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「前記」でうまく表現できない3すくみの構成要素とは?

(Q)特許請求の範囲の請求項において、「前記」でうまく表現できない場合はどうしたらいいでしょうか。

例えば、A、B、C、3つのものを定義するときに、
AはBによって定義でき、BはCによって定義でき、CはAによって定義できるとします。

【請求項1】
○○装置において、
①Aに接触するCと、
②前記Cに接触するBと、
③前記Bに接触するAと、
を備えたことを特徴とする○○装置。

③のAを定義する行では、それより前の①でAが出てきているので、「前記」が必要かと思います。

しかし、③を「前記Bに接触する前記Aと、」と記載すると、構成要素を列挙する「と、」の直前に、「前記」が来てしまい、違和感があります。

しかし、直そうにも、なかなかうまくいきません。
どうしたらいいでしょうか?

(A)お互いがお互いを定義し合うようなものがあります。
グー・チョキ・パーや、ヘビ・カエル・ナメクジなどの3すくみなどもこれに当たります。

たしかに、ご質問のように、「と、」で列挙し、その直前に「前記」が来ないようにすることを『決まり』とするならば、3すくみはうまく表現できません。

(決まりを少し変えることで、形式的に解消する方法は、いくつかあります(少なくとも2とおり考えてみてください。))

しかし、この問題の本質は、そこではありません。
そもそも、『決まり』とはなんでしょうか?

●特許公報を読むときは、形式ではなく、実体を見る

構成要素を「と、」の列挙で表現するとか、その直前に「前記」が来ないようにするなどというのは、たしかに主流の書き方です。

特許公報でも、このような主流の書き方を多く見ることができます。

しかし、本質的なのは、このような形式的なことではありません。
発明を明りょうに特定することです。

形式を重視するあまり、発明の本質が適切に表現されていなければ、意味がありません。

無理矢理に主流の書き方にするくらいなら、たとえマイナーな書き方でも、発明の本質を明りょうに表現すべきです。

みなさまには、ご自身で特許出願の書類を作成するときには、特許公報を読むことを勧めていますが、特許公報では、形式的な点ではなく、実体的な内容を見るようにしましょう。

●3すくみのパズルの答え

本記事は、ちょっと抽象的でしたが、言いたいことは伝わりましたでしょうか。
一応、3すくみのパズルの答えを2つほど記載しておきます。

【請求項1】
○○装置において、
Aと、Bと、Cと、を備え、
前記Aは、前記Bに接触し、
前記Bは、前記Cに接触し、
前記Cは、前記Aに接触することを特徴とする○○装置。

【請求項1】
○○装置において、
Aと、
前記Aに接触するCと、
前記Cに接触するBと、
を備え、
前記Aは、前記Bに接触することを特徴とする○○装置。

読み替えとして、A:グー、B:チョキ、C:パー、接触する→勝つ と読み替えるとわかりやすいかも知れません。

記載の仕方はどうあれ、発明の内容が明りょうであるならば、まったく問題はありません。

むしろ、発明のポイントがわかりやすくなるならば、あまり見かけないような記載の仕方をしてもよいくらいです。

いずれにしても、特許法や審査基準などに従うことは、最低限のルールです。
一方で、特許の出願書類には、こうした方がベター、という記載の仕方があります。

あなたにとって重要な発明のときには、その価値を最大限にするためにも、特許事務所(弁理士)へのご依頼もご検討ください。

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少しでもお役に立つ部分があれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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https://www.tokkyoblog.com/archives/60054779.html

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東雲特許事務所(しののめ特許事務所)
弁理士 田村誠治(元特許庁審査官)
【東京都港区新橋】【東京都中央区八丁堀】【東京都北区田端】
【稀有な経歴】特許技術者→特許庁審査官→特許事務所運営

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