不用品販売と自作品販売の特許から見た決定的な違い【詳細】
先日、こんな記事を書きました。
不用品販売と自作品販売の特許から見た決定的な違い【概要】
上記記事ではポイントのみお伝えしました。
本記事はその詳細版です。
■不用品販売と自作品販売の特許から見た決定的な違い
ネット上で商品を売ることができるサービスがあります。
✔①買った商品が不要になったのでネットで売る(不用品販売)
✔②自分で作った商品をネットで売る(自作品販売)
具体的なサービス名は出しませんが、上記のようなサービスが知られています。
この①と②、どちらも個人で、ネットを使って、気軽にお金を稼げるサービスです。
社会情勢を反映したサービスですね。
副業解禁や、自粛要請や、断捨離などがキーワードですね。
ただ、この①と②は、特許という観点では、全く異なるビジネスモデルです。その商品に特許がある場合は、注意が必要なことがあります。
<結論>
✔①の不用品販売は、特許が問題になることはほとんどありません。
✔②の自作品販売は、特許が問題になることがあります。特許の権利侵害になることがあります。
<理由>
✔①の不用品販売は、商品を買った時点で、特許の権利者に利益が入ります。
✔②の自作品販売は、特許の権利者に、まったく利益が入りません。
<解説>
(1)特許は発明を独占できる権利
特許は発明を独占できる権利です。
特許を取った発明について、製造販売など独占して行うことができます。
この独占は、独り占めのようなネガティブはイメージではありません。
この点については、こちらの記事もご覧ください。
特許で発明を独占するのはシェアエコノミーになじまないか?
(2)②自作品販売について
すると、まず、②自作品販売は、特許権を侵害するものということになります。この点はすぐにお分かりいただけると思います。
なお、自作品販売が、個人であろうと、また、たとえ1個であろうと、原則として、特許権の侵害になります。
(3)①不用品販売について
順序が逆になりましたが、①不用品販売は、これとは事情が異なります。特許権の侵害になることはほとんどないでしょう。
①不用品販売も、形式的には特許発明を販売する行為ですので、侵害に当たるように見えます。
ただ、①の場合は、もともと商品を適正に買っています。
この段階で、特許の権利者には、適正な利益が確保されています。
つまり、特許の権利は、用い尽(つ)くされたと言えます。
特許権の用尽(ようじん)とか、消尽(しょうじん)などといいます。
たしかに、商品が何回も転売されたときに、特許権者が毎回利益を取るのは合理的とは言えませんね。
ですので、①不用品販売については、特許の侵害になることはほとんどないでしょう。
(4)自作品販売された商品を不用品販売することについて
上記で「ほとんど」というのは、例えば以下のような場合は、特許の侵害になることがあります。
②自作品販売された商品を買ったとします。それを①不用品販売した場合です。この場合は、特許の侵害になることがあります。
この場合、特許の権利者は、適正な利益が得られないからですね。
■各個人も特許の知識が必要な時代
いかがでしたでしょうか?
本記事の内容は、すべての取引事情を説明しきれていません。
ケースバイケースの部分もあります。
わからないことがありましたら、弁理士にご相談ください。
近年の社会情勢を踏まえると、法人だけでなく各個人も、特許など知的財産の知識が必要です。交通ルールのようなものです。事故にあわないようにしたいものですね。
本記事のような難しい内容については、今後も【要約】【詳細】など使い分けて、できるだけわかりやすく説明していきたいと思います。
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東雲特許事務所(しののめ特許事務所)
弁理士 田村誠治(元特許庁審査官)
【東京都港区新橋】【東京都中央区八丁堀】【東京都北区田端】
【稀有な経歴】特許技術者→特許庁審査官→特許事務所運営
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