日常のブラックホール

お盆明けである。という噂を聞いた。
毎年思うのだけど、私はお盆が何なのか実はよくわかっていない。お盆期間です、というニュースを聞いたりして毎年初めて「ああ、お盆ね…」と思うが、日付としてはいつなのか、何をするのか、お彼岸と何が違うのか、全体的に漠然としている。

帰省する実家がないとか、親戚が集まらない人って結構いるんじゃないかと思うんだけど、みんなそんなに普通にお盆的なことをしているんだろうか…。それとも「お盆≒夏休み」くらいの認識でいいんだろうか。

夫にその話をしたら、
「親戚を迎えたりして忙しいから、お盆が終わったらカレーを食べるんだよ。ボンカレーの“ボン”はそこから来てるんだよ」と言われた。
「嘘でしょ」「嘘じゃないよ」と言うやりとりを2回繰り返し、だんだん不安になってきて「マジで？そうなの？」と言ったら「信じないでしょ、普通」と笑われてしまった。三回戦敗退である。
私はそう簡単に騙されたりしないタイプだと自負していたが、もう私は、信じられない…私を…。

夕方、ワクチンを打ちに接種会場に行く。
担当してくれたお医者さんが、ニコニコしながら「はいこちら向いてくださいね左腕ですねちくっとしますよはいあちらでお待ちくださいねお疲れ様でした〜〜」と流れるように言うのでいつ打ったのかよくわからなかった。

それにしても、受付の人の手元に折り鶴がたくさん置かれていたのがものすごく気になった。サイズは5ミリ程度と極小、しかも20羽くらいいたのだ。「かわいい」とか「ほっこり」というより、ちょっと狂気めいたものを感じて動揺してしまった。
平日の夕方の接種会場はガラガラ。よく考えたらあれ、待っている間にあの人が折っていたんだろうか。

お盆はもしかしたら集団幻覚かもしれないし、私にワクチンは打たれていないかもしれない。5ミリの折り鶴があんなに群生するなんてことがあるだろうか？
日常にはいくらでも謎が潜んでいます。夏は朦朧とするので特に危険性が高まっているのでしょう。空想と謎の隙間に落ちないよう、皆さんどうぞ気をつけてお過ごしください。

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今日の絵

何年か前の絵。
真夏のマーメイドちゃんです