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2024/07/24

奈良県立大学が主に県内で採取され、寄贈を受けた約1万点の植物標本を昨年10月に誤って廃棄したと発表しました。
この植物標本は奈良県の植物研究家の岩田重夫氏が1950~80年代に採集した標本で岩田氏が亡くなった後に大学教授など研究者らでつくる「奈良植物研究会」が預かることとなり、その後、奈良県立大学に寄贈されたという事です。
この植物標本の中には天川村で採集されたミヤマホツツジなど現在はその土地で確認できなくなった植物や、県のレッドリストで絶滅とされたもの等や絶滅危惧種とされているものが1449点含まれていたそうで、奈良植物研究会は「残念だったと済んでしまうのは違うのではないか。もうちょっとリスペクトがあってもいいんじゃないか」として、県に抗議の申し入れをしたそうです。
どうしてこうなったのか不思議な部分がありますが、どうやら、この標本は大学のとある建物のロッカーの中に保管されていたという事ですが、建物が取り壊されることになり、所有者がわからない荷物として学内で引き取りが呼びかけられ、誰も応じなかったために廃棄されたという事です。
この件に対して学長は担当者は古新聞に植物が挟まっていると認識していたが、価値がわからなかったと説明しました。
いや、ただ古新聞に植物が挟まっているだけなので廃棄物と判断するのは、普通の会社とかだったらわかるんですよね、でも、ここは大学で、他の人には何の価値もないものでも、ものすごく価値のある研究資料なんてことはゴロゴロあるわけですし、1万以上の標本があったのであれば、それなりのものですし、所有者がわからないではなくて、わかる人を探すべきだったんじゃないかって気がします。
それよりも、問題なのが、この標本が寄贈される際に、植物標本については県が適切に保存するという念書を当時の県知事が書いているという事なんですよね。
それなのに、ロッカーの中にしまわれて、所有者がわからず、学長も知らないものとなり、廃棄されてしまうとなると、奈良県の信用度は地に落ちてしまったような感じがします。
所有者が分からなくなったという事は、もしかしたらこの大学には植物の研究者がいなかったのかもしれませんが、それならそれとして、適切に保管してくれる研究機関を探して預けるなどした方がよかったように思えます。
当時の知事が念書を書いて県立大学にどういった指示をしたのかわかりませんが、奈良植物研究会がこうなった経緯をきっちり調べてほしいと言っていますし、経緯を調査して明らかにしてほしいところです。
ただ、こういった事を見ると、日本の大学ってもう研究機関という側面はなくなってしまったんだろうなって気がしてしまいます。
私立大学は日大の問題が騒がれていますが、結局研究は二の次で、多くの学生を集めて利益を上げることの方が重要になってしまっているんだろうなって感じがします。
公立大学はそういったしがらみが少ないのかなって思っていたんですが、そうではなさそうで、こういった事件が起きるという事は研究機関ではなくなっているって事なんだと思います。

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