新たなるファミリー映画に名を連ねるか? 劇場版 SPY×FAMILY CODE: White若干ネタバレあり感想

評価:えrrrrrrrrrrぇガン!(90点)


初回特典もゲット!


 激動の師走を概ね乗り切った私こと音霧カナタは、仕事で疲れた体をトキめきで浸し、意気揚々と映画館へ足を運んだ。全ては、SPY×FAMILYを見に行くために! 初日に行けなかったので特典限定冊子も枯渇しているかもと思ったが、そこはやはり天下の少年ジャンプ(+)の映画。無限列車編等を経た事で(?)余裕の配布量、4日目でも悠々手に入ったぜ。

難易度 ★1(予備知識無くても大丈夫)

 難易度とは何ぞやと言いますと、原作ありきの作品で「どれくらい予備知識が必要か」という尺度になります。例えば【鬼滅の刃無限列車編】は原作正史、つまりアニメ版の続編なので、アニメを知っておかないと十分楽しめないし世界観も掴みにくいので★3(予備知識ある程度必要)。

 天下の【ワンピースFILM RED】に至っては歌手のADOが話題ですが、ワンピースの原作ホールケーキアイランド編(アニメで言うと800話以上かかっている)までを知らないと分からないキャラも相当数出てくるため難易度は★5(予備知識必須)。

 そういう基準を踏まえた上で本作品の難易度は、現時点でアーニャの持つステラと一緒の★1(予備知識不要)です。

 開幕からメインキャラ3人+1匹の人となりや、物語の根幹を占める大筋説明もおさらいがてらキッチリ説明してくれます。ここら辺は劇場版名探偵コナン同様に親切設計

 上司や同僚や弟などのキャラも出てきますが、本作ではバックアップ方面での活躍にとどまっているため……いや、1人だけ結構重要なポジションいますが、それについても「分かりやすい」キャラ付けなので問題ないです。

新たなるファミリー映画への幕開け?

 日本におけるファミリー向け映画と言えば、コナン・アンパンマン・クレしん・ドラえもん・プリキュア・仮面ライダー等、様々あります。この中でコナン君だけは、ほぼ毎年劇場公開する割に興行収入が最新作で100億円を突破した化け物、ドル箱コンテンツとして君臨しています。

 SPY×FAMILYは今回の興行収入、満足度などによっては、これらのファミリー映画に名を連ねる可能性が大いにあるポテンシャルを持つ作品。コナン君同様に大筋の目的があり、しかし本編の進行は緩やかで完結はまだしていない(するとしても当分先)。オリジナルの劇場版をいくらでも作れる。アニメ本編が原作に追いつく問題もあるので是非ともやって欲しい。

 それでは前置きはこのくらいにして早速感想に参りましょう。

※この記事は『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』のネタバレあり感想です。まだ見ていない人は劇場へオデケケ!!


オペレーション梟(ストリクス)終了のお知らせ

 偽装家族を作り、子供を名門校に入学させ、優秀な生徒の証【星(ステラ)】を8つ集めさせてインペリアルスカラーに格上げし、大物政治家ドノバン=デズモンドも参加する懇親会に出席して彼との接触を図ることで、一触即発の東西戦争の火種を未然に防ぐ。

 凄腕スパイ【黄昏】に課せられた高難易度任務を、コネでのし上がった無能な男が横取りしそうと言う所から物語はスタート。

 いつものSPY×FAMILYらしい始まり方で安心感を覚える。原作にはない完全オリジナルエピソードなので作風とか作品の持つ雰囲気がどれくらい大事にされているのかっていうのは物凄く大事な要素。原作ファンもホッと一息つける。

ラブ多め

 本作は本編だとそこまで深入りしていない、ロイドさんとヨルさんの偽装夫婦としての側面やヨルさんから向けられる思慕が前半のメイン要素になっている。任務を下ろされるとかそういうの抜きに、妻として出来る事などの不安に駆られて暴走するヨルさん、麗しいのにポンコツ過ぎる愛されキャラだ。結構ドキドキさせるシーンも多数あって、偽装夫婦の一方通行的なイチャイチャを堪能したい人は満足できそう。私も満足でした。

ロイドさん:本格的スパイアクション

 単体で何でもこなせるロイドさんはアニメ本編だと「テスト問題の収拾」やら「裏から事件解決する」立場で、本格スパイアクションとはやや無縁。しかし今回は映画。存分に実力を発揮できるので、より彼の万能超人っぷりが際立つ。銃撃戦も敵地潜入任務も何でもござれで、ワクワクのスパイ映画っぽいぜロイドさん!

ヨルさん:少年漫画ばりのド迫力バトルアクション

 タイマンならそこそこ強いロイドさんだが、バトル漫画に出場させるならヨルさんで間違いないだろう。「アナタ出る漫画を間違えている」筆頭格で、アニメでも遠距離攻撃が使えない・未熟な精神性くらいしか弱点がない。ラケットでボールを打てば人が死ぬレベルの威力になり、軽く手加減したハンマーアタックで遊具が破壊され、動物に回避行動を封じるほどの恐怖を与える。

 そんな絶対無敵の彼女は勿論本作でも大活躍、爆炎や熱気漂うバトルは彼女の独壇場だった。「徒手空拳や身体能力においては本編最強格で並の相手では彼女をピンチに陥れることが出来ない」ので、CODE: Whitにおける彼女のバトル相手がああいう存在になったのは納得しかない。ヨルさんでも結構危ない相手、気になる方は劇場へGO! あのバトルを見て「そういえばこれジャンプアニメだったわ」と思い出せます。

アーニャ:コメディ要員+ヒロイン

 スパイアクション・バトルアクションを父母が担当。そしてコメディ要員+ヒロインなのがアーニャ。ぶっちゃけこの物語はアーニャが偽装家族の鎹になってくれないと要所要所で詰んでいたし、あらゆる事件の芽を摘むのに必須の存在でもある。

 今回も「過激な思想を持った奴が手に入れたら戦争が起こる物」を、そうとは知らずにアレしてしまう所で事件に巻き込まれる。そして連呼するのだ品のないセリフを……! 異空間にも招待される。この辺のやり取りは「クレヨンしんちゃん」で散々見た事があるので笑いを堪えるのに必死だった。見ている方は総じて「なんだこれ」状態。個人的に【クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦】のきったねえ美しいシーンを思い出した。しかし5歳かも怪しい女の子にさせるには酷な演出だと思った。許せアーニャ、これも子供たちへの爆笑と物語の緩さに貢献するための尊い犠牲なのだ……!! 全編に渡り正統派美少女な顔面なのに変顔も惜しみなくするので好感度はさぞ高かろう。

ボンド

 未来を予知する実験動物ボンド。今回もしっかり活躍してくれますが、戦闘能力はそれほどでもないので終盤の展開には参加不可。先ほどクレヨンしんちゃんと言いましたが、つまり彼のポジションは「シロ」です。わたあめは出来ませんけど。ふわっふわででっかくモフモフで癒されます。アニメ2期最終回も彼がメインでしたので大事な家族の一員です。

先輩好きですさん:いつも通り有能で面白い方でした。そしてトラブルメーカーでもありました。

敵陣営は掘り下げ不足か?

 コラボもしているウィッシュを最近見に行って思った欠点が敵陣営(マグニフィコ)の掘り下げ不足でしたが、フォージャー家の掘り下げに終始するため敵の掘り下げを最小限にしたのは名采配だと思います。子供からしたら「何か悪い奴ら」と分かれば十分。大人からしたら「過激派の急先鋒で戦う気満々の軍人」と分かるのでこちらもオッケー。やべー奴らを倒す。それくらい物事は単純で構わない。しかし偽装家族の掘り下げは本作で十分出来たので、次回作があれば敵の掘り下げは必須でしょう。

月明りもふんわり

 しかし本作の根幹は、色々な事を経て、綻びを生じた家族が繋がりを取り戻す物語で一貫しているのも上手。家族サービス的な遊び、旅行という特別な行為に歓喜の子供、それを表面上は取繕えても任務優先で動いてしまいがちなロイドさんにしっかり諭してあげるヨルさん。血の繋がりどころか愛情すらもあやふやな偽装家族だからこそ、初めて触れていく家族愛の尊さに少しずつ気付いていく。この点はクレヨンしんちゃんと似て非なるアプローチの仕方で感心します。

気になる点とかの説明

「ヨルさんの行動を不審に思わないの?」

 ヨルさんがロイドさんの下手糞な嘘を信じる場面、アニメ本編で弟のユーリが、敬愛する姉の嘘を一切疑わなかった描写もあるので「心を許しきった、或いは愛する人の言葉は無条件で信じる純粋さ」は姉弟似ていると説明できたりします。

「ロイドさんの万能っぷりをヨルさんは不思議に思わないの?」

 あの状況下、ロイドさんには疑うよりも優先するべき事があったので保留したか、或いは日常的にヨルさんの超人っぷりを垣間見ているので「飛行機に乗ってきた……そういうもんなんだな」とスルーしたと思えば割と筋が通っています。

「勝手に他人のトランク開けちゃったけどいいの?」

 結果的にああしなければ戦争が起きていたとはいえ、道徳的にはダメなアーニャの行為に終盤「そういうことしちゃダメでしょ」というニュアンスの突っ込みも入ります。ダメなことはダメ。可愛い子でも、結果的に正しい事でも、しっかりと叱ってあげられる大人を家族に見せてくれる。やっぱりファミリー映画である。

主題歌2曲

 どっちも素晴らしかった! しっとりと物語の終わりを告げてくれる『光の跡』(リンク先はコラボ映像なので若干ネタバレあり)は余韻を楽しむのにぴったりだ。だがその後に流れる個人的には何度も何度も聴いている【SOUL SOUP】、浸りきって「いい映画だったね」くらいの気持ちに間髪入れずトッピングされることにより「楽しい映画だった!」と子供たちの意気をアゲてくれる。ショッピングモールにある映画館だったらその後は子供と一緒にショッピングタイム直行だぜ!

まとめ:軽く見に行ける良作

 劇場版 SPY×FAMILY CODE: Whiteは、SPY×FAMILY初の映画であり、初見にも優しい入門的なエンタメ全振り映画です。

 昨今のジャンプアニメ特有の涙が零れるような悲しくて感動する展開や、全編超絶作画で目が疲れるなんて要素がほぼないです。良い意味で軽い。

「こういうので良いんだよ」と拍手したくなるような安定感。次回作は感動要素等を盛り込むのかどうなるかわかりませんが、スナック菓子食べながら見るのに最適な映画ポジションは何やかんや得難いので大事にしてほしいですね。あとは映画を1年ではなく半年に1度公開にしません?? 3期に行くには原作ストックが心許ないので、劇場版オリジナルで話題を掴みつつ集金していくとか、どうでしょう?

 ということで感想を終わります。皆、劇場へオデケケだ!!

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サポート1人を1億回繰り返せば音霧カナタは仕事を辞めて日本温泉巡りの旅に行こうかなとか考えてるそうです。そういう奴なので1億人に到達するまではサポート1人増える度に死に物狂いで頑張ります。