エピソード3(怒鳴り込んで来た納税者)
ハーイ、マックんです。
今回、確定申告期間中に税務署へ怒鳴り込んで来た納税者のお話です。
e-Tax(電子申告)が始まる前のことです。確定申告期間中、税務署の女性職員が、納付専用窓口で納付を受け付けており、多くの納税者の列できていました。
そこへ、何か怒鳴り込んできた納税者(作業着を着たおじさん)が、納付窓口の女性職員に向かって、何かを訴えています。
納付処理が止まってしまうと、大変なので、課長補佐であった私は、すぐに、おじさんを引き連れて、少し離れたカウンターへ誘導しました。
課長も同席し、おじさんからの事情聴取です。
おじさんは、個人事業主で確定申告時が始まってすぐに、還付申告をしたのに、本来、還付となるべき金額が、銀行預金から引き落とされているとの主張でした。
確かに還付申告書の控えを持っており、受付印があり、還付申告の事実は間違いありませんでした。
次に、引き落とされたという銀行通帳を我々の目前に差し出し、該当箇所を指さして、「ここを見ろ。還付申告金額が引き落とされているやろ。」
すぐさま、私は課長と目を見合わせて、課長がおもむろに、その通帳をおじさんの方に向けて、「これが、その金額ですね。隣の残高を見てください。上の段の残高から増えていますよね。なので、還付申告で請求された金額を税務署がこの銀行のあなたの通帳に振り込んだということです。」
おじさんは、「ぶあっぅ・・・」と言って、それから平謝りでした。
「気にしないでください。」と声をかけました。帰り際には、照れくさそうにして、先ほどの女性職員に対し、小さな声で「ごめんな。」と言って帰っていきました。
《 コメント 》
個人事業主のおじさんは、きっちり帳簿を付けているので、勘違いされたのでしょう。
現金出納帳や普通預金元帳は、左から日付、借方(金額増加)、貸方(金額減少)、残高の順に記載されています。
普通預金通帳は、左から日付、お支払金額、お預り金額、残高の順に記載されており、おじさんの帳面(一般の資産勘定帳)とは逆になっています。だから、おじさんは、普段、目にしている貸方(右側の金額減少)に還付されるべき金額が記帳されていたので、勘違いしてしまったと思われます。
預金者と銀行との預金契約は、民法上の寄託契約に相当するといわれており、銀行にしてみれば、預金というのは、預金者から金銭を預かっており、返さなければならない負債であり、ある意味、「借入金」です。
そうすると、預金通帳の記載は、負債勘定(例えば借入金)元帳の体裁であり、左から日付、借方(負債減少)、貸方(負債増加)、残高と同様であると聞いたことがあります。
【 よしっ、みんな、いったん、落ち着こう❣ 】
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