忘れてるフリはしない(中村一義の話)
「パンと音楽とアンティーク」いうイベントに行く。その名の通り,パン屋さんとアンティーク屋さんと、いろんなアーティストが出る、フェス?かな?
ピクニック気分で行ったけど、結構本気で並ばないと見えないサイズのステージで、当然「本気で並んだ」ため、だいぶガチなライブの日になった。
色々見たけど、とりわけ中村一義のステージは自分にとって強烈だった。いろんな時代が走馬灯のように流れ、今につながっていくような、感覚に、これを書いている今(翌日)もまだぼうっとしてる。
音楽って、楽しいとか安心するとか踊れるとか、いろいろあると思うけど私にとって中村一義の音楽は、初めて聞いてから今に至るまで、ほとんどお守りのような、ほぼ十字架のような存在だ。だけど仰々しくはなく「めっちゃすごい友達」くらいの近い存在でありながら「ご信託」というくらいの遠さも重さもある…という、他に代えようのないアーティストだった。(ていうか、今もそうだな)
そんなわけなので、ステージに彼が現れた時は思わず「中村一義って…いるんだ…」と思わずにいられなかったし、開演してすぐ、もう、本気で泣いてしまった。イヤホンで中村一義を聴くことでしか自分を保てなかった時間があり、その時の気持ちや空気や服の肌触りなんかが、ウワーと蘇ってきたのだ。
しかし、柔らかい布で装飾されたステージに立ち、時に跳ねながら満面の笑みで歌う彼の姿を見ていたら、絶望を思い出しているのに、なんだか天国にいるかのようだった。
苦悩のお焚き上げというか、お祈りというか、お弔いというか、たぶん、そういう気持ちになったのだと思う。
こんな時間が来ると思わなかったもん。人生ってなんというか…やばいな。
ライブが終わったあと、別の場所で待っていた夫に会う。過去が確実な今へつながる。強い西日が眩しかった。なんだかよくわからない気持ちで笑えた。
今日の絵
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