見出し画像

ちらつく雪を切って。

最寄りの駅を出て、事務所までテクテク歩く数分の道のり。
いつもはそれなりに流れている自動車の群れが、あれれ、まったく途切れている様子。
そのかわりに歩道に人が溢れ、警察官の姿もちらほら見えました。

一瞬、デモ行進か祭事の行列かと頭をひねったけれど、ああ、そっかそっか。
今日は高校生の駅伝でした。

事務所が入っているビルの前の道は、毎年寒い季節になると駅伝やマラソンに使われるのです。
いや去年はどうだったかな、コロナ禍モードで中止だったのかな、ごめんなさい覚えてないです。

寒空の下、冗談みたいな薄着で駆けていくランナーを、彼らにエールをおくる沿道の人々を、エアコンを効かせてもなおしんしんと冷える古いビルの5階から眺めています。

ちらつく雪を切り白い息を置き去りにして彼らは、ひと足ごとに目的地へ迫っていきます。
きっと、わたしなんかには推し量ることもできない何かとても大切なものが、彼らの目指す場所にはあるのです。
そうでなければ。
そうであれ。

疲れた身体を叱咤して、冷えたアスファルトを蹴り続ける尊さに見合うだけの対価を、勝敗や順位とは別の文脈で、等しく彼らが手にできますように。




なんと、年内にもう一つ書けました。
休日出勤なのに、めげずによくやったぞ、わたし。