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そこそこ真面目なやつ

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#最近の学び

君たちはどう歩くか

 むかしから、歩くのがヘタだった。  たとえば電車の乗りかえで、ホーム間を移動するとき。ちゃんと前を見ながら歩いているのに、他人とぶつかりそうになる。……なぜ?  ほかにも、交差点を渡るとき。ちゃんと視線を上げながら歩を進めているのに、向こう岸からくる人とフェイントのかけあいになる。……なぜ?  私にはこれらの現象が、不思議で仕方がなかった。もちろん、わざと他人とぶつかろうとしているワケではない。にもかかわらず、いつも混雑している人ごみを歩くと、他人とカラダが接触しそう

自分のnoteをGoogle広告に出稿したら、東京23区をジャックした気分になった

 人はなにかをつくると、他人にその成果物を見せたくなるのだと思う。  たとえば私の亡き祖父。彼は俳句を趣味として生きていた。近所の友達とサークルをつくって互いに句を詠みあったり、晩年には数百の句を書き留めた本を自費出版した。何部刷ったのかは知らないが、おそらく知り合い全員に配っていたのではないだろうか。とうぜん孫の私にも手渡された。当時はそのよさがわからなかったが、いまでは彼の句を読むのが面白かったりもする。  また、もうひとりの祖父も似たようなものだ。現在83歳の彼は、

個人事業主になり、地獄の名刺を作ってしまった

 仕事をしていれば、名刺が必要となる。  もちろん特殊な職業に就いている人はのぞく。たとえば芸能人とか野球選手とか(意外と持っているのか?)は、顔が名刺みたいなものだろう。そうした特殊なケースは除外するにしても、基本的に、仕事中に新しい人と出会うときは互いに名刺を交換するのが一般的だと思う。相手の素性がわかったほうが、なにかとスムーズに物事が進むからだ。  かくいう私も、これまでに2種類の名刺を所持してきた。すなわち、会社員として2社に勤めた経験がある。どちらも入社と同時

ぬか漬けドロボウとの心理戦

 空き巣に入られた。  つい先週のことだ。気づいたきっかけはぬか漬けだった。数日前に仕込んだはずのキュウリが、魔法のように消えていたのだ。同じ容器に漬けていたナスやニンジンは無事——。犯人はカッパだと思った。大都会・東京の街中で、空腹のカッパが盗みを働いたのだと私は考えた。 ✳︎✳︎✳︎  ぬか漬けを始めたのはひと月前だった。無印良品のぬか漬けキット。税込890円。野菜を洗って漬けるだけ。その手軽さに惹かれた。  毎日まいにち、新しい野菜を八百屋で手に入れてぬか床に漬け