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老いらくの恋 第19話

女性作家に恋してます。
今回の恋人は“大山淳子2さんです。
大山さんの代表作は『猫弁シリーズ』でしょう。
主人公は百瀬太郎。東大法学部を主席で卒業し、在学中に司法試験合格という秀才です。
抜群の秀才ながら、一般常識にはからしき頓着しない。いや出来ないのです。大手法律事務所に職をえるが、猫の多頭飼い紛争を担当し、一切手を抜かず見事解決します。しかし、解決にいたる過程では尋常でない時間をかけ、弁護士の報酬をかけた時間でわると、時間給2円という有様。法律事務所から愛想をつかされ、「独立したら」と進められ、独立しました。
猫の多頭飼いの実績から、ペットにまつわる揉め事を仲裁する事が多くなりました。仲裁の過程で行き場をなくしたペット〔特に猫〕を引き取り、百瀬の弁護士事務所は猫だらけとなります。人は百瀬を『猫弁』と呼びます。
この百瀬太郎、40歳をすぎながら、女性と交際した事がない。
この異常にお人よしの猫弁を取り巻く、個性豊かな人々との交流をつづったラブコメディです。
読んでいて、無条件に笑えます。しかし、笑えるだけの本ではありません。

猫弁と少女探偵
大山さんの人を見る目と筆力に圧倒されるでしょう。

大山さんの本も点訳しました。
猫弁ではなく、本の名は『あずかりやさん』

あずかりやさん

本書は、とある町の商店街に店をだす主人公“霧島透”という目の見えない青年の話です。
ひょんなきっかけで、あるものを預かり礼金を得る事がありました。それで、物を預かる事を生業としました。
預かるものはどんなものであれ、1日あたり100円とし、預かる期間分先に受け取ります。
期間がすぎても引き取りにこない時は、“あずかりや”のものとなります。
預るものは、実は様々です。遺書であったり、手紙であったり、父親に買ってもらった最高級の自転車であったり。
様々なものと、預ける人との間には、ドラマがあります。
大山さんはそのドラマを丁寧に表現しています。
視力障碍者を主人公にする本を点訳することに、いささか抵抗がありました。
大山さんの文章は、実にさわやかなものでした。『猫弁』と共に一読を薦めます。


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