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第3期 #V名人戦 V-B鳥 vs四宮式さん 自戦記

 Vtuberの、Vtuberによる、Vtuberの一番を決める棋戦。第3期V名人戦の自戦記です。V名人戦の詳細については公式サイトやTwitterをご覧ください。

◇本局について

 まずはこちらの中継配信、対局者視点の配信、総譜をご覧頂ければ嬉しいです。

◇自戦記

 バイオリンを弾き、小説を書く文化人

 四宮さんは第0期V竜王戦に参加され、V名人戦には今期より新規参加された方の一人。Vとしての活動においてはバイオリンを弾いたり、小説やボイスを書かれるということで非常に文化的な方という印象を持っています。
 将棋においても純文学と称される矢倉を披露されており、綺麗かつ堅実な指し回しをされています。一方で中飛車も得意にされており、対策の難しいオールラウンダーでもあります。
 私が先手ということで、矢倉や中飛車になるにしろ攻勢を取りやすい居飛車で行くことを決めていました。当日は体力を付けるために「ひつまぶし」を食べ、昼寝をとり、中飛車名局集と藤井聡太全局集を並べて緊張をほぐしながら過ごしました。

 意表の6手目

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 四宮さんもTwitterで対策を考えている旨の発言があり、どのような作戦で来られるか楽しみにしていました。
 6手目△5四歩。ゴキゲン中飛車を目指す際の特殊な序盤の一つで、意表を突かれました。
 ただ、一方でこの変化は私自身も研究したことがあり、こちらの記事に内容をまとめています。

 さすがに随分指していない作戦で、すっかり内容は忘れてしまっていましたが、初見の局面ではなかったことが功を奏しました。少なくとも角交換から▲5三角が悪いことは覚えており、その筋は回避することができました。

 優勢を築く

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 進んで上図。大駒を2枚とも成ることに成功し、純粋に桂馬得となりました。局面も落ち着き、大きなポイントをあげた格好です。
 こうしたポイントを上げる展開は比較的好みです。こうした展開は長くなるほど駒得がいきやすく、こちらは受けに回って手厚く戦えば勝ちやすいためです。ということで、以下は手堅く駒組みに回りました。

 開戦

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 駒組みもほどほどに進み、いよいよ四宮さんから仕掛けてこられました。上図はなるほどの仕掛けで、▲同歩なら馬交換から△1四角で逆転です。
 ということで▲同銀とするよりなく、そこで馬交換から△3四角で龍をどかしながら間接的に玉を狙います。更に△7五歩と桂頭にも手を付けて部分的に厳しい攻めです。

 シンプルな反撃

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 部分的に厳しいとはいえ、自陣も固いので攻めあいどころです。上図の△7四歩が狙いの反撃。シンプルですが、良いときはわかりやすくに従った攻めです。
 △6六銀も迫力のあるすり込みですが、▲7三歩成から桂馬を跳ねて猛攻です。3枚の桂馬と角で包囲網を絞っていきます。

 詰みを逃す

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 上図、後手玉は詰みがあります。▲5五角成△同銀▲5五銀△6五玉▲7四銀△7六玉▲7七銀までですが、実戦では発見できませんでした。秒読み、6五の桂馬を取られても詰み、香車を取った手が▲5五香の王手飛車を見て厳しいことから盲点となりました。
 詰みを逃し、四宮さんの粘りに手を焼くこととなります。

 中段玉の粘り

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 四宮さんは中段玉でふわふわと頑張り、なかなか決め手を許してくれません。上手い粘りで、いくらか駒も渡しているため不安を感じました。
 とはいえ形勢は大差。焦る気持ちを抑えて考えれば自玉はまだ健在です。詰めろをかけつつ少しずつ後手の攻めを削って堅実な勝利を目指します。

 突然の終幕

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 自陣に戻られるルートができてまだまだ粘られるだろうと思いつつ、それでも飛車を下から打てるので攻めは続けられるだろうというところに、突然降って湧いた一手詰で少し驚きました。四宮さんとしても、ここまで正確に粘ってきた疲れもあったでしょうか。

 本局は序盤でポイントをあげ、受けに回ってそのまま押し切る将棋となり、ある種理想的でした。詰み逃しこそありましたが、万全の状態でも気が付けるか微妙なところで、気に病まず地力を付けていきたいと思います。
 ご声援ありがとうございました。この勝利を弾みにA級復帰へ向け、次局も全力を尽くしていきたいと思います!

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