見出し画像

老いらくの恋 4

「我的愛人」発音は“ウオター アイレン”。
 意味は「私の妻」、さらに言うと「私のいとしい人」です。

 今、私は小説を書いています。
 題名は「我的愛人」。
 78歳で初めて小説を書きました。
 私の「我的愛人」は節子です。

 節子とは3度恋をしました。
 最初は学生時代、同じ学校に通っていました。
 私が卒業すると同時に別かれました。
 その5ヵ月後、奇跡的に再会しました。
 再会から現在までが2度目の恋です。
 そして今、3度目の恋が進行中です。
 残念な事に節子は病を得て、要介護5 介護施設に入居しています。
 私は週に2~3回、節子に面会に行きます。
 節子は認知障碍が進み、話しかけても、反応はありません。
 会うたびに、昔交わした恋文を音読しています。
 反応はないが、節子が愛おしくてなりません。 

 けしからん事に、私は浮気をしています。
 浮気の相手は「前野曜子」。
 ペドロ&カプリシャスの初代ボーカルです。
 彼らは1971年10月にデビューしました。
 この年の9月、節子と私は結婚しました。
 デビュー作品は「分かれの朝」。
 この歌は、老いらくの恋 第1話で紹介しています。
 前野曜子は約30年前、40歳の若さでみずから命を絶ちました。
 前野曜子が歌った曲の中に「わすれないわ」があります。
 歌詞を一部紹介します。

忘れないわ あなたを
別れたあとも 胸に生きるわ
もしも再び 恋をしても
あなたに 似てる 人でしょう
・・・・

  もしも再び恋ができたら、節子に似た人になる。
 節子が私に似た人を選ぶか 自信はありません。
 4度目の恋ができたら、どれだけ幸せな事だろう。
 
 つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?