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第2回AJIRAトーナメントの振り返り

 10/18-20にかけて3vs3のフィッシャールール団体戦「AJIRAトーナメント」がありました。こちらの、特に自身の対局を中心に振り返っていきたいと思います。
 私は前回から引き続きリーダーを担当させていただくことになりました。今回は合計棋力の上限が七段までとなっており、一層メンバー選びに苦難しました。
 前回メンバーとなって頂いた川山さん、菜々河さんのお二人は配信の様子から見ても忙しそうで声をかけにくく、また上限の関係でお二人ともお誘いすることはできない状態です。ということで、今回は一度でもコラボをした方を中心に声をかけさせて頂き、かくきりこさんと清井めしべさんのお二人にメンバーとなって頂きました。

 かくきりこさんはV名人戦でもV-S級、竜王戦ではV-1組。しかもV竜王戦では並み居る強豪を倒して挑戦者決定トーナメントに進出され、勢いのあるV棋士の一人です。日々の配信活動も頻繁で、いつ見ても配信をされているような気がするすごい方です。

 清井めしべさんはV名人戦でV-A級の実力者。軽さと手厚さを武器にされており、どこか棋風に近いものを感じています。配信活動はやや縮小気味ですが、そのセンスには脱帽します。今回のチーム名である「夜警」もめしべさんの提案で決まりました。


1日目2回戦 vsチーム公人直人「バーサーカーソウル」

 今回は1日に3チームが戦うということで、チーム夜警はシード枠に。
 対戦相手のチームはチーム沙久耶「真紅眼の謎竜(レッドアイズブラックぽやゴン)」を下した「バーサーカーソウル」に決まりました。

 第3局 vs音無ちえるさん

 第1局、第2局はそれぞれめしべさん、きりこさんにお願いしましたが、相手チームリーダーの公人さんらしい豪快な戦いで連勝を許すことに。とはいえすでにリーダーである公人さんはもう代表戦にしかこられないということで、ちえるさん、アクセラさんのどちらが来ても勝つつもりで出ました。

 対戦相手はちえるさんに。決して油断できる相手ではありません。
 序盤の戦型選択は読めませんでしたが、ちえるさんの四間飛車穴熊を見て私はトーチカにすることを決めます。私自身、四間飛車穴熊はレパートリーの一つですが、トーチカが嫌で主力にできていません。
 中盤難しい局面が続いて自信はありませんでしたが、端攻めがいいタイミングで入ってわずかに指しやすさを感じました。

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 以下は端と飛車を絡めた寄せで勝利。連敗を止めることに成功します。
 とはいえ終盤も差はわずかで、瞬間的に逆転していてもおかしくない局面はいくつかあったように思います。


 第6局 vsアクセラさん

 第4局の接戦をめしべさんが制し、続く第5局もきりこさんが力を発揮しての勝利で星取は3勝2敗に。代表戦はきりこさんの予定(相談の上、そのために体力を残せるよう第5局をお願いしました)でしたが、絶好調の公人さんを封じたいという気持ちでここで勝負を決められるよう気持ちを新たに対局へのぞみました。

 アクセラさんとはここまで1勝1敗の対戦成績ながら、いずれも内容で負けています。ここは勝負に徹して、アクセラさんの得意である角換わりや対ノーマル振り飛車の金無双急戦を封じる方針を選ぶことにしました。
 ということで私は4手目△3二金というやや特異な立ち上がりで角交換振り飛車へと誘導します。この作戦の趣旨は相手の角交換のタイミング次第で阪田流向かい飛車・角交換四間飛車・角交換中飛車のいずれかにして、後手番ながら主導権を握って戦う狙いです。

 難しい中盤戦が続きましたが、アクセラさんにうっかりがあり王手飛車が決まる展開に。

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 以下もアクセラさんは勝負勝負と迫ってこられましたが、「勝負を焦らないこと・気持ちを切らさないこと・明確に良いので平易な手を指すこと」を心がけて勝利できました。
 チームも4勝目で決勝進出が決定。メンバー全員が1勝以上での勝利は嬉しい勝ち方でした。


決勝 vsチームポメヒ「CCC(クレイジー・カオス・クリーチャーズ)」

 2日目に反対の山の対局が行われ、チーム紫陽花さくら「あの夏将戯クラブ」、チーム真澤千星「蒼紫炎星」を下した「CCC」が決勝の相手に決まりました。
 ツイッターでオーダーについてのやり取りがあったりしつつ、対戦を楽しみにしていました。

 第2局 vsポメヒさん

 第1局は悔しくもめしべさんが美野辺さんに敗北する苦しいスタートに。連敗は避けたい思いで、しかしポメヒさんが相手の場合は苦しいなと思いながらオーダーを提出しました。
 果たしてオーダーはポメヒさん。大変だな、やっぱりなという気持ちと、簡単には負けないように、気持ちを切らさないように、そして勝てれば大きな1勝だと気合を入れて勝負の場へ。

 戦型は私が後手ということで四間飛車に。対するポメヒさんは得意の腰掛け銀穴熊に構えます。
 フィッシャーの速度もあって一瞬で仕掛ける展開となりましたが、△9五歩が緩手で△3二金と上がれていないため成否は微妙でした。手が進んでみるとやはり仕掛けは失敗で、駒損の苦しい戦いに。
 しかし、ここで簡単に折れるわけにはいきません。チームのためにも、「簡単には負けないように、気持ちを切らさないように」を念頭に粘り強く付いていきます。

 付いていく過程でボロっと金を取れたのは大きな戦果で逆転模様に。

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 ポメヒさんに動揺があったか、以下は形勢が開いてしまい大きな勝利をつかむことができました。
 これで星取を1-1の互角に戻し、悪い流れを断ち切れた気がしました。


 第4局 vs美野辺沙羅さん

 第3局をきりこさんが制して2勝1敗。めしべさんが敗戦から立ち直れていなさそうだったこと、きりこさんが連戦は大変だろうということから私が行くことにしました。
 美野辺さんは相掛かりでめしべさんに勝ち、対振りでは引き角戦法を得意にされています。
 やはり勝負に徹して得意戦型を指させない方針で、私はゴキゲン中飛車を選択。これなら引き角には対応しやすく、引き角以外でも簡単には負けません。

 ということで美野辺さんは一直線穴熊を採用。私は△3二銀から素早くさばく将棋に持ち込み、△5六歩から角交換~5七の地点で二枚替えに成功します。

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 大きなリードとなりますが、6~9筋にこちらの歩が立たない将棋であること、桂馬を渡すと▲5五角~▲7四桂や▲5三桂のキズがあることから、丁寧な指し手が必要な局面だと認識していました。具体的には「6~9筋の歩を取ったりすると相手からだけ打たれて自陣に嫌味が付く」「穴熊相手なので金銀で攻めるのは効率が悪い」「下手に桂馬を渡すと勝負手を許す」ことを意識しながら手を選びました。

 美野辺さんも勝負勝負と迫られてこちらが間違えることがありつつも、自玉を固めながら根絶やしにして勝ちに。これでチームは3勝1敗。残り2局が負けでも、代表戦のフルセットまでは戦えることになりました。


 チームには「全部負けても代表戦までは戦えるので気楽に行きましょう」「お二人ならどちらが来ても勝つチャンスはあると思っています」と声をかけて見守ることに。
 以下、第5局できりこさんがポメヒさんに惜しくも負け、第6局にめしべさんがそのさんを倒して4勝2敗。嬉しい優勝を果たせました。

 チーム全員で1勝以上で優勝ということで、本当にチームメンバーのお二人の力があっての優勝でした。ありがとうございます!
 AJIRAトーナメントをご視聴頂いた皆様、チームにご声援をくださった皆様にも改めて感謝申し上げます。
 企画・運営を担当してくださった紫陽花さん、ポメヒさん並びに参加者の皆様もありがとうございました。
 次回のAJIRAトーナメントも、私自身も一参加者、一視聴者として楽しみにしております!

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