【with wedding vol.21】結婚式場は独自の情報をインスタで発信できるか

※株式会社リクシィ代表安藤が寄稿したウェデングジャーナル
連載号:2019年4月号 第100号 の内容を転載しております。

必ず最後に集客の問題が残る

「結婚式場は独自の情報をインスタで発信できるか」というタイトルです。結婚式場の情報発信と言えば、ゼクシィを代表とする情報誌、インターネットメディア、口コミサイト、エージェント、SNS、HP、その他のサービス等々あるかと思います。これらをどう活用するかが集客上極めて重要なのは言うまでもないことで、プランナー育成など自分たちの努力でできる限りのことをしたら、究極の課題として必ず最後に集客の問題が残ることになります。どんな写真が良いか、どんなフェアタイトルが良いかなどは、非常に重要なことは間違いないのですが、過剰競争に陥っているマーケット環境でその工夫だけでできることは限界があり、ゆくゆくは資本競争が待っているという世界は誰でも想像できてしまうでしょう。私はかねてから、結婚式場は「ブランド価値の高い会場」「ユーザーフレンドリーな会場」のいずれかに分かれていくと意見していますが、それを見据えたアクションができているかどうかが極めて重要です。gensen weddingは前者の会場を、Chooleは後者の会場と共に、新しいマーケットを創ろうとしている事業になりますが、各会場単位でどんなことができるかについて、紹介できればと思います。

ホームページを、フォトギャラリー中心から、独自の世界観にする

従来の結婚式の集客の常識は媒体を活用することでした。それは圧倒的に効率が良い施策で、欠かすことができません。ただ、それだけでは限界という場合に、ホームページの活用があります。インターネットメディアでは伝えられない独自の世界観や体験を伝える位置付けとしてホームページの役割を定義することの重要性はこれまでの寄稿でも言及させていただいていますが、本稿でも改めて言及させていただきたいと思います。ポイントは、自分達の結婚式場じゃないと提供できない体験をいかに生み出し、いかに伝えるかです。

最近のインスタグラムは?

SNS集客という観点でインスタグラムが注目されて数年が経ちますが、皆さまの様子はいかがでしょう。最近の動向を見るに、インスタグラムは、会場の特性上、マッチする会場、しない会場があるように思います。成功事例としてよく話題になるTRUNKなどはベストマッチと言えますが、言葉を選ばずに言えば、老朽化が激しく、オシャレさが感じられない会場がインスタグラムを上手に運用したところで、ゲストの投稿で実際の姿と違うのではないかとギャップが広がるだけで、意味が無いなと感じるケースが増えてきました。「持込は禁止ですが特別に許可しているので、SNSへの投稿だけは控えてください」などというやりとりを前提にしている会場も、結局新郎新婦が別のアカウントで投稿していたり、クローズなところで言っていたりするので、逆に表と裏の顔があるというイメージがつきます。オープンな会場でなければ、インスタグラムをがんばっても効果的な結果は得られないのでは、と思います。

インスタグラムは、自分の会場でしかできないことや想いを伝えるのが正解

例えば、インスタグラム上で、普段のチャペルの写真をカット違いでアップしてもさしたる効果は出ないでしょう。ただ、おふたりのこだわりに対応するために天井の装飾を変えた写真や、挙式のシーンで双方の父親が牧師を務めている写真をアップすると、効果は期待できます。「結婚式場=融通が利かない」と思っている顧客層は多く、インスタグラムでネガティブチェックをしている新郎新婦に対して、「このチャペル、他の写真と違う」と思ってもらえれば、1組1組のこだわりに対応できる会場であることを、テキストで伝えることが可能になります。「結婚式=なぜかその日だけキリスト教になる」と思いこんでいる顧客層に対して、ユニークかつ本質的な挙式ができることをシーンの写真で伝えることができると、オリジナリティのある結婚式を提案してくれるのだと理解いただくことが可能になります。インスタグラムは写真投稿サービスではなく、写真を通じてコミュニケーションをできるサービスです。お客様は見学前にその会場のことをできるだけ詳しく知りたいと、会場が自己紹介的にアップしている写真を見て、卒花だけでなく参列したゲストの写真を見て、実物との差を把握してから見学するかどうかを意思決定しています。ハードだけの訴求は、ネガティブチェックの対象にしかならないわけですが、結婚式のこだわりを写真で伝えることができれば、競合他社との差を伝えることになります。結果、その活動をブランディングと呼ぶのでしょう。

まとめ

とにかく1組の結婚式に手間暇かけて価値を出したかがSNSの効果を決めると思っており、それができているかどうかが、結婚式場自体の価値も決めていくことになるでしょう。インスタグラムにフォーカスした話を展開しましたが、ブログなども同様です。一般的な結婚式知識自体に情報の価値はなく、滞りなく進んだ結婚式のレポートにも情報の価値はありません。その結婚式のこだわりがどこにあって、どんな形に結婚式場として残すことができたのか。その数が多ければ多いほど、SNSで発信できる情報の量や幅が広がっていきます。インスタにあげるネタがなくて困っているならば、価値のある結婚式をつくりだせていないと言え、そこに立ち返り、本質的な価値を生み出すことにフォーカスすることから始めよということなのでしょう。

結婚式場の情報発信は、「どれだけお客様のためにやれたか」を、自慢じゃなく、事実として伝わる形でアウトプットできるかがポイントになるとは、本質的な結婚式の内容が集客にも影響する時代になるということです。夢を伝えるために整った販促写真では、違いは伝わらず心も動かない。1組のお客様のためにどれだけやれたかの事実が、それを求める顧客の獲得につながり、次の実績への源泉になります。そういう世界にできたらと思っております。

安藤 正樹 - Masaki Ando
株式会社リクシィ代表

花嫁の不安を“トキハナツ”式場探し「トキハナ」を提供するウエディングプラットフォーム事業、ブライダル企業の事業をサポートするブライダルコンサルティング事業、ブライダル特化の人材紹介サービス「リクシィキャリア」などを提供するブライダルビジネスサポート事業を柱に展開。
ブライダル業界の構造改革、結婚式であふれた世界を創ることを目指しています。

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