「果たして永遠は恐怖なのか」チェンソーマン 6話「デンジを殺せ」感想(アニメ版)

 待ち望んでいたコベニ回だ! 声優『高橋花林』さんはこれ以上ない仕事をしてくれました。怯え惑い狂って吐き散らかす、どうしようもなく情けないコベニちゃんの良いところ全開で「これだよこれぇ!!」と愉悦の笑みを浮かべていた。

 ところで今回は性急に永遠の悪魔撃破までやるかなと思っていたけど、早回しよりも心情や内面、過去のことなどの描写をこれでもかと丁寧に掘り下げているので1話~5話までとまた違った趣のお話になっている。溜め回ながらも仕上がりが映画にありそうなゆったりシーンなので満足度が高い。

ダブルピース

 階段を登っても、降りてもコベニちゃんの硬直ダブルピース。部屋の中にある窓を抜けると、外ではなく部屋があり、そこのドアを開けるとコベニちゃんの硬直ダブルピースがある。何をどうしても8階から出られない。いろいろ調べてみても、調べるほどに『脱出が不可能に近い』ことを思い知らされ、真綿で首を絞めつけるようにジワジワ恐怖を与える鬼畜仕様。

デンジ「すげぇ。じゃあ寝放題じゃねぇか!」

 しかし、デンジには一切通用しないのだった! 敵の術中にハマっている状況下で無防備になる「寝る」という選択肢を取れる豪胆さは流石の一言。恐らくこの場にいる誰よりも精神面で強いのがデンジだ。

【考えてもしょうがない+恐怖を抱けば悪魔が強くなる】=寝る

 冴えまくって摩耗するメンタルのリセットと、体力の温存、状況が過ぎるのを待つ。実は永遠の悪魔相手に「戦う」以外に取れる選択肢として、最善手に近い。デンジがそこまで考えた上で判断したかは置いといて。

 幼少期からポチタとデビルハンターを続け、今に至るまで生き残っているということは、悪魔との戦いにおける経験値面でアキ君に並ぶかそれ以上の可能性だってある。修羅場だっていくつも潜ってきただろう。悪魔と戦う上で「恐怖を抱かない」心構えは、ここにいる6人の中で最強格である。

ノーベル賞

 ノーベル賞を取れば消費税100%を出しても支持率が下がらない総理大臣になれるらしいぞ、すげぇやパワーちゃん! 寝言は寝てから言えよな!

シガレットキス?

 と思ったけど、今回のように1本を2人で吸うのは『相合煙管』と言うらしい。大人の恋愛って雰囲気だ……姫川先輩マジ可愛い場面からアキ君に依存するようになる過程も描かれていて充実。タバコの煙とか臭いはゲーセンやパチ店で慣れてるけど、あれを積極的に肺の中に入れようとは思わないなあ。せいぜい飲酒が関の山ですね。

コベニ凶行

 1度目は永遠の悪魔登場時に「デンジを食わせろ……」と刃物を持って襲いかかる。2度目も刃物を持ってくるがそれを食い止めるためにアキ君が脇腹を刺されるという事案に発展した。

 精神面で最弱。それ故に1度目は発狂して真正面から突っ込み、アキ君と姫川先輩の連携プレーで倒された。こんなところで連携見るとは思わんかったよ! 今回の話だけ見た人は「何でこのキャラが人気なんだよ」と思うほど不快の塊だったかもしれないが、まあ見てなって。これはほんのアッパーカット。しばらくするとデンプシーロールが始まるからさ(なんのこっちゃ)

永遠の悪魔

 特定領域を支配下において敵を閉じ込める。その後ジワジワと恐怖を食って成長するという気の長い戦法を取る悪魔。「成長する」ことが必須条件のため、メンタルが強い奴らしかいない場合は閉じ込めることしか出来ない。その閉じ込めるという行為も永遠に出来るかは不明。恐らくは出来ない(理由は後述)。

 弱点である心臓を破壊されない限りは無敵。その心臓は8階には存在しないため、実質倒すことは不可能。ただし「痛い!」と叫ぶことからデンジに「痛みを感じる」と知られ

「自殺したくなるまで斬り続ける」という直球勝負を挑まれることになる。永遠に対して無限ループを仕掛ける妙技で次回が気になる終わり方だ。

永遠は怖い?

 ところで永遠は恐れるに値する代物だろうか? 与えられる永遠によりけりだろう。永遠の命を欲する人は後をたたないけど、苦しみなどが永遠に続くのだとしたらそれは恐ろしい。

 しかし現実に永遠は存在しない。人間は有限で、地球や宇宙にだって限りがある。永遠なんてものはフィクションでしか体験し得ない。或いは今後人類が肉体を捨て去り、限界を数億倍引き延ばせたとしても、それは永遠に近い有限である。結局永遠には辿り着けない。

 現状では永遠など無い。それ故に最大の恐怖【死】は必ずやってくる。永遠に対する憧れと恐れの表裏一体。永遠が人に恐怖をもたらすとするならば、それは死とのセットである。

 永遠の悪魔の形状は「永遠でありたい」と願う人々の微かな願いが具現化したような集積体だ。最大の弱点である心臓を異空間から遠ざけることで擬似的な不死性を得て、「これで永遠に死なない」と安堵している。肉体を永遠に再生出来るが、感性は人間に近いため傷付けられると痛みを覚える。

 攻撃手段も現状無数の手だけ。人が永遠を成し遂げる手段は空手。何もない。掴もうとしても掴めない代物でありながら、それでも求めずにいられない。なんとも哀れな悪魔である。

「弱点を突かれたら終わる」という有限の永遠が限度の悪魔に、永遠に異空間に閉じ込める芸当など出来るはずもない。それ故に恐怖(パワー・栄養源)を与える前に寝たりボーっとしていれば持久戦で諦めていただろう。結局デンジのやり方こそが一番正解だったのである。

サポート1人を1億回繰り返せば音霧カナタは仕事を辞めて日本温泉巡りの旅に行こうかなとか考えてるそうです。そういう奴なので1億人に到達するまではサポート1人増える度に死に物狂いで頑張ります。