手話教室5日目

教室の黒板には住所が何枚か貼ってあった。

「はい。今日は皆さんがどこに住んでいるのか言えるように手話を教えます。頑張りましょう」
「○県△△市○○町」
「ここら辺に住む方は△△市を、こうやって表します。でもまあこの地域の人だけの手話ですね」
住所に関する手話なのに、この地域だけに伝わる手話ならば、それは誰に対して使うのだろうか。そんな疑問をテーブルの端に投げ捨てながら講義に集中する。

「次は皆さんが住んでいる住所を黒板に貼りましたので、一緒に覚えていきましょうね」
そういいながら、一人ひとりの住所を手話で教え始める。
「山」「川」「町」「市」「藤」
それぞれが自分の住所を覚え始めたころ、「時間も無くなってきたのであとは駆け足で」と言われ5日目の講義内容をざっとなぞり始める。
正直何を覚えたのかすら覚えていない。

たしか、「電車」や「くるま」などの単語を覚え「何で来たのか?」という質問に答えられるように教えてもらったはずだ。
同時に、「家はどこですか?」などの質問なら、疑問符がつく単語を一番最後に持ってくるように教えてもらった。
手話では「家 どこ?」のようにあらわす。

講師が「この『どこ』と聞く時の顔は大事ですよ」と話す。
へえ、そうなんだ、と参考程度に聞いていたが、次の講座で「手話では顔がすごく大事」なのだと思い知らされる。

次は「好き」と「大好き」を学ぶらしい。


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