ホットプレートが壊れた
スーパーで安めの牛肉と野菜を買って焼肉をするのが好きだ。これだと割と頻繁に食べることができるから。ご飯とキムチが食べ放題なのもいい。
深めのプレートに取り替えて鍋をするのも好きだ。
白菜とお肉だけでじゅうぶんだけど、ニンジン好きな娘のために毎回ニンジンも入れる。豪華にしたいときは餃子も入れる。
お米を炊くの忘れてた、って日にも鍋はいい。常備してある冷凍うどんをしめに食べれば満足感のある食事ができるから。
そんな欠かすことのできないホットプレートが壊れた。壊れるといっても電源がつかなくなったわけではない。その逆。火力が常に「強」の状態になってしまう壊れ方だ。
弱火にしても強火にしても肉は大焦げ。信じられない量の煙が部屋中に充満する。焦げた肉を前に、慌てふためく大人がふたり。
鍋は火力調整ができなくても食べられるから、壊れてからも鍋は食べていた。
ホットプレートが壊れてしばらく経ち、騙し騙し使っていた頃。夫の友人2人が家に遊びに来ることになった。
下の娘がまだ0歳だからという理由で家に決まった。夫は、わたしがひとりで娘2人を見ていると思うとゆっくり外で飲めないそうだ。
わたしが台所に立っていると気を使わせるし、そもそも人に振る舞うような料理もできない。だから焼肉。
この機会にホットプレートを新調することにした。ネットで探してみたけどいまいちピンとこない。大きさも質感も分からないし、やっぱり実際に見て選びたい。大型電気店へ向かった。
ホットプレートコーナーを物色していると、あることに気が付く。焼肉メインと鍋メイン、2種類のホットプレートがあることに。
前者は四角く平たい形に浅めの鍋可能なプレートがサブで付いている。後者は丸くて深く、焼肉ができる波型のプレートが付いている。
ざっくり言うと、焼肉用だけどギリギリ鍋もできますよ、鍋用だけど焼肉もできますよ、といった感じ。
実際見にきてみると、わたしは鍋を重視していることがわかった。浅いプレートで鍋をしているところを想像する。汁がすくえない。それは自分にとってとても悲しいことだった。
それに気がついてから、丸くて深い鍋メインのプレートの中から欲しいものを探すことにした。
夫が「いいのあったから見てみて」と言うのは、全て焼肉メインの四角いもの。夫は焼肉をメインに考えていたのだ。
焼肉パーティするなら四角い方が"それっぽい"というのは分かる。四角い方が収納しやすいのも分かる。
でもやっぱり汁をすくいたい。そこは譲れないと話すと、丸いのにしようと言ってくれた。ただ、丸いのにはひとつ問題がある。お肉を焼く面積が小さいこと。大人4人でお肉を食べるには小さすぎるのだ。そうなると、丸い中で一番大きいのを選ぶことになる。
一番大きいものは、火力調整のところに「ホットケーキ・餃子・焼肉」の表記があり、使いやすさが重視されている。実家のような雰囲気で安心感があった。
デザイン重視のものも検討したけれど、大手家電メーカーと実家の安心感にはやはり勝てない。いちばん大きな丸いプレートに決定した。
以前使っていたホットプレートは、結婚祝いに姉がくれたもの。もう7年ほど経つ。お肉はもちろん、焼きそばやたこ焼きなどたくさんのものを焼いて煮てきた。
壊れるまで使えてよかったなと思う。
買うものが決まり、どっと疲れた。喋りすぎて喉が乾いた。水を飲んだ。とても充実した時間だった。夫はわたしに「鍋奉行だね」と言った。
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