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にじさんじの現状と今後を考える

手堅く快進撃を続けるバーチャルユーチューバー(以下『Vtuber』)業界。その中で、数多くのファンを魅了するライバーを多数擁する、いちから株式会社内の『にじさんじ』

2021年2月には、にじさんじのみの単独大規模イベント開催とあり、その盛り上がりと規模の大きさを窺い知ることが出来ます。

傍から見ていた私にとってにじさんじは、最初の頃と今とで抱く印象が全く違います。詳細はこちらにありますが、ここまで成長激しい企業になるとは思ってもいませんでした。

そこで個人的に考えをまとめておきたいと、思い立ちこの記事を書きます。興味のある方はそのまま読み進めてみてください。

資金面

エンターテインメント事業を手掛ける「いちから」は4月14日、シリーズBラウンドの第三者割当増資を公表した。調達した資金は総額19億円で、引受先はLegend Capital、
ソニー・ミュージックエンタテインメント、けいはんな学研都市ATRベンチャーNVCC投資事業有限責任組合、伊藤忠商事の4社。
今回調達した資金は国内外のVTuber事業を支える人材、および新規事業開発の領域に投資する。
                    (上記リンク先より一部抜粋)

最初に言っておくと、資金繰りに関して気になる部分は全くありません。後ろ盾をする企業に、一般人でも一度は名を聞いたことのある「ソニー」「伊藤忠商事」が入っています。この19億円は「投資をするために」調達するお金です。

最初は2019年8月末の7億円。その後しばらくして、3DモーションキャプチャのVICONを自社で用意しました。以後、3Dオフコラボなども幾度か開催されて、にじさんじの弱点部分である「動」部分が大幅に改善。ここから一気に3Dへ注力した結果、2020年8月の加賀美ハヤト3Dライブが実現しました。因みに舞台装置などに掛けたお金は彼自身のポケットマネーらしく、3桁万円は行ったであろうことが示唆されています。それが無料で見れてしまうのがまた驚き。

にじさんじの3D技術への投資は長い間行われて、その到達点がこの配信でした。これは次回の資金調達は更に集まる可能性が高いですし、「是非」と企業から案件が寄せられるだけの出来になっています。

仕事は舞い込む。金が入る。実績を積んで、投資も資金調達もして、更に仕事が舞い込む。こんなループに今入っています。よってお金に関する心配は現状ありません。

ライバーへの待遇

にじさんじ発足時は今と違って、増えていく人数にキャパシティが完全にオーバーしていた時期がありました。また、手探りかつ意欲的な行動が裏目に出ることも多いです(主にVOIZ、にじさんじ甲子園の有料配信、にじさんじネットワークなど)。

しかしライバーの事を思っている節はありますし、ライバーのやりたいことを積極的に叶えていきたいという姿勢は伺えます。それはファンからしても安心できるポイントです。

任天堂ゲームで配信したいというライバーの願いを叶えたり、今年9月1日に発表した誹謗中傷対策チーム設置をしたり、パ・リーグ野球案件を持ってきたりと、行動と実績に説得力があります。

イベントの交渉や営業、3D製作、マネジメント等のバックアップが充実しているので、ライバーも思い切りやれる環境になっています。思い切りやり過ぎて謹慎したり炎上することも何度かありますし今後もあるでしょうが、会社自体が傾く可能性は現状ないので、倒れたライバーはしっかりケアして立ち上がらせてくれると私は信頼しています。

いちからの別事業『ユメノグラフィア』

ユメノグラフィアはにじさんじを展開する「いちから株式会社」の別業態です。にじさんじのように配信もしますが、メインは1対1での会話。呼称もライバーではなく「キャスト」です。全員が最初から3Dですが、にじさんじの3Dと少々違って、Vroidを使った3Dになっています。

少し前までは30分で3300円。超の付く安価で好みのキャストと話せましたが、今年流行した例のウイルスによってか、需要が跳ね上がりました。

チケットの売れ行きが好調過ぎて、需要があっても供給しきれないという状況になりました。それゆえに30分4400円になり、増額分はキャストへの賃金面、待遇などの強化に繋げるとのことです。ぶっちゃけこれでも安いと思う人はかなりいると思います。

ユメノグラフィアを体験するにじさんじライバー達が、彼女たちの宣伝を数多く打ったのも需要激増の一助になっているのは間違いありません。また、その身で体験した方々の情報は「#ユメノグラフィア体験レポート」で検索すると出てきます。興味があったら覗くのもありです。

現状好調ですので、ユメノグラフィア単体イベントも今後あるかもですね。

いちからの別事業『SLEE』

今年6月に発足した新事業。にじさんじやユメノグラフィアとは全く異なる分野であり、2Dや3Dではない生身でのインフルエンサー集団として活動しています。いわゆるアイドルです。

面接には委員長も参加したらしいのですが、以後は完全に別部門という事でにじさんじやユメノグラフィアとのコラボはしていません。会話などの絡みなども見受けられません。

故に彼女たちについては、にじさんじやユメノグラフィアで生み出したファンによるロケットスタートは望めませんでした。(それでも各自登録者数が1000人突破しているのは普通に凄い)

クラウドファンディングも成功したみたいです。本当にいちからのスタートなので、今後の動向に注目です。

海外進出

にじさんじというコンテンツは、ホロライブと度々比較されることがままあります。ホロライブは海外リスナーを数多く取り込むことに成功しており、にじさんじはその点で今一歩遅れを取っている状況です。戦略が根本的にちがって、

日本の地盤を固めつつ散発的に海外展開もするにじさんじ

日本も海外も同時にリスナーを増やしていくホロライブ

波及力が強いのは間違いなく現状はホロライブで、海外リスナーの強さはホロライブENの登録者数増加スピードを見れば明らか。それに関して数字は嘘をつきません。

ですが、にじさんじも指を咥えて見ているだけではありません。

社員増員や3D技術の向上もそうですが、散発的に増やしている海外勢が少しずつその芽を成長させています。

先日行われたにじさんじAPEXリレー配信において、にじさんじは多数のコラボを5日間かけて成立させました。中でもにじさんじKR(KOREA)のboraちゃんとyuyaちゃんを加えての異国コラボは大成功でした。両名とも日本語に明るく、また西園チグサちゃんも韓国語を話せるために和気あいあいとした雰囲気で楽しかったです。

日本のライバーは100人を超えている状況ですが、海外組も合わせるとその数はさらに増えます。海外の語学に精通する必要はなくても、ある程度話せるだけで相乗効果の可能性は無数にある状態。ここは数の力です。

現在にじさんじが海外展開している場所は日本を除き3か国。そして今後英語圏へ進むことも決定しています。ホロライブが既に版図を広げた場所への参画ですので優位に立つのは難しいですが、そこから海外リスナーがにじさんじにも興味を持つ可能性は大いにあるので期待大です。

自社プラットフォーム等の集金方法変更

2D技術で大量にライバーを増やし、ライブ開催などを定期的に行って流れを掴む段階も終えています。3D技術向上にVICON導入で、自社内で独自のライブや配信を行うことも可能になっています。そのため、今年流行った例のウイルスがライブハウスへの道を閉ざしても、配信によるライブという試みを行うことも可能となっています。

ウイルスの流行はまだありますが、外出自粛ムードはだいぶ緩和されている現在リアルイベントが開催。また、BOOTHに頼りきりだったボイス販売やグッズ販売を、独自のプラットフォームで行うサイトも開設しています。

グッズやリアルイベントが充実するのは、スーパーチャットへの依存度を下げる狙いがあるのかもしれません。スーパーチャットはYouTubeに依存する集金方法のため、3割を持って行かれてしまいます。そこから何割かをライバーへ、残りを運営へというもの。対してボイスはBOOTH手数料を引いた分の半分という明朗会計。

因みに5万円をスーパーチャットした場合は、50000ー15000=35000(これを運営とライバーで分ける。比率は不明)。

ボイス(BOOTH販売)の場合は50000-2822(5.6%+22円)=47178(ここから折半)。そしてBOOTHへの依存が無くなったことで、この手数料も無くなりました。

集金方法から手数料を出来る限り少なくすることで更に飛躍する。そして投資もある、資本金も潤沢です。随分とデカい会社になった……。

CM依頼

にじさんじは大会を開く。スプラトゥーン、マリオカート、先日のパワプロ2020による甲子園。いずれも同接・再生数跳ね上がり、甲子園は10万人が見ている。もしも、こういった配信内にCMを挟んだらどうなるか? 10万人が丸々そのCM動画を見ることになります。

ただし、TVで流すようなCMは出さないでしょう。有名人とか出してもピンと来る人がいないかもしれないし、全く大会等と関係ないCMではただ動画の垂れ流しになってしまう。あくまでもVtuber好きなオタク層が多いことを念頭に置いたCMを打ってくれないかという打診。これはあると思います。

リアルタイバニ式衣装追加劇

にじさんじ甲子園の記事でも書いたのですが、企業からタイアップ依頼として新衣装を譲渡されるというイベントは今後あると踏んでいます。

Vを持たない企業:Vtuber界隈の中で大企業のにじさんじを経由し、自社の宣伝をしてもらう。宣伝目的は様々あるでしょうが、恐らく自社でVtuberを持つメリット以上にデメリットが恐ろしいから。数々の案件をこなし成功を収めている、信頼出来る企業に直接宣伝してもらう。そのために金を払う。

にじさんじ運営:受けた宣伝依頼を形にする。具体的に言うとその会社のイメージに沿った新衣装。そしてそれを誰に着せるかという判断。りつきんの場合は、さくらインターネットという強力な企業から衣装を貰って凄くヤバかわいい生物になりました(眼鏡と三つ編みは反則)。いわば企業とライバーを結ぶ仲介です。

ライバー:新衣装を貰うのは実質パワーアップイベントです。企業は金を、運営は衣装(ライバーの口添えなどもあり)を、そしてライバーはそれを纏って……「いつものように配信する」だけでいい。単純に衣装が増えただけであまりデメリットもない。

ぷちさんじに拍手

にじさんじ公式が推進するぷちさんじは相応の数になってきた。ここまで来ると1つのコンテンツです。しかしこのぷちさんじの美味しい所は、

「動画ゆえに見易く再度視聴もし易い」点。そしてYouTubeで今後正式実装されることは確実の、拍手機能。これは動画に対するスパチャであり、気に入った人はこれを使ってお金を投げる。

しかし流石に全部の動画に投げる人はいない。精々数十個見て最後に「ありがとな」と200円投げることがある程度でしょう。それでもファン数が増えれば次第に拍手が集まってエライことになります。

いつか生配信か何かで、「ライバーが選ぶぷちさんじ」大会開催とかして欲しい気持ちがあります。最優秀賞獲得者には何か特典も添えて。

新規ライバーの数は次第に減少?

本国でデビューしたライバー数
【2018年51人。2019年42人。2020年13人】(Wikipedia参照)。

2018年と2019年で93人も増やしていた新人ライバーですが、2020年あと3カ月で終了という段階で、デビュー人数が未だ20人を超えていません。増やすペースが最近鈍っているのは、既存のライバーを育てる段階と思っていたのですが、海外組の人数も考えるとなるほどと頷きます。

現在数十人ほどいる海外組を、認知度知名度共に跳ね上がり続ける本国組と絡ませることで、リスナーからすれば新人でも実力は磨き抜かれた状態で出現するのです。

あとこれは昔私がやっていた、シンデレラガールズ(ガラケー時代)でも地区解放毎に3人程追加されていたアイドルの数が、後半になると少しずつ追加人数とその期間を抑えめにしていたりしました(私のやっていた頃の話)。

新人投入によるブーストが必要だった、いわば勢いの必要な頃は過ぎて、安定軌道に乗ったと見ていいでしょう。そしてVΔLZ、セレーネ女学院といった、最初から決まった箱を打ち出すのも面白い所です。次に出る新人は、年末の少し前辺りと睨んでいますが……男性のみと女性のみの箱が出た後で、次は何が出るのか今から楽しみです。(言うだけタダの宝くじ)

まとめ

いちから株式会社は、にじさんじを主軸とし、サイドをユメノグラフィアで固めて、SLEEによる新規層への訴えかけをする。海外展開は随時行い、その面で現在優勢のホロライブとも渡り合えるポテンシャルはあります。資金繰りにも後ろ盾にも余裕が出ていますので、随時企画や企業案件をドシドシ持って行って欲しい所ですね。

ところで、にじさんじアニバーサリーフェスティバル2021の説明欄にはこんな一文があります。

にじさんじの“今”、そして、にじさんじの“未来”をお届けします。

2021年2月末の巨大イベントには、多くの方が来るでしょうし、海外展開した組も揃うでしょう(現地に来るのではなくリモートで)。ただ……楽しいだけのイベントで終わるわけがないと私は踏んでいます。両国国技館ライブ終了時に、ZEPPジャパンツアー告知を行ったように、ライブ終了の高揚感を更に爆発させる仕掛け。今はガランガランの国立競技場でライブとか……あったらいいなあ!!

以上、まとめ終わりです。2Dから始まった彼らの行く末、その先に未来があると信じています。


サポート1人を1億回繰り返せば音霧カナタは仕事を辞めて日本温泉巡りの旅に行こうかなとか考えてるそうです。そういう奴なので1億人に到達するまではサポート1人増える度に死に物狂いで頑張ります。