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【常勝不敗?】MUTEKING THE Dancing HERO(1~5話)感想

 とんでも戦士ムテキング……遥か昔に放送されていた、タツノコプロ出のアニメ。ローラースケート・マッシブボディ・カッコいいとダサいの中間を行くスーツ、何よりワンマンライブ的に歌って、スタイリッシュに倒す。

 3年くらい前か、気になってdアニメにて少し見たけど面白かった記憶。ただ余りにも作画の古臭さがどうしてもあったため、最近まで忘れていました。歌はその頃リピート再生したのでよく覚えています。

 そんなムテキング、リメイク作品が出ると言う触れが出た際は「令和に昭和のムテキング持ち出す?!」と軽く衝撃を受けたのを覚えています。しかし主人公が今風の青年だったり、割とカラフルで奇抜な世界観だったりと、古臭さを極力脱臭しているためあまり気になりません。

 今回は【MUTEKING THE Dancing HERO】の感想記事になります。1話から5話までのネタバレを含みますので、まだ見ていない人は是非とも見てほしい。意味不でカオスで癖になるクリームソーダみたいな作品です。

あらすじ

 ネオ・サンフランシスコにいる祖母の家へ引っ越してきたムテキ(苗字不明)。都会の中で右も左もわからぬ彼と遭遇した陽気なDJのDJ(名前)。一見平和に見えるこの街は、人をドロドロのスミにしてしまう恐ろしい何者かの侵略を受けていた。DJのなんかテンション上がる楽曲をハートでビートさせることでムテキは素敵で無敵なムテキングに変身、何者かを倒すことで平和を守る事になる。

 ……あらすじ聞いただけでは意味わからんかもしれないけど、本編も最初からかっ飛ばしているためむしろわかりやすいと思えるはずだ!

メインキャラ

ムテキ:良くも悪くも現代的な少年。新しい物には憧れるし、トレンドも何となく良さそうと引き寄せられる。アイダさんが好き。ムテキングに変身可能だが、何故彼にそれが出来るのかは不明。

DJ:DJ風の男。名前もDJ。割と神出鬼没でムテキを心底気に入っている。ムテキの祖母とはマブダチで同居中(ソウルフレンド的仲)。街で起こる怪事件や何者かの事について知っているらしいが、多くは謎。

セオ:ネオ・サンフランシスコ市長が行方不明になった事により、実質的に街の実権を握る巨大IT企業オクティンクのトップ。彼の打ち出す商品やトレンドは瞬く間に人気になる。何者かと繋がっていて、人間をスミにする事なども知っている敵サイド。多分人間ではない。

アイダさん:ネオ・サンフランシスコ海沿いにある喫茶店の看板娘。ムテキが何を注文してもクリームソーダしか出さない変な子。美少女でいつも笑顔だが、どこか機械的な印象を受ける。

ステキング:変身名ではなくこれが名前らしい。トレンドの最先端に触れて何するわけでもなくすぐに帰る冷やかし。イケメンだが何者かはさっぱりわからない。

4兄妹:カラフルな肌の色をしている個性的な4人(そもそも人間?)。いつも『PIKO PIKO』にたむろしてゲームしたり駄弁っている。ムテキの友人だが正体は不明。

ビビ姐:長身で片幅も広い濃い目の美女(?)。『PIKO PIKO』の店長らしい。客は殆どいない。ミラーボールを髪のてっぺんにのっけている。

オーロラ:ネオ・サンフランシスコでは有名人。歌が物凄い。しかし聞き続けたものはもれなくドロドロのスミになる敵サイド。ムテキもこの歌を聴き続けるとスミになるらしいが、DJがいつもさり気なく守ってくれる。

何者か:足はなく、両手があり、浮遊する、のっぺり顔の幽霊みたいな敵。人間がドロドロのスミになった後に登場し、抱えた壺の中に炭を回収する様が毎回映る。5話ではこれまでとは違う厳つい姿になった。

ムテキング戦闘

 ムテキング変身時、敵の『何者か』を光り輝く都市群のような結界内に閉じ込め、旧作OPである「ローラーヒーロー・ムテキング」をBGMにローラースケートで疾走。以後は歌詞の特定部分に合わせて攻撃を繰り出す。

 敵側は大きな口からスミ玉を連射して迎え撃つがこれを全て回避し、「テイキングオフ」で光による拘束。高所まで移動した後「ミラクルスピン」で一気に巻き上げ攻撃。「素敵×4」の掛け声と共に5つ星が4つ落下して敵にぶつける。「ムテキンチェンジ」で結界内を明るくする(恐らく浄化の前準備)。

「What you are name?」で敵を完全浄化で消滅。
「Are you dancing?」にて結界解除、元に戻る。

 4話までこれ。4話まで「変身時点で勝確」の無敵っぷり。しかし具体的にどういう効果を与えているのかは考察しない限りさっぱりわからない。戦闘シーンは所々変わっているので違いを楽しむのもありだが、やってることはほぼ同じなので戦闘シーンは現状おまけみたいなもの。

以下考察や5話の感想ネタバレに入ります

 取り敢えず本編を見てほしい。何気ないやり取り、平和な街並み、主人公を通じて見るネオ・サンフランシスコなどを見てからがおススメ。

スミ

 セオがトップを務めるオクティンクは、1話・5話を除いて自社開発の商品を毎話市民に提供する。その商品やサービスを受けた者がオーロラの歌声を長期間聴くと、スミになる。直前は意識が朧気になり、自分がスミになっていくことを知覚する事も出来ないまま脱力し続けて液状のスミになる。

 そのスミが一定量溜まると、『何者か』が生まれてスミを回収する。回収されたスミは3話時点で、オクティンクの積載車に運ばれて本社の地下か奥に蛸壺に入れられて保管される。そのスミをどうするのかは不明だが、数からして相当量の人間がスミにされている。ネオ・サンフランシスコの外からも入っているかもしれない。

 また、5話においては戦闘中のムテキングの元にホログラム体(?)のオーロラが現れ、『強化版何者か』を包み込み離脱することなどから、必ずしもスミの全回収をする必要はない模様。

スミ化の条件

人目の付かない場所に一か所に集める事。
もしくはその場に居合わせる全員をスミに出来るスポットを作る事。

 その上でオーロラの歌を聴くと人間はスミになる。1話・5話目ではオーロラによる特設ステージが存在し、聴衆を一網打尽に出来る条件が整っている。2・3・4話目においては店内に誘導したり、チルスポットに集めて一網打尽にした。

 商品はあくまでもその場に集めるための餌的アイテムなので、基本的にオーロラの歌だけでスミに出来る。対策としては「歌を聞かない」という単純明快な手法。事情を知らないムテキの耳を毎度DJが保護している。

 しかしこういった回りくどいやり方をする辺り「まだ表舞台に立てない」理由が敵側にはありそう。証拠となる目撃者を一切作らない=敵を作りたくないということだろうから。

〇〇〇細胞

善ダコ細胞:1話変身時にて「熱いソウルを秘めた存在」として紹介。血管内に飛散して瞬く間にハート(心臓)へ到達、最高のビートを刻みだす。これによりムテキはムテキングへと変身出来る。DJの持つラジカセをONすると発動するので、人間に元々ある細胞を活性化させているのか、それとも空気中にあるそれを対象に向けて移動するよう仕向けているのか、メカニズムは不明。

悪ダコ細胞:4話目にてオーロラの歌を聞いてぐにゃぐにゃになったムテキをDJが救い上げた時に出てきた単語。この時ムテキはオークティンク主催のチルイベントに参加、黒いジャグジーに身を浸していた。DJ曰く、摂取しすぎると死ぬらしい。名前からして善ダコ細胞とは対の存在であり、あちらはムテキングへの変身を促し、こちらは人間をスミに変身させる。

 死ぬというのがスミになる事なら、あの蛸壺の山は死体の山と考えると相当エグイ設定。

ムテキングの浄化に隠された意味

 毎度同じ戦闘で謎の敵をやっつけて浄化するムテキング。この浄化完了後、その場に居合わせたスミ化した人間は全員元に戻る。

 ただし、単に元に戻るのではなく『悪ダコ細胞摂取前』の状況に戻る。考えられるメカニズムは『悪ダコ細胞の活性化を抑え破壊』『悪ダコ細胞とは真逆の細胞を活性化させる』などが挙げられる。

 ともかくムテキングは悪ダコ細胞を唯一浄化できる存在であり、敵側にしてみれば正体不明の失敗事象そのもの。ネオ・サンフランシスコは何があっても大丈夫だろう。ただし……

タイムアップ

 戦闘シーンは決まっていると先ほど言った。4話までは無双出来たとも言った。しかし今回は5話までがネタバレ感想の範囲内。5話はムテキの初動が遅れて敵もいつもより大幅パワーアップの見た目をしている。

 どうにか変身しいつも通りの戦闘を繰り広げるが、しかしどれも効き目がない。よく見ると背景も薄暗く、明るさが足りない。そして最後の浄化文句「What you are name?」で、敵はくぐもった声で「オーロラ」と返した。現れたオーロラに包まれた敵はそのまま消えて戦線離脱。

 戦闘終了時、ムテキがアイダさんとのデートを楽しんでいた遊園地は、廃墟ですらない岩場に変化し、そこにいたであろう人間の姿は影も形もなかった。DJ曰く「タイムアップ」。どうやら、時間制限アリ(※1)。

 仮にムテキングが敵に負けた場合何が起きるのか? その答えが寒気のする程の絶望感として目の前に広がる5話だった。

オーロラ

 私がオーロラの正体に勘付いたのは3~4話。1話ではムテキが「オーロラのフェス」に居合わせていたが、その切欠をくれたのは他でもなく……。

ムテキング変身条件

 先にも言ったが、DJの音楽により善ダコ細胞を注入され、ムテキはムテキングへと変身可能。

 前作ムテキングだと、主人公の相棒的存在、宇宙人のタコ、タコローが「キラキラした何かを吹きかける」と人間をムテキングに変身させることが出来る。変身時にはやはり周囲が煌びやかなステージへと変化、今で言う固有結界がその場を包み込む。

 本作でも特に説明もなくムテキング登場中にピンク色のタコDJが現れていたが、5話の戦闘終了時にDJが一緒にいたことから、ピンク色のタコ=DJであることが確定した。彼がタコローであるなら、音楽に何か細胞を吹きかける装置を付けていてムテキを変身させていたことも説明はつく。

 このタコローが前作と同一人物なのかは不明。前作のようにムテキ以外の人間を間違って変身させることが出来るのかも不明。だが1話でDJが戦闘終了後「あんな最高のステージ見たことねえ」とムテキに感動している様子から、他の人間もムテキング化させていた可能性がある。その場合ムテキはシンクロ率・適合率などが相当高いレベルと推察できる。

※1:DJの言った「タイムアップ」はムテキング変身時間の事を指すのか、それともスミに変化した人間を元に戻せる時限を指すのかは不明。前者の場合は時間切れを把握していないはずがないと思うので、恐らく後者と予想。

戦闘能力はまだ伸びる?

 前作では相手が機械だったから「ムテキンキック」というライダーキックさながらの威力抜群な必殺技があったりする。また徒手空拳が金属の外皮をいとも容易く切り裂いていることから身体能力は化物。

 今作ではスミの浄化技のみ使っているが、敵がパワーアップしたならこっちも強くなってくれるとありがたい。と言うかそろそろ同じバンクアクション以外のものが見たい!!!

 僅かに火力が高そうな2番歌詞になるかもしれないが、やはり個人的には6話でムテキンキックが飛び出てくれると期待している。

 それとも、ムテキが自発的に変身をする予告カットから前作(昭和)→本作(令和)バージョンのOPに変化するというのもありか? それはそれでいいが、オレンジレンジのOPが戦闘BGMになるとしてどんな絵面になるのかはまるで未知数。

次回に期待

 これまではDJに流されるように踊って来たムテキ。失敗した場合どうなるかのイメージが全くない所からの、全てが無に帰す敗北を味わって落ち込む展開。そこから再起することにより、ヒーローとしての自覚を持って変身するのだとしたら相当熱い展開である。今回倒せなかった何かを次回は倒せるのか? 1話時点では混沌として何一つ理解出来ていなかったこの作品、気付けば深くハマっている自分がいる。興味を持った人はこれを機に見てほしい。「わけわからん!!」と叫びたくなること請け合いだ!

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