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福祉施設における発達障害への理解のなさについて〜障害者向けグループホームの例

私は発達障害と双極性障害を抱えているので、今までに障害者向けの福祉施設をいくつか利用してきた。
その中でいろいろな体験をしていくうちに強く思ったことがあるので今回はその話をしていこうと思う。

単刀直入に言って、障害者福祉に従事している人間の多くは発達障害のことを正しく理解していない。
一応の理解はあるならまだいい方で、実際には知的障害と同等のものだと勘違いして接してくるような福祉施設職員も珍しくないくらいだ。
(発達障害自体は知的な遅れを伴わない先天的な脳機能障害だと言われている)

特に私が数年間利用してきたグループホームの職員は私のことを「介助が必要な重度の病人」だとすら思っていたらしい。
躁鬱の波が極度に落ち込んだ時に限れば確かに体調は最悪なのだが、それであっても特別誰かの助けが必要なほど生活に困った覚えはない。
自分で買い物にも行けるし、掃除も洗濯も今までずっと自分一人でやってきたのにもかかわらず「介助が必要な重度の病人」だと思われて勝手に訪問看護を入れられる始末だ。

グループホームでは毎日職員が夕方ごろに訪問してきて体温を測ったりしながら様子を見に来る。
「生存確認」のために毎日来る必要があるらしいのだが、私はこの訪問のせいで体調を崩し、とんでもない事態に陥ったことがある。

毎日夕方に訪問に来るので就労移行支援作業所に通っていた頃はプログラムが終わった後そのまま帰宅したくなくて毎日駅の近くのカフェに寄り、散財していた。
貧しい中、このまま散財するのはよろしくないし、訪問自体が苦痛なので病院の主治医や作業所の職員に何度も相談していたのだが、グループホームの訪問は止むことなくずっと続いていた。

ある日、そのストレスが気づかないうちに限界に達していたようで、病院の帰り道に外食した際、普段なら絶対に飲まないくらい大量の酒を飲んでしまった。
途中から意識がなくなり、後から聞く話によると、どうやら道に倒れていたところを救急車で病院に搬送されたとのことだった。

これは私の障害特性の一つである「他人とのコミュニケーションが苦手で物事をうまく伝えられない」「ストレス発散が下手」という部分に通じるものがあると思う。
グループホームの職員に「訪問が嫌だから頻度を減らしてほしい」と告げられなかったのが原因だろう。
しかし、ここまでの事態に陥らなかったらグループホームの職員ははたして私の要望を聞いてくれただろうか?
(以前、別の件に関してやんわりと「グループホームに入居している限りルールには従ってもらう」というようなことを言われたことがある。)
書ききれないのでここでは詳細を省くが、最終的にまた別の件で大きく精神状態が乱れ、グループホームの職員に「もう訪問はやめてほしい」とかなり強く訴えたところ、ようやく頻度を週2〜3日程度に減らしてくれた。

このような思いをしているのは私だけではなく、聞くところによると他にもグループホームの毎日の訪問のせいで体調を崩している人がいるらしい。
その人は私の状況よりも酷く、なんと一日三回の訪問があり、しかも何時に来るかわからないらしい。
毎日訪問される程度でそこまで...と思われるかもしれないが、実際やられてみるとその精神的苦痛がわかるだろう。
訳あってグループホームで暮らしていかなければならない身で毎日このような状況が続くと良くなるものも良くならず、むしろ悪化するばかりだ。
恐らくグループホーム入居者の中で同じような思いをしている人は他にもいると思われる。

このように、発達障害どころかまず利用者一人一人のことをよく考えず「これがルールだから」と意味のないどころかむしろ悪影響を及ぼすような決まりをこちらに課してくる施設も存在する。
今回例に挙げたのはグループホームだったが、何もグループホームに限った話でもなく、福祉の就労支援作業所であっても理解のないところは多い。
今ではパソコン系やクリエイティブなプログラムが充実した作業所も増えてはきたが、だからと言って必ずしも発達障害に理解があるわけではない。
(むしろ今まで福祉以外の仕事をしていた人が職員をやっている場合も多く、「障害について何も知らないから教えてほしい」と言われたことすらある。)
障害者福祉も日々新たに進歩してはいるが、まだまだこれからだろう。

福祉施設を利用する上で大切なのは「マッチング」だと個人的には思っている。
事前の見学である程度わかればいいのだが、大体の場合は実際に利用してみないとわからないことが多い。
マッチングに失敗すると、利用者である障害者は特に大きなダメージを食らい、下手をすると病状が著しく悪化してしまう。
これは障害者本人だけでなく、福祉施設側の人間もちゃんと考えるべき問題ではないのか。

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