【with wedding vol.34】「withコロナ時代」に必要なこととは?(後編)

※株式会社リクシィ代表安藤が寄稿したウェデングジャーナル
連載号:2020年4月号 第123号 の内容を転載しております。

今回は、Vol.33でお届けした「withコロナ時代に必要なこととは?」の後編となります。前回、新郎新婦の観点から、成約済のお客様、未成約のお客様それぞれに、どんなことができえるのかというお話を紹介させていただきました。今回は、withコロナ時代、ないしafterコロナ時代に対して、どのようなアクションが必要と考えられるのか、式場各社の目線で紹介をさせていただきます。

式場で対応すべきこととは?

以下の3点になります。
①オンライン相談用のツールを活用できる状態にする
②延期対応についてオープンにできるラインはどこかを定める
③その他の基本的な対応
です。

①オンライン相談用のツールを活用できる状態にする

こちらは、正確にはビデオ会議のツールと呼ぶ方が正確かもしれません。おススメのツールはzoomです。世間でも活用が広まってますし、無料で使用できますし、最も手頃ではないかと思います。我々もコンサルティングの際には活発に利用をさせていただいています。PCがあれば使い方は難しくないので、早速試してみると良いでしょう。PCにカメラが無い場合は、外付けカメラを購入するだけです。その上で、どう活用していくのかがポイントになります。

・新規接客の局面
接客というよりは来館前の電話に近い位置づけと考える方が良いと考えられます。内覧は確実に実施されるでしょうし、ビデオで完結させようというシナリオを考える意味は無いでしょう。ターゲットは、やはりこのご時世、なるべく見学に行く式場を減らすために、事前に情報収集をしておきたい層という形になります。土日の新規枠がつぶれるののか?という話も事前予約制にすれば十分コントロールできるでしょう。オペレーションの指示命令系統が整っているか、スタッフ対応力が備わっていれば、問題ないと考えられます(式場の地力の違いが出るでしょう)。

・打合せの局面
こちらも何度も式場に足を運ぶことへの抵抗感をもつお客様は確実に出てくるでしょう。コロナとは無関係に、効率性の観点でニーズをもつ方々も少なくありません。こちらに対応すると、セールスコミュニケーションに軸を置いた単価アップなどの施策は一定難しくなることが予想されます。一方、そこに頼らない商品力ベースでの価値づくりができている式場には、リスクはないでしょう。逆にビデオ会議を中心に進めることができれば、司会者や音響、フローリストやフォトグラファーの方々の打合せもスケジューリングしやすくなります。彼らもビデオ会議で参加すれば良いので、移動の時間もかからないでしょう。そして見逃せない効果は、施行のウエディングプランナーが在宅で対応可能になります。Zoomであれば背景に壁紙を挿入することもできるので、非日常感を表現することも違和感ありません。土日勤務が難しいというスタッフでも土日の一部の時間でこのような業務が可能であれば十分活躍してもらえる期待がかけられます。大きな転機になりえるでしょう。

現実的には、ツールがアナログの場合、お客様とのミーティングが成立しにくい部分もあるでしょう。招待状などはwebカタログなどで対応すると良いでしょうが、式場独自ツールなどは変換が必要になる可能性もあります。そして、当然ですが、試着・試食・リハーサルメイクといった段取りはオンライン化の対象外になると考えられます。

②延期対応についてオープンにできるラインはどこかを定める

こちらについては、個別のお客様ごとに是々非々で対応を決めているケースもあると思いますが、どのお客様にもフェアに対応できる枠組み・基準を設ける必要性のある状況になっているでしょう。むしろ、これから契約を考えているお客様に向けて、特別な契約条件を設けても良いと思います。もちろん成約済のお客様との整合性をとる必要があるため、どこまで対応可能なのか式場各社の体力にも関連する現実があると思いますが、お客様に有利な提案ができるなら、「4-5月に成約されるお客様だけを対象」のような形で謳い、日程変更は1回、移転先の日時によっては契約時の特典・割引が変わるという条件などで、サイト上に開示するなどのアクションをする価値はあると言えるでしょう。できるなら人数減のペナルティを設けている式場も、このタイミングでは見直しをする方がお客様観点では良いかもしれません。

③その他の基本的な対応

基本的な対応については、衛生関連の備品用意やサービス・キッチンスタッフのマスク着用以外にも、1.8mの距離を置くソーシャルディスタンスの意識なども求められる可能性があります。サロンの机同士の距離や、披露宴会場のテーブル同士の距離も対象になるでしょう。「そこまで気にされる方が、このコロナ騒動の中で来店されるのか?」という話もあり得るので、過剰かもしれませんが、列席者の中にはそのように感じる方もいらっしゃるでしょうから、対応しておくに越したことは無いように思います。パーティ時のゲストの座席もできる限り距離を置ける工夫がもとめられるのと同じかと思います。

お客様心理はどうなる?

さて、ここまで式場サイドの観点で紹介をしてきました。最後に、お客様の心理についても、整理をしておきたいと思います。お客様は、「コロナでも式場見学したい層」「コロナだから式場見学したいけど迷う層」「コロナだから式場見学にはいかない層」の3層に明確に分かれます。
上記の対応については、「式場見学したい層」はどうであれ見学するでしょうし、「見学にはいかない層」はどうであれ見学には行かないでしょう。ポイントは「迷う層」です。これがどのような方でどの程度の割合いらっしゃるのかは正直なところわかりません。調査のしようも無いでしょう。が、「見学したい層」の認知アクションを獲得する方法、「迷う層」の認知アクションを獲得する方法、それぞれを考えておくことが必要不可欠であると思います。
ヒントはお客様が、「感染リスクなく、心理的不安もなく、式場を”見学””決定”して、”当日”を安心して迎えたい。」ということです。その観点で、上記の施策を確認いただければ整合されていることは確認いただけるでしょうし、さらに新しいアイディアが出てくる期待もあると思います。

おわりに

大手式場であれば、可能な範囲でローカルエリアにリソースを振り分けておく方が良いかもしれませんし、新卒の配置も変わる可能性があるでしょう。採用計画もどこにピークを合わせるのか考えるべきことが多々あると思います。広告費も2021年4月以降は明確に使い方が変わるでしょう。圧倒的に成果報酬型に寄せきる方が間違いなく良いでしょうし、ITや法的な専門性など自分たちが有さないノウハウ知見を調達する必要性もさらに高まったように思います。

日本全国を考えると、万が一、東京が事実上のロックダウンになったとしても、それ以外のエリアに広まるかどうかでマシで済むのか致命傷になるのかの違いもあると思います。
ですが、だからといって今結婚式を予定されているお客様ができなくなるという事態は、絶対に回避されてほしいという思いしかありません。延期の件も式場とお客様で綱引きが起こりますし、どのような展開でも軋みが起こります。非常につらい状態です。

ですが、憂いていても始まりません。ある種の外圧でもって、今までできたらいいなと思っていたことをやる、挑戦するコストが減ったと考えてトライするといったことがやりやすい状況かなと思います。そして、令和とコロナを通じて結婚式産業がアップデートされた、という姿を見せられれば、不幸中の幸いと呼べるのではないでしょうか。我々もそのためにできることをアクションしていきたいと思います。ぜひがんばりましょう!

安藤 正樹 - Masaki Ando
株式会社リクシィ代表

花嫁の不安を“トキハナツ”式場探し「トキハナ」を提供するウエディングプラットフォーム事業、ブライダル企業の事業をサポートするブライダルコンサルティング事業、ブライダル特化の人材紹介サービス「リクシィキャリア」などを提供するブライダルビジネスサポート事業を柱に展開。
ブライダル業界の構造改革、結婚式であふれた世界を創ることを目指しています。

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