第1期V名人戦 V-B級2回戦 自戦記
Vtuberの、Vtuberによる、Vtuberのための棋戦「V名人戦」の第1期が開幕致しました。詳細はこちらのTwitterや公式サイトをご覧ください
◇第1期V名人戦について
将棋の順位戦・名人戦を参考にし、棋力帯ごとのリーグ戦となっています。今回の私はV-B級ということで真ん中の初段~1級クラスです。
◇本局について
まずはこちらの中継配信と、私視点の配信をご覧頂ければ嬉しいです。
中継配信
私視点の配信
総譜はこちらです。
◇自戦記
端角中飛車のエキスパート
ひとし先輩は攻めっ気の強い中飛車党で、コアラ流の端角中飛車は破壊力抜群。居飛車・振り飛車問わず使え、わかっていても受けるのは困難という優秀な作戦です。
幸いにも事前にひとし先輩との対局がわかっていたため、ひとし先輩の棋譜を漁って準備を整えることができました。
想定局面はまず速攻型の想定図1。
ここから
△4三銀 ▲5四歩 △同歩 ▲同銀
△同銀 ▲同飛 △3六歩 ▲同歩
△3七歩 ▲2八玉 △4五銀 ▲5二飛成
△同金 ▲5三銀 △5七飛 ▲5二銀成
△同飛成(結果図1)
が研究していた順で、結果図は金銀をたくさん持たれているものの龍の守備力が高く、先手がなにか受けるのも難しいのではないかと考えていました。
もう一つは美濃囲いに囲ってから仕掛ける想定図2。
図からは
△4五歩 ▲5四歩 △同歩 ▲同銀
△4六歩 ▲同歩 △3六歩 ▲同歩
△4六角 ▲3七銀 △5八歩 ▲同飛
△5七歩 ▲4六銀 △5八歩成(結果図2)
後手は銀を取れてすぐ攻められることもなさそうなので優勢という研究でした。
研究外の引き角と構想
果たして実戦は私の先手に。戦型は想定通り三間飛車対中飛車の相振り飛車。研究とは数手違いますが美濃に囲って同様の筋で戦える見込みでした。
進んで図1の引き角が考えていなかった手でした。この1手で準備してきた6筋と7筋を絡める攻めは成立しにくくなり、手探りの駒組みが始まります。
図1から駒組みの進んだ図2。▲8六歩で7六の飛車の横利きが止まったことに目をつけた▲9四歩は機敏でした。ひとし先輩にとっては自玉の弱点である端のため、私は軽視していた動きです。
指されてみると難しく、歩損で歩切れとなっては大変だと思っていました。こちらの右辺からは手が作りにくいので、なんとかして左辺でポイントあげたいところです。いわゆる「攻めさせられている」格好ですが、しかたありません。
図3は悩んだ局面で、ここから▲6六銀が形かと思いましたが一瞬ひどいので、はっきりさばける組み立てがないとできない順です。ということで難しいながら目標になってしまっている角をさばく方針で▲7四歩と突きました。
攻めの継続手段
さらに進んで図4。ここも難しいところでしたが本譜▲8四歩~▲8五歩は半分形で突いた歩です。取れば8四の空間が気持ち悪い上にいつでも▲8五桂の跳ね出しがあり、取らなければ取り込みが大きいという損の少ない手です。△8五同歩にどうするか、対局中や感想戦のときにはみえていませんでしたが、今考えるに▲5六歩で一歩持ちにいくのが大きいかもしれません。
実戦は▲8五歩に△9四香と端に打ったため、先手としては後に歩の裏から香車を打つ攻めがやりやすくなり、少し攻めがわかりやすくなったかと思います。
図5の局面は▲2六角が教えて頂いた好手。陣形と持ち駒の都合で角のラインを止めにくいです。これなら寄せもわかりやすかったですが、実戦は▲8五飛~▲8二香成で後手玉を逃してしまい決め手に欠きました。
図6は悩んだ局面で、実戦では▲8六歩~▲9二角と打ちました。感想戦でご指摘頂いたように▲8二歩が明快だったようです。▲8二金は考えていたので歩でも充分というのは納得です。
ここから8四の銀を拾った局面はやっと良さがはっきりしてきて少し安心しました。以下、自玉が鉄壁のまま攻め切ることができ、今期の初対局を白星でスタートできたのは僥倖です。
◇総括
一晩たって振り返るに、▲8六歩に△9四歩の成否は微妙かもしれません。部分的には定跡ですが、やはり美濃囲いの端から逆襲するのは味が悪い印象です。後手玉が金無双や矢倉のように端をカバーしやすい囲いならありかもしれません。
しかし、引き角は面白い構想で対応に悩みました。この先、ひとし先輩と戦う方々がどんな作戦を用意するのか、ひとし先輩がさらなる秘策を披露するのか楽しみでなりません。
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