【編集後記】NPO法人東京レインボープライド共同代表理事、杉山文野・山田なつみ
東京レインボープライド開催直前のお忙しい4月中旬、NPO法人東京レインボープライド(TRP)共同代表理事、お二人にゲスト出演いただいた。
山田なつみ(ez)さんは、2019年よりTRP共同代表理事とのことだが、実は、2012年からTRPのボランティアスタッフに関わっていたとのこと。TRPに関しては、山田なつみ(ez)さんの方が、杉山さんよりも少し先輩だ。TRPに関わるきっかけとなったのは、たまたま友達からのお誘いだったとのこと。それから毎年、「大人の部活」のような感覚で、現在に至るという。その友達がボランティア説明会のお誘いをしていなかったら、杉山文野さんとも出会ってなかったかも知れないし、もしかしたら違う人生を歩んでいたかもしれない。
一方、杉山文野さんは、TRPの共同代表になった2015年当時、全国での講演会や、その活動などがマスコミやメディアで取り上げられることも沢山あり、傍から見ると非常に華やかな印象を持つが、プライベートではパートナーと別れる危機があったり、毎日のようにお酒を飲んだりと、私生活はボロボロだったようだ。
これは余談だが、2015年3月末、同性カップルを家族として認める「パートナーシップ証明」を発行する全国初の条例案が、渋谷区議会の本会議で賛成多数された日、当日は多くのメディアがそのニュースを報じ、全国的にも大きな話題となったが、杉山さんはその日、朝までお酒を飲んでおり、家に帰る余裕もなく服装も昨日と同じまま二日酔いの中、記者会見に参加されたそうだ。
その他、カミングアウトをした際の周囲の受け止め方に違いがあった。杉山さんは、これまでに、ご両親との軋轢や葛藤があったり、パートナーとの関係についても先方の親御さんに中々、受け入れてもらえなかった。一方、山田さんは、親へのカミングアウトも、パートナーがいることの公表についても、周囲は温かく迎えてくれたそうだ。年齢的には、杉山さんの方が、山田さんよりも、5つほど年上だが、家庭や生まれ育った環境によって、こんなにも差があるのかと驚いた。
話を聞いて感じた共通点として、お二人とも最初から活動家を目指していなかったことだ。杉山文野さんは、2006年に処女作『ダブルハッピネス』を出版されたことが一つの転機となったと語っているが、当時はプライドパレードの存在を知らず、2007年にパレードの先頭を歩かないか?と依頼があったそうだが、それを断っている。山田なつみ(ez)さんも、当時は、LGBTQという言葉も知らず、社会的に何か活動したいという気持ちも一切なかった。それが、一度イベントに関わってみて楽しくて現在の活動になっていると語っている。
日本最大級のLGBTQイベントと呼ばれる東京レインボープライド。運営方針について、さまざまな意見や批判が飛んでくることも少なくない。年々、TRPの規模が大きくなるにつれ、公私ともにさまざまな変化があったお二人。2020年は初めてのオンライン開催ということで、戸惑いもたくさんあったと想像する。今後、TRPがどんな風に変化していくのか、成長が楽しみだ。
LGBTに関する活動を中心に行なっています。ぜひ一人でも多くの方に関心を持っていただけたら幸いです。サポートはすべて活動資金に使わせていただきます。