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特許請求の範囲の読み方 アンド条件かオア条件か?

(Q)特許公報で以下のような特許発明を見つけました。

【請求項1】 特殊な皮むき手段と、特殊な芯取り手段と、を有するキッチン器具。

これは、特殊な皮むき器具と、特殊な芯取り器具の、どちらも特許になっているということでしょうか?

(A)そうではありません。
この特許は、特殊な皮むき手段と、特殊な芯取り手段の、「両方を有している」キッチン器具だけになります。「特殊な皮むき器具」だけの特許ではありませんし、「特殊な芯取り手段」だけの特許でもありません。

<補説>

●請求項に記載の構成要素は「アンド条件」

特許請求の範囲の請求項の記載は独特です。読み方(書き方)は、慣れが必要です。特許公報を読むときのほか、ご自身で特許出願書類を書くときもそうですし、特許事務所に出願書類を作成してもらってチェックするときも、ある程度の慣れ・知識が必要です。

発明の特定の仕方として、構成要素を列挙した書き方があります。「・・・と、・・・と、・・・と、・・・を有する○○装置」という書き方です。

この場合、「・・・と」で記載される構成要素は、「アンド条件」です。すべての構成要素を有する○○装置だけが、この発明ということです。

●請求項の記載と権利解釈

以上のことから、以下のことが言えます。

①他者の特許公報を見るとき

構成要素が一つでも欠けていたら、その特許には、原則として触れません。ご質問の例でいえば、「特殊な皮むき器具」をあなたが製造販売しても、原則として、この特許には触れません。「特殊な芯取り器具」についても同様です。

②あなたが特許出願するとき

特許請求の範囲の請求項には、あなたの発明に「必須な」「必要最小限の」構成だけを記載します。ご質問の例でいえば、「特殊な皮むき器具」だけで特許が欲しいのであれば、一つの同じ請求項の中に「特殊な芯取り手段」を記載すべきではありません。

③記載の長い請求項

一般に、「請求項の記載が長いのは良くない」と言われることがあります。もちろん、発明の内容によっては、必ずしもそうとは言えません。しかし、請求項に多くの内容がされていれば、それだけ権利範囲が狭くなりやすいのは、ご理解いただけると思います。

少しでもお役に立つ部分があれば幸いです。
最後までお読みくださりありがとうございました。

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●元ブログ(+αの情報あり)

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東雲特許事務所(しののめ特許事務所)
弁理士 田村誠治(元特許庁審査官)
【東京都港区新橋】【東京都中央区八丁堀】【東京都北区田端】
【稀有な経歴】特許技術者→特許庁審査官→特許事務所運営

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