第2期 #V名人戦 挑決T決勝 観戦記
現在開催中のV名人戦について、1週間分の各対局の概要をまとめてお送りします。
V名人戦について
Vtuberの、Vtuberによる、Vtuberの一番を決める棋戦「V名人戦」。将棋が指せるVによる棋力別総当りリーグ戦となります。詳細は公式サイト、Twitterをご確認ください。
11/22 挑決T決勝 川山一誠 - ヒナちゃん
中継
総譜
観戦記
いよいよ決勝
本局はV名人への挑戦がかかった大一番。この将棋の勝者が、真澤千星V名人への挑戦権を獲得します。
対局前インタビューでは
川山さん「本局も先手（５局すべて）で。縁起がいいのでこの勢いで挑戦できるよう１手１手大切に指したい」
ヒナちゃん「（自己紹介を短めにしつつ）今日は盤上で語ろうと思います」「デビュー時は悪意を振りまいていましたが、今日は（リスナーさんや対局者の皆さんへの）感謝の気持ちで恩返しにいい将棋を指したい」。
準決勝で勝利された川山さんが勢いのまま勝つか。それともシードを得たヒナちゃんが勝負強さを見せるか。注目の一戦です。
中継のローランさん「（普段は緊張しないけど）今日ばかりは緊張してる」
意表の四間飛車
なんと先手川山さんが今期初の四間飛車を登板。角道オープンのまま三間飛車に振り直す４→３戦法を採用されました。
ローランさん「裏でさされたVSでも同じ戦型があり、ここ（三間飛車に振り直したところで）△８六歩▲同歩△同飛と踏み込んだ将棋があって本局は仕掛けなかったようです。もし踏み込んだ場合は▲２二角成△同銀▲８八飛とぶつける手があります」
本局でヒナちゃんは△６三銀と様子を見て、▲７五歩に△８八角成▲同銀△３三角▲７九金と進み、そこで△８六歩▲同歩△同飛と飛車先交換を果たします。
対して一誠さんは▲７七銀で飛車を追って、▲９六角とひねった攻防手を繰り出します。まだまだ序盤に見えましたが、いきなり勝負所を迎えました。
辛抱の時間
ヒナちゃんの△７二銀は辛抱の受け。中継では代えて△８六歩がよかったかもしれない、という意見も出ます。
▲８八飛△８四歩▲６六歩で振り飛車の調子がいい展開へと進みます。
以下、△９四歩▲６八金△２四歩▲７八角で玉頭を狙われますが、△２三玉が顔面受け。先手の角のラインに入るだけに根性という印象です。
お互いにじっくりと陣形を整備して下図。
図から△８五桂と仕掛けていきます。▲同桂△同歩▲９六角と一誠さんは進めますが、△８六歩が厳しい手。
意地のぶつかりあい
秒読みまで考えて▲８五桂と怪しげな手を繰り出します。直接の狙いとしては▲７三桂成ですが、どれだけ厳しいかは難しいです。
対して△６一桂が我慢を重ねる手。お互いの負けたくない気持ちが前面に出た攻防ではないでしょうか。
▲８六飛と歩を払った手に△９五歩で角を追い、▲８七角と飛車が狭いながらも６五の地点に利きを足します。
△６五歩と一番固いところから行き▲同銀△同銀▲同角に△６四銀が強い手。
一誠さんは▲９八角△７五銀▲８九飛。△６六銀もありそうでしたが、ヒナちゃんは△８六歩と飛車先を抑えに行きます。
紫電一閃
しかし、一誠さんはここで▲７三桂成△同桂▲７九飛が軽やかなさばき。
△７六桂と受け止めにいきますが、▲７六角が当然ながら強手。△８七歩成で更に▲４三角成が稲妻のような鋭さ。
しかたのない△同金ですが、▲７五飛で角銀交換の駒損ながら飛車のさばきに成功します。
ヒナちゃんも△７七とと捨てて精一杯の反撃ですが、▲同飛と丁寧な受け。△６五桂▲７一飛成でついに龍を作ります。
△８七飛成▲５八銀△８九龍に▲５五桂が痛打。△４二金▲６五歩△５四歩とヒナちゃんは桂馬を取りに行き、一誠さんは▲４三銀と削りにいきます。
△５五歩と桂馬を取りきりますが▲３二銀不成△同玉▲５四桂でガジついて、△５三角▲９一龍△７五角▲４二桂成△同角左と削ります。
意地の反撃
図の▲３九銀が一誠さんらしい友達をなくすような受けでしたが△１六桂がヒナちゃん意地の反撃。▲同香△１九銀▲同玉△３九角成でいきなり先手玉が危険になりました。
しかしここで▲４四桂がさらなる切り返し。この瞬間が詰めろでないことを見切って、王手から▲４一龍が詰めろです。
以下、ヒナちゃんの最後のお願いをかわしきって川山一誠さんが勝利しました。
対局を終えて
終局後のインタビューでは、
川山さん「序盤は 終盤▲５二龍で勝ちになったところで手が震えた。三番勝負に向けては自分だけではなくて、皆さんのために将棋を指したいと思います」
ヒナちゃん「難しかったが観戦して楽しい対局になったかと。（川山さんが）真面目なこと言っていて癪に障るけど、（立場が逆なら）自分も同じことを言ったと思う。三番勝負でいい将棋を期待してる」「千星ちゃん（V名人）見てるかわからないけど、大変な人がくるのでがんばって！」
挑戦者決定トーナメントの決勝にふさわしい、大変なねじり合いの熱戦でした。V名人戦三番勝負は12月に予定しておりますので、ご注目頂ければ幸いです。
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