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トキワレポート(コラム)

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メンタルヘルスにまつわるあれこれや、家族・子育て、コミュニケーションについて、弊社の経験をもとにつづるコラムです。有料noteでは、より踏み込んだノウハウについてお伝えします。
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#精神科入院治療

♯032 どちらを選んでも「最悪」という現実の中でどう決断するか

弊社には、「ほうぼうに相談にいったが解決できなかった」という家族からの相談が多くありますが、必然的に、弊社に来られた時点で選択肢は限られている状況です。 最近はさらに、「数少ない選択肢のうち、どちらを選んでも状況が大きく改善することはない」というケースも増えています。 贅沢に選ぶ余地などない、という現実その背景に何があるのでしょうか。一つは、常々申し上げているように制度の問題があります。たとえばかつては、精神疾患(あるいはその疑い)がある以上、「とにもかくにも、医療につな

¥330

♯030 入院治療中に「欲求の肥大化」を修正する

弊社では、説得移送による精神科病院への入院後、家族に代わって患者さんと人間関係をむすび、長期的なサポートを行っています。(※対象となるのは、重篤な精神疾患がありながら病識がなく、家族との関係も悪化するなど、いつ親族間事件が起きてもおかしくない方です)。 入院当初は精神的にも興奮しており、易怒性や粗暴性などが際立っていますが、投薬治療がはじまり、家族とも物理的に距離をもつことで、徐々に落ち着いてきます。ここまでは治療の範疇です。 急性期の症状が落ち着いたあと、社会復帰を目指

¥220

♯026 きょうだいの問題を放置した結果、起こること

きょうだいの問題を放置した結果、本人も親も高齢化してしまい、切羽つまった他の子供たちからの相談が増えています。 このnoteでは、以下に当てはまる方に向けて、この先、現実的に起こりうることを述べてみたいと思います。 ・きょうだいに精神疾患の疑い(「長期ひきこもり」含む)があるが、精神科未受診である。 ・きょうだいが精神疾患だが(受診歴あり)、長く受療中断している。 つまり、本人(きょうだい)は、本来であれば、適切な治療や支援が必要でありながら、なんら対応がとれていないケ

¥220

相談のコツ~問題点を整理し、優先順位をつける~

家族の問題は、なかなか他人に話しにくいこともあり、家庭内で溜めに溜めたあげく、いよいよになって第三者に相談にいかれるケースが少なくありません。 その時点では、問題は深刻かつ複雑になっていることが多く、家族は追いつめられた心理状態で専門機関に赴くことになります。そのような家族が陥りやすいこととして、「問題点が整理できていないまま相談に行く」ことが挙げられます。 子供の問題で悩んでいる親が、最終的に望むことと言えば「親を頼ることなく生きていってほしい」ということに尽きますが、

家族自身の問題点に気づく

弊社はこれまでに数多くのご家族から、精神疾患に関する相談を受けてまいりました。 ご本人(主に子供や配偶者)が健全な日常生活を送れなくなったきっかけや原因は、それぞれによって異なります。その過程において家族が何もしてこなかったのかと言うと、家族なりにいろいろと手を尽くしてきています。 しかし、結果的には、最終目的である「自立」には結びつかず、家族関係も悪化…。長い年月を経て、家族もいよいよ「これはもう精神科医療につながないことには何も始まらない」と思うようになっているケース