スーパームーンを追いかけて【Vtuber二次創作超短編小説】

 可哀片コハルちゃんを知っているだろうか。可哀想な欠片と書いて、かわひらこはる。独自世界観から配信をするという彼女は、動画内では明るいのに不穏な雰囲気の世界ばかりが目立ちますが、ツイッターでは陽気に接してくれます。

動画とサラッと解説から

 終末世界でただ一人生き残った女の子。青い兎(?)のペケと一緒に荒廃した世界の中で生きています。信号機の合図と共に現れる生物(?)を倒したり色々とイベントの企画を立てるのですが、回を増すごとに動画の奥にある彼女の物語が少しずつ進行していくという現在進行形で楽しいVtuberです。歌も結構チョイスが美しいのよ?

 因みにせっかちさんのためのCM動画もあったりするのよ。現時点で残すところ5話になった彼女の物語、その目に焼き付けるのも悪くないわね。

 え? 誰もいない世界なのにどうやって私たちに話しかけているのって、私たち(ファン)は別世界線の、終末を迎えなかった人たちなの。だからファンネームは生存者さん。動画では私たちに語り掛けてくれるのよ。

出来心から始めたコハルちゃんごっこ

 ちょくちょく彼女あてのツイートで、コハルちゃんごっこをしていた私。コハルちゃんごっこって何ぞやって人のために解説しますと、私が勝手に考案した以下のようなツイートです。

1:【生存者さん(ファンネーム)たちこんにちは】という1文からスタートします。礼儀正しい良い子です。
2:中の分はこっちに語り掛けるようにしつつ、自分語りも忘れずに。
3:最後の「」は動画を見ればわかるのですが、画面暗転時に映る文字を示しています。以後の二次創作小説でも、カギカッコは暗転よ。

 以上の流れはコハルちゃんの大半の動画で見れますので、疑似的なコハルちゃんを演じることが出来るのよ。蝶々がコハルちゃんのモチーフなので、別世界線のコハルちゃん、バタフライエフェクトということで私も、もしかしたらコハルちゃんなのかもしれないわね。

「自分をコハルちゃんを思いこむ精神異常者」

 以上がコハルちゃんごっこです。いかがでしたでしょうか?(ブログ特有の締め)興味を持った方にはすぐに動画を見に行ってほしいわ。登録者数が増えたら喜ぶもの。彼女の物語を1人でも多く見てくれると嬉しいわ。

 あと、二次創作ってありなのかと思ったのだけど、

 音霧コハルとして書いても多分許されるわよね?
「怒られたらごめんなさいやで」

スーパームーンを追いかけて

※この作品は二次創作です。解釈違い、設定の齟齬がある可能性があります

 生存者さんたちこんにちは。可哀想な欠片と書いてカワヒラ。可哀片コハルよ。この挨拶も段々様になってきて、Vtuber道を一歩一歩突き進んでいる感じがするわね。皆、私に付いて来てね。

「私たちはまだ上り始めたばかりだからね…!」

 ところで先日、生存者さんたちから面白い情報を頂いたの。何でも、月が綺麗な夜があるみたいなの。……えっ、月が綺麗なのはいつもだって? そうよ。月っていつも綺麗なの。綺麗で輝いて、誰にでも愛されているわ。

「羨ましくなんか微塵も感じていない」

 特に月が輝く夜。スーパームーンって言うんだって。最近SNSでも月の光が沢山満ち溢れているみたいなの。昼間なのに月ばかり見えるって、やっぱりSNSって不思議な世界だわ。

「月のパワー☆ 変身ッ!」

 月光の下で歌ってみた動画を上げることが出来たら、きっとバエるしバズるからおススメだって言ってくれてね。生存者さん達にも、そんなにきれいになるなら見てほしいなって思うのよ。

「ところでバエって何かしら?」

 ――場所移動――

 実のところ、月なんてどこに行っても見えるのよ? だって終末世界で、人っ子1人いないんだから。いるのはペケくらいかしら? でも、どこでもいいって言うんじゃあ今回の月映え作戦はご破算。特に綺麗な場所を求めていくわよ。

「密じゃなく疎。蘇は牛乳が元よ」

 瓦礫とか、色々あるけれどもね。不思議と躓いたりとかはしないわ。だってこの世界に来てもう一年もたつのよ。先日誕生日だってしたわ。記念日って覚えておくと、女の子にモテるってお話よ。

「誰でも良いから一緒に祝って」

 あら……あそこ、あのボロボロのビル。あれの屋上なんてどうかしら。空に近いほど、お月さまはより大きく綺麗に見えるのよ。コハルはああいう高い所よりも低い所が好きだけど、月映え作戦のためには頑張らなきゃね。

――場所移動――

 そういえば知ってる? 昔好きだった絵本の中には、お月さまをお父さんが取ってくれr…お…おt(知らない)…おtぉさ(そんなの知らない)……ド忘れしちゃったわ。この間の絵本みたいな綺麗なものでないと、印象に残りづらいのかもしれないわね。

「」(ビルの中に入る音)

 やっぱりここも瓦礫ばかりね。階段が朽ち果ててないかが気がかりだわ。もしも駄目なら諦めましょ。大丈夫、時間はまだまだたっぷりあるんだから。……あら、これは……ロープ? 終末世界には、たまに綺麗なものが落ちているのだけど、これもその一つね。良い具合に締まっているわ。……まさかとは思うけど、今回はこれを使うことになるのかしら? いくら私が終末世界1年生のベテランだからってそんな……か、階段はきっとあるわ。壊れていない。朽ちてないはずよ。ペケ!! 一緒に安全な階段を探して!! どこにいるの?!!

「くのいちコハル。爆誕しないわよ」

 いくら呼んでもペケは出なかったけど、階段はどうにか発見できたわ。見る限り屋上まで無事……かどうかはわからないけど、ロープの必要はないみたい。月を見るためとは言え、映画でしか見たことのないアクションだなんて御免被るわ。こう見えて私インドア派なんだから。え、知ってる?

「階段上りながらふと立ち止まる」

 そういえば、今から屋上まで行っても、夕方さえ遠いのよね。どうしましょう。時間を潰す方法は何かあるかしら……なんて思ってないかしら? 平気よ。だってこれ、動画ですもの。暇な時間はバッサリカット出来るのよ。

「動画勢の強み」

 というわけで私以外の時間は消し飛んだわ、夕焼けがそろそろ落ちる時間よ。土埃とかススが付きまくっているって? 何の事かしら。やっぱり汚れがあったから少しだけ汚れちゃったわ。それより見て……月夜

――夜空をクローズアップ――

 綺麗な月だわ。いつもよりも白くて、キラキラしている気がする。こんな夜に歌うのって、きっと心が躍ると思うの。お月様にいる兎のように、跳ねて踊れたら……そんなわけで、コハルの歌をね。EDに流してこの動画は終わるわ。前よりもパワーアップした歌唱で!

 EDロール。暗転した画面の後、熱唱するコハルちゃんの姿が映り……それが右にずれて、左画面には「NG集」と書かれた動画がスタートした。

「この階段途中で壊れているわ!? このままじゃ約束の時間に辿り着けないじゃない! 動画勢の強みなんて言ってやろうかしらって思った計画が水の泡になっちゃうわ! カッコいい姿見せたいの私! でもどうしよう、梯子? ……まさかこのロープを? だ、駄目よそんなの、鉤がないわ。あれがないとそもそもひっかけることが出来ないわ。……絶対に地面は見ないわよ。見たらきっと落ちているの。私にはわかるの、ベテランだからね! ほらあった! わかってたわ! やれってことね、知ってるわよそんなこと。終末世界ってこういうところ不親切でやれやれだわって感じよ。望めば出てくるってことだから私が本当は望んでたのかしら……でもやるしかないわ。こう、くるくる回して……エイッ! 届かないわ!? もう一回、えぁーっ! だ、だめ、全然届く気がしない!! 悔しいわ……でもどうすることも出来ない。射出ワイヤーとかあればそれで上に行くことが………………あった!」

 この動画はプレミアム公開をしていて、生存者たちとコメント欄にいたコハルちゃんが震えていた。「ぺぇぇぇぇけぇぇえぇ!!!」終末世界に少女の声が響き渡ったのであった。

EX話『それはまるでイカロスのように』

サポート1人を1億回繰り返せば音霧カナタは仕事を辞めて日本温泉巡りの旅に行こうかなとか考えてるそうです。そういう奴なので1億人に到達するまではサポート1人増える度に死に物狂いで頑張ります。