千尋限界ガチ勢のカオナシさんを見てきたよ!【千と千尋の神隠し感想】

 スクリーンで見る千と千尋の神隠しは最高だなあ!! テレビも良いが、この大画面の圧倒的迫力には敵うまい!! ああ、ジブリ作品を映画館で見るのは初体験でしたが、「もののけ姫」とこれで悩みまくって結果勝ったのが千と千尋の神隠しなのです!

 やはり日本映画興行収入ランキングで約20年経ってなお君臨し続けるのは理由がありますね……その圧倒的世界観には唸るばかりで、あの油屋に行ってみたいとか本気で思うくらいにはハマりました。この次もののけ姫で中二病成分を注入してきますので何卒、何卒、我がバイブルの天空の城ラピュタを映画館で見させてほしい……!!!!

子供の時分からなかった魅力を再発見

 紅の豚は、子供の頃に見ても面白さが分からなかった。最後の大乱闘シーンでカーチスが水をベッと吐くシーンばかり印象に残っていて、物語の大まかな流れすらも知らんかったものです。しかし、大人になって見れば、世知辛い情勢に男のロマンと、静かにかっこいい大人たちの愛憎交えた恋愛物語って……滅茶苦茶ロマンティックでカッコいい豚さんに感服する映画。いやまあ子供にこの面白さ分かれって言ってもわかるわけないわ。トトロで目玉ほじくる歌で笑ってるくらいがちょうどいい。

 千と千尋の神隠しもそう。子供のころ見て面白いと確かに思った。思ったが、それは動きのあるシーンばかりで、何が面白かったのかを説明するのは難しかった。だからこそ今回見に行って、改めてその面白さの本質を見たからこそ、千尋がおむすび食べて泣くシーンで号泣したんだ私は。

 また、千尋の成長ぶりと各人の想いとかが色々と交錯した末に導かれたハッピーエンドには、「セーブロードなしに難度の高いトゥルーエンドを迎えた超主人公」という満足感。特に千尋の金太郎みたいな前掛けが背中丸見えでe(これ以上言うと通報受けそうなので控える)

千尋限界オタク→カオナシ

 今回カオナシに抱いた印象はこんな感じ。考察サイトとか見ると「人間の心」とか「欲の化身」とか色々解釈の仕方があります。欲の化身は私も思うけど、それ以上にカオナシの千尋に対する想いっぷりがやばい。

 この記事の本編、カオナシの気持ちを考察し、捏造の心の声台詞を書き連ねます。当然私見が入りますので解釈違いは上等。「私はこう思っただけ」なので、貴方の意見は貴方の意見で、間違いないと思います。

最推しの千尋との出会い編

 まずカオナシが出たのは、ハクと手を繋いで息を止めつつ橋を渡るシーン。他の神様連中は一切知覚できなかった(知覚しても「ままええわ」と見逃した可能性もある)のに、カオナシは終始千尋を眺めています。

K「あれ、めっちゃ人間おるやん。おるやん。お手手つないでどこ行くん? 珍しー、愛らしー。ちょっと気になるな……追っかけてみよ」

 (記憶が正しければ)次に出会うのは就職後に「千」になった千尋が、雨の降る中立ち竦むカオナシに「ここ開けときますね」と入るよう促すシーン。

K「あの子追いかけているけどどこにいるんだろ。結界か何かで入れないんだよね……気になるな―……あ、仕事しとる!! 健気……人間が、しかもあんな小さくてかわいい子がここで働くってどんな事情があったんやろ……親は何しとんのかな……雨か……雨降ってきたけど、まあ関係ないな……それよりもほらこっちに来るよあの子が!! うわーあんな重そうな水を、体力あるな―いいねいいね……あ、こっち見た!!? どうしよ、結構目立たないようにしてたけど……え……開けてくれた??? 笑顔眩し……めっちゃええコ……推すわ」

 次は薬湯の札を貰いに行くシーンで、投げ与えてくれたカオナシ。

K「もっと近くであの子の欲しいものとか色々観察しちゃおう……でもあんな風呂釜洗ったりとかとっても大変そう……え、薬湯の札?? それ欲しいの?? 何だよこいつ札くらいあげろよ……この子とっても困ってるじゃん。2度も無碍にしたな……この隙に……ほいっと。……あ、今のありがとうって、絶対僕に言ったよね!! この札が欲しいのか……取り込むことが出来そう……」

 大量の札(多分土くれ)を出してみたけど「そんなにいらない」と言う。

K「見て見て!! 沢山欲しいでしょこれ、これからなんか変な奴来るだろうから沢山持つといいよ、絶対おすすめ、欲しがってくれるよね?? 取り込めるかもしれないな―、ワクワク……えっ……??? いらない?? えだって、さっき欲しいって言ってたのに、いらないの?? そんな……」

推しへの愛暴走編

 その後お風呂場で蛙を飲み込む際の心境はこんな感じ。

K「推しの笑顔とどんな知識持っているのか知りたいのに、喜んでくれなかった……でもでも、札自体は使ってたから、全くいらないわけじゃないよね……よね……はぁ……札じゃないなら何が良いかな……あ、そういえばさっき皆、砂金なんかで喜んでいたな。キラキラしてるけどこんなのの何が良いんだろうね。……お、蛙……欲しい?? 砂金欲しい?? あげるよ、だから……取り入れさせて」

 蛙を飲み込むことで欲深さを表現し始めたカオナシはその後砂金まき散らしてお大尽様になるが、千尋に会って砂金大放出するも、タイミングが完全に悪くて無碍にされてしまうシーン。

K「皆砂金ごときで大騒ぎだ!! つまり砂金isGODなんだよね!! もっとうまいものを寄越せ、もっと大きく逞しくなって、その上でキラキラの砂金上げたらきっと千尋(蛙から知識を得た?)は大喜びするぞ!!! 僕の推しが笑顔になるシーンとか目に焼き付けないとね!! 僕目がないけど!!! ……あ、ち、ちちち、ちっひ!!! ああ、ちっひ可愛い、眩しい、エモい……!! ホラホラ、砂金だ、砂金を大放出だ、ねえねえ喜んでくれるよねちっひ!! ……え、いらないって、嘘、そんな、どこ行くのちっひ!!? ねえ、砂金だよ、砂金だよ!!? こんなに沢山あるんだよ!!?? ……うそやん……なんなん……え、だってこいつら皆、蛙だって欲しがっていたじゃん……砂金……ちっひぃいいい……笑っておくれよ、笑ってくれ、推しの笑顔見たい…………ハァ!? 何、お前今俺のこと笑った!!!? 欲の化身が欲で人を惹きつけられない事に笑ったのか!!? いや違うな、俺が推しから袖にされたことか!!? 小娘にいいように振り回される滑稽さに笑ったのか!!!!? お前らなんか嫌いだこの砂金馬鹿どもが!!!!」

 その後腹の据わった千尋に砂金を出したりしたのに苦団子ご馳走になったシーン。

K「ちっひ!! 待ってた、神妙な顔してるけどそんな君も可愛い!!! さっきは急いでたし、砂金なんかいらないよねそりゃあ。わかってるよちっひ、僕が君のナンバーワン顧客になるよ、だから砂金を出してあげるよ、いや、砂金じゃ嫌なら他のものを出そうか……え、いら、ない???? しかも僕には、僕には出せないモノだって??? 嘘だ、欲の化身の僕が、ちっひ1人満足させられないだなんて、そんなの嘘だよ!!? 何だって出せるから言ってごらん!!? お金じゃないなら美味しい物?? またあの札?? 掃除用具とか、寝具とか、何だって出せるんだよ!!? ……え、プレゼント?? ちっひのプレゼント!!!? 推しから何かプレゼント貰っちゃったよ!!? いいのこれ、ファン冥利に尽きるよ嬉しいnグボォアアアアアアアアア!!!!? まっ、まっず、ま、お、おおええええええ……!! ……ちっひ……なんでだよ……俺は……僕は……こんなに君のこと想っているのにどうして欲しがらない……どうして僕(欲)を拒むの……僕は君に欲しがって欲しい、必要とされたい……寂しい……それなのに、それなのにこんな不味い物をプレゼントってどういうことだよぉおおおおお!!!? 許せるかこんなことが、許してたまるもんか!!! 僕を拒み続けるならもう手段は問わない、飲み込んで僕のものにしてやる!!」

クールダウン後に真の幸せを掴む編

 追いかけっこ中。飲み込んだ2人を吐き出して段々体力も無くなりかけているカオナシ。

K「待て……待てよちっひ……僕は……僕を……僕を受け入れてくれ……どこへ行くんだ……何でこの欲にまみれた素晴らしい場所から出ていくんだ……僕は君を……そうだ……僕は君だけを求めてきていたのに……いつからここに居ることを……どうして僕は、推しを慌てて走らせているんだろう、離れていくのだろう……推しが必死に逃げていくのだろう……ただただ僕は、推しを知りたかっただけなのに……僕自身が、欲に振り回されていたっていうのか?? そんな僕をどうやって好きになるんだ……わからない……もう全て遅い、完全に嫌われている、どうでもいいとさえ思っているかもしれない……失敗した……また僕は独りになる……」

 千尋が銭婆を訪ねるべく汽車に乗り込むまでのシーン

K「蛙を吐き出したら何だかすっきりした……僕のことを【ここにいちゃいけない】ってどういうことなんだろう……欲に塗れたあそこは僕にとって楽園そのもののはずなのに、それにどうして僕を気遣ってくれるのだろう……あんなに迷惑かけたのに……(リンの声はあまり聞こえていない)嫌われて当たり前のはずなのに……どうして……あ、汽車に乗るのか……行けたら行きたいけど、行けるのかな、ついて行っても良いのかな……え、4人目って、え、嘘良いの!? ちっひ、マジ聖母!!!? 推すわ……地獄の底行っても推すわ……近くに座ることも許してくれるとか何この神……欲を一切叶えていないのに、あんな恐ろしくふるまっていたのに、こんな僥倖があって良いのか……」

 銭婆の所に残ることを伝えるカオナシのシーン。

K「ちっひが笑っている……推しの笑顔が見れた。僕が何かしたわけでもないけど、もう今はそれで満足だわ……ちっひは幸せにならなきゃ駄目だから。このお婆さんは欲はあるにはあるけど僕が叶える必要はない。それでも僕を必要だと言ってくれた、ちっひ、僕をここに連れてきてくれてありがとう。しばらくは静かに穏やかに過ごせそうだよ。元の世界に戻っても達者でね」

まとめ

 汽車に乗る際の露骨な頷きとかで喜色満面のカオナシを見ると、何かこいつも色々あったのかもしれんなあとか思っちゃうわけです。子供の頃はカオナシの気持ちなどこれっぽっちも理解できなかった。癇癪もって暴れてるだけとしか思えなかった。

 でもこの映画はカオナシという影の存在が、千尋の成長を示す鏡として機能していたと思います。甘ったれてばかりだった初期千尋であれば、早々に誘惑に屈していたでしょうが、周りの人たちの教育により段々と人間的側面が成長し、最終的に恐ろしい肉塊の暴食体に成り果てたカオナシを見ても、正座してまるで動じない。どころかその後の追いかけっこでも、恐怖や悲鳴を殆ど上げずに逃げおおせるなど、何処か余裕ある強者になっていた。

 カオナシには終盤においても余裕はなかった。有り余る贋作を生み出す力を以てしても、誘惑を振り切り続ける千尋に対し、ある意味恐怖を抱いていたのかもしれない。「欲」を授けて誘惑し、取り込んで吸収するのがカオナシという化け物の本質であり存在意義(個人の見解です)。アイデンティティであるそれが通じないどころか「あなたには私の欲しい物を決して出せない」と否定されるというのは、最も恐ろしいこと。

 追いかけっこはその「欲を認めろ」=「僕を認めろ」という必死の主張であり、それがなければ存在する意味すらないという、カオナシ自身の存亡をかけた戦いなのです。

 結果的に負けてしまいますが、負けた後に今まで近づいても一定の距離を置かれてしまっていた千尋に、すんなり近づけてしまったこと。そして隣にいるよう促されたこと。それを無言のままずっと付き従う姿。

「欲を叶えなくても認められる」という、存在意義の見詰め直し。汽車の中で色々とカオナシは考え込んだのだと思います。そこにいることを許されていることが不思議でならない。その後出会った銭婆の元に残ることで、自分という存在の在り方を再発見できるのではないか。千尋が成長した、今度はカオナシにとっての成長物語が、ここから始まるのです。

 以上、千尋激推しのカオナシについていろいろ考察しました。皆、映画館で見るジブリは最高だぞ!! ポップコーンはなかったけどジュースはあるから行ってみてくれ!!

サポート1人を1億回繰り返せば音霧カナタは仕事を辞めて日本温泉巡りの旅に行こうかなとか考えてるそうです。そういう奴なので1億人に到達するまではサポート1人増える度に死に物狂いで頑張ります。