見出し画像

田舎の家探し

大阪から高知に移住して、この春で丸3年が経ちました。
高知出身の私と大阪出身の夫が出会い、大阪で暮らしていましたが、農業への転職を目指して高知へ移住。
移住当初は自分たちの家と仕事が決まるまで、私の実家にお世話になっていました。

夏には就農先が決まったものの、家がなかなか見つからず、実家にお世話になったまま通勤する日々。
田舎の家探しは、都会のようにすんなりとは進みません。
やっと就農先に近く、大阪から持ってきた荷物も全て入る町営住宅に入居できたのは、移住してから半年後のことでした。

私の実家がある四万十市と、就農先がある四万十町とは、車で片道1時間の距離があります。
四万十川で例えると、実家があるのは下流域、就農先は中流域にあたります。
距離にして約42㎞。

やっと自宅が見つかった2ヶ月後、父は肺がんでこの世を去りました。
なかなか就農先が決まらない間に少しでも農業の勉強になればと、父から日本みつばちの養蜂のノウハウやみかん畑の作業などを一通り教わっていた夫。
父が亡くなって管理者のいなくなった畑と日本みつばちを受け継ぎたいと申し出てくれました。

それからは、平日は四万十町の自宅で有機農家に就農。
週末は四万十市の実家でみかん畑と日本みつばちの養蜂。
まさに休みなし!の日々を2年以上続けています。

自宅と実家にかなり距離があるため、どうしても農作業優先になりがちで細かい作業が追いつかない日々。
そこにコロナも手伝って、この冬は2ヶ月ほど実家に帰れない時期がありました。
みつばちの巣箱のメンテナンスや商品開発など、実家まで行かなくともできる作業が自宅でできたなら!

その想いがつのり、今年は本格的に家探し&作業場探し&自給自足のための畑探しもはじめております。
全てを兼ね備えた家が見つかれば万々歳なのですが、理想と現実はそううまくは繋がらないのが世の常。
どんな家が見つかるのか、はたまた見つからないのか、田舎での家探しの現実も含めてお届けしていけたらと思っています。

時生屋の家探し

自宅のある四万十町は、四万十川中流域にあたる緑深い山間部。
コンビニもなければドラッグストアもなく、不動産屋もありません。

そんな地域での家探しは、人伝の情報が命綱。
地道に自分たちの足で出向いて空き家らしき民家を探し、ご近所の方にお話を伺ったり、役場の担当者さんに問い合わせたり。
元々民家が少ない上に、売りに出している物件はさらに限られるため、なかなか思うようには進みません。

そんな中、もし空き家が見つかったらできる限り自然エネルギーを循環させた家にしたいと、建築業の兄に相談して知り合った建築家さんから色々ヒントをいただき、辿り着いた2冊。

パーマカルチャーって最近よく聞くけど、日本ではまだまだ認知度も低くなにか定義が曖昧で、正直いまいちよくわかっていませんでした。

ですが、ビル・モリソン著の本に書いてある
『パーマカルチャーの基本理念は、自然に逆らうのではなく、自然に従うという理念である。
長期にわたる無思慮な労働ではなく、長期にわたる思慮深い観察をするのである。』
の言葉に、すんなりと腑に落ちました。

文化というものは、永続可能な農業と倫理的な土地利用という基盤なしには長くは続きえないものであるとも書かれていました。
本当にそうだと思います。
土地は人間のものではなく、地球から一時お借りしたものに過ぎません。
環境に負荷をかけず、人間がお借りすることによってより豊かな土地にするためにはどうすれば良いか?
それをデザインするのがパーマカルチャーだと。

そしてそんなパーマカルチャーな暮らし、地方移住と里山ライフをテーマにした雑誌「Soil mag. (ソイルマグ)」。

自然に従い足るを知り、自給自足の暮らしを実践している人たち、半農半Xな暮らしを実践している人やそのために必要な地方移住の様々な情報が載っています。

空き家や土地を探すにも、どんな暮らしがしたいのか、どんな家や土地にしたいのかという自分たちの理念が定まっていなければ、理想の暮らしは実現できません。
まずはそこをしっかりと具体化するうちに、自ずと場所が絞られてくるのかもしれませんね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?