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『冷やし甘酒』で学ぶ特許請求の範囲の書き方【リライト版】

スーパーで『冷やし甘酒』という缶飲料を見つけました。

「甘酒を冷やして飲む」というのは、一つのアイデアです。
ではこれで特許を取るにはどうしたらよいでしょうか。

例えば、
【特許請求の範囲】
【請求項1】 4℃以下に冷やして飲む甘酒。
でどうでしょうか。

単に「冷やして」だと、どの程度かわかりませんね。
そこで「4℃以下に冷やして」にしてみました。

しかし、これでは、特許は取れません。

その理由を、簡単に一言で言うと、
✔どんな甘酒が「4℃以下に冷やして飲む甘酒」に含まれるか不明

別の記事で『特許請求の範囲』の「範囲」の意味について書きました。
https://www.tokkyoblog.com/archives/9390828.html

請求項には、発明の(技術的)範囲を記載しなければなりません。

「4℃以下に冷やして飲む甘酒」の(技術的)範囲は不明りょうです。
どんな甘酒が「4℃以下に冷やして飲む甘酒」に含まれるか不明です。

以下、一般的な考え方を述べます。
発明の「構成・作用・効果」を考えてみるといいです。

・構成:発明がどのように構成されているか。構成要件を列挙する。
・作用:その構成に基づいてどのような作用(動作など)をするか。
・効果:その作用に応じて、どのような効果があるか。
(発明によっては、このように明確に区分できない場合もあります。)

特許請求の範囲の請求項には、発明の「構成」を書くのが一般的です。

発明の構成を記載することによって、
✔どのような物が、その発明の範囲に含まれるか(or含まれないか)が明りょうになります。

甘酒の例では、例えば以下のようになります。

【請求項1】 物質Aをa%と、物質Bをb%と、物質Cをc%含む甘酒。

・構成:3つの物質が所定割合で含まれることが分かります。
ある甘酒が、この発明の範囲に含まれるか否かが明りょうになります。
・作用:(例)冷やすと舌触りのよい甘酒になる。
・効果:冷やして飲むとおいしい。

作用と効果については、請求項には記載する必要はありません。
明細書(出願書類の一つ)に記載します。

「作用」の考え方(構成と効果の橋渡し)を理解するといいですね。
よりよい出願書類を作成することができます。

ご参考になれば幸いです。

<元記事>
『冷やし甘酒』で学ぶ特許請求の範囲の書き方(2014年07月10日執筆)

<関連記事>当ブログのリライトについて
特許の過去記事をリライトします&YouTubeも【1文1行ブログ】

●YouTubeで音声でもご覧いただけます

●元ブログ(+αの情報あり)

https://www.tokkyoblog.com/archives/89110338.html

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