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【Q&A】他社特許の侵害にならないようにするには、どうすればいいでしょうか?

(Q)このたび自社が販売する製品が、他社の特許と似ています。特許の侵害にならないようにするには、どのようにしたらよろしいでしょうか?

(A)まず、特許の内容を調べるために、特許公報を取り寄せます。以下のサイトでダウンロードできます。
「特許情報プラットフォーム|J-PlatPat」
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

特許公報において、【特許請求の範囲】の【請求項】に記載されている内容が、特許権の内容です。

【請求項】の記載は、なかなか難しい場合も多いですが、以下のようにお考えください。

●【請求項】の記載の考え方

例えば、他社特許の特許公報の請求項に、
【請求項1】AとBとを有する○○装置。
と記載されているとします。

(「Aを有し、Bであることを特徴とする○○装置」のような記載の仕方もありますが、以下、同様に考えることができます。)

あなたが販売しようとしている製品が、次のどれに当たるかを考えます。

(1)「AとBのみからなる装置」でしたら、この特許に触れることは、すぐお分かりと思います。

(2)このほかにも、AとBを有し、さらに他の要素も含む装置の場合、例えば、「A、B、C、Dからなる装置」も、この特許に触れます。C、Dを有しているとしても、AとBとを有することには変わりません。このため、この特許に触れます。

(3)逆に、「Aのみからなる装置」でしたら、この特許には触れません。

(4)一方、ご質問の「似ている」で補足しますと、例えば、Bと似ている(けど異なる)bについて、「Aとbからなる装置」でしたら、この特許には触れません(ただし、bがBの下位概念の場合を除く。)。

●<まとめ>他社特許の侵害にならないようにするためには、どうするか?

(3)のように、請求項の記載の一部を除外するか、(4)のように、請求項の記載の一部を変更すればいいことになります(除外と変更を、区別する必要がない場合もあります。)。

なお、特に着目すべきは、(4)です。
「AとBからなる装置」も「Aとbからなる装置」も、アイデアとしては同じという場合もあると思います。

しかし、特許とは、基本的に、請求項に記載された内容がすべてです。請求項にBと書いてあるのに、(似ているとは言え)それとは異なるbにまで特許権が及ぶのは、不合理です。

このように、アイデアが同じ(または類似)だからと言って、ただちに特許の侵害にはなるとは限りません。

ちなみにこのことは、逆に、特許を取得するときの請求項の記載の仕方の参考にもなります。

請求項にBと記載したら、Bだけの権利になるということです。Bだけでなく、bも含めた形で特許にしたいなら、そのような記載にする必要があります(例えば、Bとbをともに含む上位概念にするなど)。

●他社特許の侵害を防止するためのサービス(特許調査)

いかがでしたでしょうか。

なお、以上は、一般的・原則的な説明です。実際に、特許の内容と、製品とを比較する際は、必要に応じて、特許の専門家である弁理士にご相談ください(参考サービス名:鑑定、侵害予防調査)。

また、上記説明では、特許が有効であることを前提にしています。特許の有効性を確認したいときにも、弁理士にご相談ください(参考サービス名:特許有効性調査、特許無効調査、無効資料調査、情報提供向け資料収集)。

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東雲特許事務所(しののめ特許事務所)
弁理士 田村誠治(元特許庁審査官)
【東京都港区新橋】【東京都中央区八丁堀】【東京都北区田端】
【稀有な経歴】特許技術者→特許庁審査官→特許事務所運営

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