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【 中国によるEEZ内ブイ設置問題!ー 日本でなくなる日 ー その3 】

1 6月28日のAFPBB News より
 【6月28日 Xinhua News】中国外交部の毛寧(もう・ねい)報道官は27日の記者会見で、日本政府が25日に小笠原諸島の東側海域で大陸棚を12万平方キロメートル広げる政令を閣議決定したとの報道に、日本の行為は国連海洋法条約の規定と国際慣行に違反していると批判した。
 毛報道官は次のように述べた。中国は、国連の大陸棚限界委員会が2012年に日本の大陸棚延長申請に修正勧告したことに留意している。日本はこれまで、委員会の勧告に従い修正するどころか、一方的に主張を拡大してきた。日本の行為は国連海洋法条約の規定と国際慣行に違反している。沿岸国が委員会の勧告に基づいて画定した大陸棚境界こそ確定性と拘束力を持ち、そうでなければ国際社会で認められるべきではないと強調しておく必要がある。中国は、締約国の全ての大陸棚境界画定申請が国連海洋法条約の規定する「人類の共同の財産」の原則を厳格に守るべきだと考えている。国際海底域を浸食してはならず、国際社会全体の利益を損なってはならない。(c)Xinhua News/AFPBB News

2 中国の条約加盟と主張について
 中国は、国連海洋法条約とともに、大陸棚条約にも加盟しています。なので、上記1のような主張をしてきます。
 大陸棚条約によれば、沿岸国は大陸棚に対して探査し、その天然資源を開発するための主権的な権利行使をすることができるとするものです。
 しかし、中国は、国連海洋法条約に規定する「人類共同の利益」の原則を盾に、大陸棚境界について、異を唱えているものです。

3 日本のEEZ内へのブイ設置について
 中国による日本のEEZ(排他的経済水域)内へ構造物(ブイ)を設置する場合には、その沿岸国(日本)の許可が必要であるところ、無断で設置したことは、明らかに国連海洋法条約違反となります。
 日本政府は、ブイの即時撤去を求めるも中国が応じることなく、既成事実化された状態となっています。
 ブイから得られたデータを基に、アメリカで中国人学者による研究論文が発表されているとのことです。
 マスコミは、国連海洋法条約には、構造物(ブイ)撤去の規定が存しないことや費用負担の問題から、グレーゾーンであると報道しているが、法学者に確認していただきたい。条約や法令に、わざわざ、「違反した場合、どうするのか。」という規定はしません。違反した者が違反の状態を解消するというのが、当然の理です。
 そのような規定をしない理由としては、「行政処分には公定力がある」のと同様となります。
《解説》
 行政処分とは、公権力の行使として行われるものです。例えば、県が都市計画を策定し(行政処分)、土地収用を行い、道路が敷かれ、沿道にはスーパーマーケットができ、テナントの営業も始まったとします。
 土地収用(これも行政処分)された地権者が、都市計画処分は違法であり、当該違法性を承継した土地収用処分も違法であるから、県は当該土地収用処分を取り消し、収用された土地を原状回復して農地にして返還せよとの訴訟中であったところ、テナント営業まで始まった後に、裁判所が県の都市計画処分の違法性を認めたとしても、元の状態に戻すような判決は出せません。先行処分の都市計画処分には、公定力(違法な処分であっても当該処分が取り消されるまでは有効とする効力)があり、たとえ違法であっても有効であり、公共の利益を考慮し、農地という原状回復は困難であり、金銭により損害賠償しなさいとなります。すなわち、公権力の行使者が、違法な処分をした場合に、「必ず、取り消しなさい」という条文は存在しません。
 そもそも、この事象に当てはめると、グレーゾーンとの解釈の前に、中国(権力者)が日本を牛耳っていることになりますね。

4 日本国政府による初期対応誤り
 マスコミは、このタイトルのような評価をしていますが、その意見には、賛成します。「即時撤去」と求めたところで、撤去されなければ、意味がありません。
 本来、中国による日本国EEZ内へのブイ設置は、国連海洋法条約違反であることを指摘した上、「〇〇までに撤去せよ。」と期限を付し、「当該期限までに撤去されない場合には、日本国において、撤去をする。当該撤去費用については、中国政府に請求する。」「そして、支払がなければ、裁判手続を経て、日本国内にある中国財産を差し押さえる(凍結する)。」くらい通告する必要があったのです。
 今では、中国から「日本が無断で撤去するような行動にでれば、軍艦を派遣する。」とまで言われ、日本政府は、中国に対し、「ブイ設置の理由及び目的は何か?」と問い合わせる始末であり、中国からは、「津波が発生した際の中国沿岸への影響を考え、事前把握のためであり、日本の大陸棚を侵す意図はない。」という最もらしいことを述べられて、勝手放題、言いたい放題を許しています。

5 中国による軍事要塞について
 東南アジアの海上について、中国は、自国の領土、領海と勝手に主張し始め、埋め立てを行い、人工島が出現したと思いきや、戦闘機が離発着できる滑走路まで出来上がっており、空港施設関係者は、住居を構えています。
 日本も東南アジア諸国も懸念を表明するだけで、よいのでしょうか。紛争になるまで、国際問題にもならないのでしょうか。
 既成事実化されたブイは、そのうち、大きく堅固なものとなり、人工島になっていきますよ。手遅れになる前に、日本の軍艦を先に尖閣諸島へ向けて中国軍艦を牽制しながら、ブイを撤去することはできないのでしょうか。

6 政府への提案
 上記4において、中国は、「日本の大陸棚を侵す意図はない。」との発言に注目します。当然、軍事目的にも利用(転用)されていることは、間違いないのですが、政府の責任で、ブイ撤去ができないのであれば、中国に対し、「即時撤去を求める。設置が確認された日から撤去されるまでの期間中、当該構造物(ブイ)に対し、課税する。」と申し入れていただきたい。
 大陸棚までは、課税権が及ぶとの裁判例があります。国内法は、施政権下に及ぶのげ原則であり、通常、施政権下とは、領土、領海及び領空を指しますが、税法における施政権下といった場合、大陸棚にも及びます。
 中国は、大陸棚の海底天然資源には、手を出さないとの趣旨の答弁をしているので、逆手に取って、ブイそのもの又はブイから得られる利益(研究論文ができた以上、利得があったことには間違いない)などについて、課税するとしてはどうですか。
 松原 仁 先生 よろしくお願いいたします。

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