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書評

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ショートストーリー作家として文学本を、Webマーケッターとしてビジネス本を。「作家+クリエイター+マーケッター」目線でお届けする書評です。
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#文化

マンガ・アニメ・ゲームの価値はアップデートし続けられている。コミュニティ中心に変化していくカルチャーをひも解く一冊。『オタク経済圏創世記 - 中山淳雄』【書評】

マンガ・アニメ・ゲームと聞けば、すぐ身近にあるエンタメとして馴染み深いことでしょう。ポケモン・ドラゴンボール・ワンピースという作品名を目にすることで、具体的にマンガ・アニメ・ゲームの映像が浮かんでくる人も多いはずです。 では、 50年かけて日本で普及してきたマンガ・アニメ・ゲームは、2000年代に入ってから海外でも急速に普及し、高まった人気が2010年代に「ライブコンテンツ化」する配信やイベントといった装置によって市場として顕在化してきた。『序章』より ライブコンテンツ

時代を知るためのひとつの方法。それはサブカルチャーの歴史をひも解くことなのかもしれない。『若い読者のためのサブカルチャー論講義録 - 宇野常寛』【書評】

その時代を知る方法のひとつとして、その時代の文化や流行を学ぶ。サブカルチャーも同様に、ひとつの歴史として、数々の時代、歴史を作り上げてきたわけです。 2016年4月から7月に京都精華大学で開講された講義「サブカルチャー論」を再構成した本著。評論家であり批評誌「PLANETS」の編集長を務める宇野常寛さんは、本著の中でこう語る。 (本著を)読み通すと、この国の若者たちがある種のサブカルチャーを通じて世の中をどう捉えてきたかがわかるようになっています。 それは政権の移り変わ

日本にもこんな裏側があったのか。昭和の夜の風俗史を知ることで、新しい日本に出会える一冊。『裏昭和史探検 - 小泉 信一』【書評】

小泉 信一 著『「裏昭和史探検」風俗、未確認生物、UFO・・・』 本著をひとコトで表現するならば、「愛と物語多き昭和の裏の姿に触れられる」一冊。欲望渦巻く風俗という世界で、アイデアとクリエイティブを駆使し自由を掴もうとする昭和の勇姿。 その反面、便利で暮らしやすい現代は、ルールに縛られ身動きが取れなくなってしまった。その過渡期において、人間の欲望が爆発していた昭和の風俗カルチャーが学べる興味深い一冊です。 歴史の主役は指導者や英雄でなく、大衆であるはずだ――。 日本で