか?

拒絶されやすいされにくいはともかく、拒絶理由への対応は重要です。
本記事が少しでもご参考になれば幸いです。

本記事は下記記事から8年越しで続きを書いた完結編です!
今後もこんな形での記事も書いていきたいと思います。

<関連記事>
同じ発明で請求項1と請求項nならどちらが特許になりやすいか【リライト版】

同じ発明で請求項1と請求項nならどちらが特許になりやすいか(1/2)

●YouTubeで音声でもご覧いただけます

●元ブログ(+αの情報あり)

https://www.tokkyoblog.com/archives/89230908.html

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