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単体ワールド記事「PROJECT: SUMMER FLARE」について

ネタは新しいうちに打っておけということで現在のプレイの感想と評論について置いておきます。ネタバレを多分に含みますのでその辺はご了承を。

「PROJECT: SUMMER FLARE」とは?

ヨツミフレーム(@y23586)氏によるVRChatワールドコンテンツであり、アドベンチャー物語形式のワールドです。

「Exhibition˸ 1٪ of Virtuality」、などギミックアート展示系のワールドの他、難解謎解きワールド「アスタリスクの花言葉」で『おのれヨツミフレーム』という名言を生んだ同氏。今回も一年以上前から企画と制作を手掛けた肝いりという事で予告から公開まで大盛り上がり、数日経った今でも訪問者や感想が絶えません。後述しますがその盛り上がりに負けない出来のワールドであり、時間が経っても訪問する価値のあるコンテンツでしょう。

ワールド形式としての希少性

まず、ホラーでも謎解きでもない物語/アドベンチャー系のワールドってVRChat内ではかなり希少なのですよね。景色の良いワールド、楽しいパーティーゲームやシューティングゲームなワールドは数あれど本当に少ない。
むろんVRChatのメインはSNSでありますし複雑なゲームはワールド製作者としても実装が難しいものですから高望みするのも贅沢な話ですが、それをやりとげたという事で話題なっている面もあります。
それら好評は海外のプレイヤーからもあり(ワールド内のメッセージは英語対応しておりそこもすごい)、単に前作の期待や作者さんの知り合いだからというだけではないことが伺えます。

展開のワクワク感

タイトルとカバー画像は「夏の風景」であり説明も少なく実際にスタート地点はそうですから、予備知識なしではノスタルジーな夏の風景を楽しみ物語としてもそうした思い出が語られるのかな?と思うわけですが一段階目のギミックを解くと一変、いきなり無機質な建造物にワープしてSFめいた冒険が始まります。

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進行につれてそれはワープというより先ほどの夏の風景が仮想(AR/VR?)であること、主人公が世界を覆う異変に対抗するためのエージェントであることなどが開示され、あれよあれよという間に戦闘は起きアスレチックはさせられ様々な意味深なアイテムは出てきて、とSF/サイバー/SCPといったワードが好きな人には特に刺さる展開が目白押しです。
初見で予備知識無いと2~3時間かかるボリュームですがそれを感じさせないついつい先が見たくなるゲームとしても楽しいという濃い体験ができます。

視点(ある意味メタな)のユニークさ

物語や設定にVRの設定を用いているのも特徴ですね。仮想空間の幻想(その一つが「夏」)に囚われた人類と現実の荒れ果てた世界という危機感が物語の駆動力であると同時に、現在プレイしているプレイヤーにも通じる共通点や実感を見出すことができそこにも没入感があるわけです。
それだけでなくシナリオ設定を細かく読めばこのVRのワールド自体が物語中の作戦の一部であり、プレイヤーの体験やとった行動そのものが未来となっているととれるわけで更に一体感を高める工夫がされているわけですね。
こうしたメタ/ループ設定を用いた物語は過去にないわけでもないですがそれをVRコンテンツとしてまとめ上げた手腕には舌を巻くばかり。
終盤のVRがON/OFFする視点で手に持ったアイテムも変わるというのもVRならではといった感じで個人的に好きです。

親切さと告白と

私は実はこのワールドはリリース直後は敬遠してました。というのもヨツミフレーム氏の「アスタリスクの花言葉」がとても難解でVRCのエンドコンテンツと評判だったからです。つまりこのワールドも難解で何か意地悪なポイントがあるのでは?と……。
実際はそれは全くの杞憂でして、ゲーム中はナビゲーションで次にやることは示されますし基本的には一本道でパズル的な謎解きも少なかったです。とても親切。物語も終末世界的に希望の少ない話ではあるものの後味は悪くありませんし。(個人差はあると思います、こうしたサイバーパンクの話としては悪くない味わい深い結末ですねという事で。)

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ただ「腕が疲れる」「マッチョになる」と評されたクライミングアクションの多さにはちょっと閉口しましたが。特にアバターが小さすぎる人や初心者には難易度高いかも。かくいう私は……
飛行アバターで横着しました。
梯子の時点でindexのつかみ判定が怪しくて高確率で落ちてしまうので「もういっか?」と思ってしまい。それより物語が気になりますからね。(前述から察せられるように基本難易度の高さには達成感を感じにくい人間なので)
幸いそれは普通に使えて不具合が起きたりもしなかったので「苦手な人は使ってもいいよ」という想定内だったのかもしれません。優しい。

シナリオ考察という現象

既に書かれたnoteだとむしろこちらがメインに様々な事が論じられてるところですね。ネタバレへの配慮もあり感想が言いたいがために私設ファンワールドやDiscordチャンネルまでできていたりとか。
このワールドはクリアするだけならルート指示以外のセリフは呼び飛ばしても進めてしまいますが、丁寧に観察してるとメインのシナリオ以外にも様々な設定が隠れていそうです。

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(画像は予告編「夏が始まる一日前」より)
テーマがSF系でありヨツミフレーム氏も謎めいた作風というのもあり何かあるに違いない、という読み方は自然なものに思います。私個人としても気になることはいくつかあり、これもしっかりした世界観と没入感のたまものなのでしょう。それがしたくなるぐらい、面白い作品という事です。

最後に(というか続く)

感想と考察記事を同時にと思いましたがずいぶん長くなってしまったのでここでひとまず感想/評論編として〆ます。
まだ経験していないなら是非オススメのワールドであることはここで改めて。素晴らしい体験でした。

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