#V名人戦 第五局 自戦記
◯まえがき
V名人戦についてなどは第一局の自戦記などをご参照ください。
◯第五局 vs未良々桂さん(配信の様子)
まずは配信のアーカイブをご覧ください(最終局にあたる第五局、第六局は同じ配信で連続中継となっております)
対局者視点はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=z7pd31iBDHg
※なぜか埋め込みが上手くいきませんでした
◯自戦記
総譜は末尾にございます。
◇駒切り娘のあだ名
本局はV名人戦プレシーズンマッチの最終局。この将棋に勝てば他力ではあるものの、V名人の目が残るだけにがんばりたい戦いです。
未良々さんは"駒切り娘"とあだ名される踏み込みのいい攻め将棋が持ち味です。しかし最近はしっかりとした受けも指され、芸域が広がった印象を受けます。
また、新戦法を用意されることが多く、狙いを絞らせてくれないのも作戦巧者だなと感じます。
◇飯島流引き角戦法
はたしてどんな作戦でこられるのか楽しみにしておりました。△5四歩は中飛車での新作戦かと想像していましたが、△3一角~△8四歩で飯島流引き角戦法がほぼ確定となりました。
少し進んで20手目△8六歩は驚きの仕掛け。確かにある手ですが、ここで仕掛けるのは早すぎて上手くいかない印象がありました。
◇大駒総交換からじっくりした中盤に
勢い大駒をすべて交換することになりますが、あまりゆっくりしていると先手陣がしっかりしてくるため、後手は急ぐ必要があります。私はスキの少ない陣形を目指してまずは金美濃を組み上げますが、その瞬間に△4九角が再び驚きの攻め。やや乱暴ながら、未良々さんらしい手だと感じます。
対する私は受け方を考えます。次に△7三桂~△6五桂などもあり、生半な受けでは8八、6七を受け切ることはできません。かといって、例えば▲7八金なら△5八角成から暴れることは目に見えています。
ということで▲6八飛はしかたのないところ。飛車を手放しますが△3八角成▲同玉となれば角が持ち駒になるのでまずまずではないかと考えていました。
◇恐るべき攻め
捻じりあいを進めること数手、攻める未良々さん、じっくりと受ける私の構図です。△8五桂で次に△7七金があるため、▲7八金と受けましたがこれがややまずく、△8六金が重く見えて厚い攻め。▲7八金に代えて▲7八歩や▲7七歩、あるいは▲6五銀に代えて▲7七歩と頑張るべきだったかもしれません。
本譜はその受けが見えず、7七の地天で精算することになっては△8八龍と入れられ先手苦戦です。
◇我慢の時間
▲7八金~▲7九歩はしかたのないところ。しっかり受けてチャンスを待ちます。未良々さんもここで楽観したか、△8五桂▲7五飛△7七歩▲6七金△9七桂成▲5六銀と進んでは先手陣が急にしっかりしました。
ガジガジと攻め続けられますが、後手陣へ攻めかかることも難しいため、我慢の時間と割り切って受けにまわります。
◇チャンスを逃す
△6九飛と打ったところ。ここでは▲6八金が決め手級の受けで、飛車を取られては先手の勝ちは揺るぎないところでした。
実戦ではここで2分考えましたが、なぜか食いつかれるものと勘違いしておりチャンスを逃して▲5三桂と打ちました。これは金を剥がして後手玉に迫りやすくし、さらに金を手に入れて受けやすくする狙いでした。
△5八金をうっかりしていて、▲3九飛は非常手段の受けでした。ここで▲4一桂成は△4九飛成から詰んでしまいます。
とはいえ▲3九同銀とした形は受けやすい形になっており、なんとかなるかなと感じていました。
◇詰みを逃すもしっかり受ける
90手目の図から▲4一桂成(詰めろ)△同銀▲2八玉は自慢の受け。△4九金に▲3八金が鉄壁です。後手陣への攻めの手がかりに乏しいものの、これだけしっかり受けられれば安心して戦えます。
以下、詰みがどうしても見えず(実際には▲3一銀や▲5二龍から詰みがあったようです)、攻めを枯らす辛い受けで勝ちとなりました。
◇V名人の行方
プレシーズンマッチを2勝1敗の勝ち越しで終えましたが、その後の第六局に千星さんが勝利し、全勝で優勝となりました。千星さん、V名人おめでとうございます!
◇総譜
◯V名人戦 プレシーズンマッチを終えて
コラボなどではなかなか実現しないVtuber同士の真剣勝負の場として、対局者としても、観戦者としても楽しませて頂きました。より研鑽を積んで、良い将棋、良い勝負を今後もお見せできるよう頑張りたいと思います。
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