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トキワレポート(コラム)

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メンタルヘルスにまつわるあれこれや、家族・子育て、コミュニケーションについて、弊社の経験をもとにつづるコラムです。有料noteでは、より踏み込んだノウハウについてお伝えします。
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2018年6月の記事一覧

責任は親にあるのか?

弊社はこれまでの経験から、「精神疾患は他の疾病と違い、家族関係も含め、本人をとりまく環境が、良くも悪くも病状や予後に影響する」と考えています。 とくに、人間関係がうまく育めない、他者とトラブルを起こしがちな患者さんの場合、病気のみに対してアプローチ(治療)を行っても、根本の解決には至りません。重要なのは、病気を含めありのままの自分を認められる環境があるか。安心できる人間関係があるか、ということです。 ところが、本人がうまく医療や福祉につながっていない家庭の親ほど、「病気の

「他人任せ」ではうまくいかない

精神疾患をもつ子供(や親や配偶者)について、ご家族からの相談を受けていると、「制度や法律についてあまりにも知らなすぎる」と感じることが多くあります。 たとえば、現在の地域移行の流れ(=入院期間は基本的に3ヶ月)という現実を知らず、「病院に連れて行くことさえできれば…」「入院さえさせれば、あとは病院が面倒をみてくれる」と、未だに思っている家族も少なくありません。 なんとか頑張って入院までたどりつけたのに、家族はそこで安心しきってしまい、あっという間に退院。本人は自宅に戻って

「まだ大丈夫」…本当に大丈夫でしょうか?

弊社に相談に来られた親御さんがよくおっしゃるのが、「トキワさんのことは、何年も前から知っていました」「押川さんの著書(テレビ)は、何年も前に読みました」ということです。親御さんは、このように続けます。 「でも当時は、そこまでひどい状態だと思っていなかったので……」「トキワさんが扱っている事例に比べたら、それほどでもないと思ったので……」親御さんやご家族に何か策があったり、相談している専門家がいたりして、その結果、「まだトキワに頼むほどではない」と考えているのなら、よいのです

家族自身の問題点に気づく

弊社はこれまでに数多くのご家族から、精神疾患に関する相談を受けてまいりました。 ご本人(主に子供や配偶者)が健全な日常生活を送れなくなったきっかけや原因は、それぞれによって異なります。その過程において家族が何もしてこなかったのかと言うと、家族なりにいろいろと手を尽くしてきています。 しかし、結果的には、最終目的である「自立」には結びつかず、家族関係も悪化…。長い年月を経て、家族もいよいよ「これはもう精神科医療につながないことには何も始まらない」と思うようになっているケース