手話教室3日目

「あなたは山田さんですか」
「いいえ、私は中村です」

普段なら耳を疑うような会話が手話で繰り返された。

2日目の講座で教えられた「名前」の手話。
今日の講師はこれを繰り返し、順番に生徒に質問していく。
生徒は、講師の手話を見てそれが自分の名前かどうかを判断し、回答する。

さて、これは意外に高度な授業だった。
1つ目に、生徒は自分の名前を手話で覚えていなければいけない。
2つ目に、生徒は講師が示す名前を理解しなければいけない。(まぁそうともかぎらないが。)

次に行われたのは「数字」だった。
手話で数字を会話にするとき、時刻を示す場合は横に手話を並べていき、日付を示すときは縦に数字を並べていく。という事をする。

講師が数字を教えてからいつもどおり「さて、お手本の動画を見ていきましょう」と準備された動画を流す。
しかしそれは「手話の通常速度」だった。当たり前のことながら生徒には早すぎる動画だ。

この手話3日目にして、
・手話のテンポ
・速さ
・間
を学ぶことになる

読み取れない手話、テンポ、自分の指の動き。
焦る私達に講師は言った。

「ここからの授業は会話がメインになる。ですので皆さんにお願いがあります。
You Tubeやニュースで見る手話を覚えないでください。
私達が教えているのは地域に特化した手話です。本や手話ニュースでみる手話とは少し違います」

参考程度にYou Tubeをみるのは良いらしい。もし、事前に予習などをするならテキストを見るか、実際に手話を使う人と話してほしいという内容だった。
そうなると、テキストに付属する有料の手話動画さえ参考にならないのだが。

昨今ネットやテレビの影響で方言がなくなりつつあるというネット記事を見たばかりだったが、手話では方言ににた「特化した手話」というものが根強くあるのだと思った。
同時に、手話を使う人が地域に根ざしコミュニティを確立しているのだと感じた。

もしかしたらzoomのようなコミュニティが発達すればいつか手話も標準語のようなものができて、ニュースや本を参考にしていい未来があるのではないかと思った。


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