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第22回 Sigmaトゥーンリンクの対応力を分析する

 こんにちは、Tokiです。今回は中部に君臨する二人の王の一角、Sigma選手のトゥーンリンクを分析します。ただし今までのような立ち回りや撃墜ではなく、西武撃#11の対アカキクス選手に勝者側で0-2で負けた後に敗者側で3-0で勝利するという驚くべき対応力、その詳細を見ていきたいと思います。

 今回は一人の試合の詳細を分析してみましたが、以前はセット数などから日本と海外勢の対応力を分析した記事もありますので、興味のある方はこちらもご覧ください。

 また今回は動画も作成してみました。よろしければそちらもご覧ください。

Sigma選手の見せた対応

まず結論から述べます。
西武撃#11にて見せたSigma選手の対応は

1. ボム主軸で近接を仕掛けるスタイルから、全ての飛び道具を駆使して呪文へのリスク付けを徹底していた。

2. バフで強化時もDAや空中フックなどの低リスクな技でとにかく相手に攻撃を仕掛けて、有利な展開を作った。

3. 1ターンの火力の高さを活かすために、崖外などの有利展開を積極的に作っていた。

以上3点です。それではこの結論へと至った詳細を見ていきます。

技使用割合

 こちらはWSFとLFでの技使用割合を示したグラフで、青はWSF,オレンジはLFのものとなっています。
 このグラフを見るだけでも違いが見えます。注目したのは色が濃い部分のDA,NB,下B,空中フックの変化です。なぜこのような変化が生じたのかは後ほど他のグラフとともに考察します。

バフの回数

 こちらのグラフはアカキクス勇者のバフの回数を示したものです。

 まずアカキクス勇者が負けた要因としてマホカンタやピオリムを引けなかった等、運が悪かったのではないかと考える方もいるかもしれませんが、こちらのグラフを見ると決してそうではないことがわかります。むしろ敗者側では3試合目を除きバフの使用回数は勝者側の時よりも多く、各バフの割合もそこまで大きな違いはありません。

 こちらのグラフは1分間当たりのバフの使用回数です。

 勝者側と敗者側でそれぞれ1分間当たりバフを使用した回数は約2回と変化はほとんどなく、LFの2試合目では3.5回となっており、先ほどのグラフと合わせて考えてもバフの運が悪かったということはないと言えます。

下B全体の使用回数

 こちらはバフ以外も含めたすべての呪文の使用回数及びその内訳を示したグラフです。「その他」はホイミとイオや火炎斬りなどの攻撃魔法などを含めたもので、「未使用」はガードやジャンプ、攻撃を当てられるなどで呪文を使用しなかった場合をカウントしています。

 これを見るとバフの使用回数こそ勝者側と敗者側で大きく変わりませんが、呪文を未使用だった割合が敗者側では多いように見えます。
 
 続いてこれらのアカキクス選手の呪文選択に対してSigma選手はどのように対応していたのかを見ていきます。

Sigma選手の対応

 こちらはアカキクス選手の呪文に対して、Sigma選手がどのように対応していたのかを示したグラフです。
 「ヒット」は攻撃魔法にSigma選手が当たった場合、「バフ・変化なし」はバフを行ったり、攻撃魔法にヒットしなかったりした場合、「選択阻止」は呪文選択中に攻撃をしてガードやジャンプなどでキャンセルさせたり、攻撃をヒットさせて呪文を選ばせなかった場合、「反撃」はバフなどを選んだ後隙に攻撃を当てた場合を示したものです。

 これを見るとLFで選択阻止や反撃の割合が明らかに増えていることがわかります。

 こちらは先ほどのグラフの選択阻止と反撃の部分だけを抽出したグラフです。LFの3試合目を除いて、呪文に対してリスク付けを行えている回数が勝者側の時の約3倍となっています。

 続いてどのように呪文選択を阻止・反撃していたのか各試合の技使用割合を見てみます。

 これらを見ると試合ごとに積極的に使っている技が異なっており、対応には3ステップがあったと推測できます。

 1試合目はNBなどの飛び道具を主体にアカキクス選手の情報収集、2試合目は低リスクに有利展開を作りやすいDAを積極的に活用し、3試合目にはSigma選手の近接の強みを活かせる下Bを活用できていることがわかります。

1試合目

 Sigma選手も機械ではないので、正しい情報を集めるためにも1試合目は飛び道具を主体にかなり時間をかけて立ち回っています。

 試合時間もWSFでは3分程度だったのが、LFの1試合目は5分以上にもなっていました。またNB,横B,下B3つの技使用割合の合計は53.5%と立ち回りに使用する技の半分以上が飛び道具と徹底した飛び道具によるリスク管理を行っていました。

 もちろんWSFでも当然横Bなどでリスク付けは行っていましたが、Sigma選手の近接の強さをより活かすためにボムと一緒に攻めて近接を仕掛けることが主軸となっていました。これはWSFでは下Bの割合が横Bよりもかなり高いことからもわかります。

 しかしいくら近接が強いとはいえ相手も最上位勢です。攻撃の届く間合いに入ったら、アカキクス選手も一方的にやられるだけではありません。近接になれば勇者の間合いになるので相手の攻撃をいなして、距離を作ってバフをして、崖展開、その後撃墜へといった流れを作っていました。

 そのため横Bと下Bに加えてLFでは回転率の高いNBもより使うことで相手の間合いの外から下Bへのリスク付けを行っていました。ただしNBは単発で終わってしまうので、よりリターンの高い横Bや下Bが主軸であることには変わりません。

 しかし飛び道具によるリスク付けだけでは勇者側はマホカンタやピオリムがあるため止まりません。マホカンタにより反射され、ピオリムにより容易に飛び道具に対して差し返しをされてしまいます。

 そこでDAや空中フックが使われます。空中フックは飛び道具ほどではないにせよ相手の間合いの外から攻撃できる技で、相手の%が高ければ受身展開で有利な状況を作れます。またDAは驚異の全体28Fという短さです。これはゲッコウガのDAと同じフレームで、ヒカリのDAよりも全体フレームが短いです。フレーム的にはガーキャンつかみや上Bが間に合いますが、全体フレームの短さからガーキャンで咎めるのも難しい技です。

 以上のようにバフのない状態では下Bや横Bに加えてNBによる相手の間合いの外からリスク付けを行い、バフ状態では飛び道具ではなく空中フックやDAといったリスクの少ない行動で呪文選択にリスク付けを行っているようでした。

2試合目・3試合目

 2試合目・3試合目では前の試合で得た情報からよりリターン得られる立ち回りをしており、2試合目ではDAを積極的に活用していました。1試合目ではバフ状態の時の対策としてDAを活用していましたが、バフ状態だけではなく通常時にもNBよりもリターンを得られるDAを用いるようになりました。
 3試合目には火力を伸ばしやすい下Bを活用しており、勝者側ではうまく活用しきれていませんでしたが、これまでの情報から下Bが通るタイミングを理解し、うまく活用できているようでした。

呪文使用時の状況

 こちらはアカキクス選手が呪文を使用する際の状況を示したグラフです。「有利状況」はアカキクス選手側が崖上の展開や、弱などで相手と距離を取った状態、「不利状況」はアカキクス選手側が復帰阻止や着地狩りをされる展開をカウントしたものです。

 これを見るとLFではアカキクス選手側が呪文を選択する際に不利状況で選択する場面が生じていることがわかります。続いて崖外に飛ばされた回数を見てみます。

 これを見ると圧倒的に崖外に飛ばされる回数が増えていることがわかります。
 これは試合を重ねたことでSigma選手がアカキクス選手側の行動を確実に読めるようになり、着地狩り展開で圧倒的な火力を稼ぐため、アカキクス選手側も何とか崖外に逃げているということではないかと推測しています。

 こちらは展開維持によって稼いだ火力を示したグラフで、棒グラフは最大火力、上の数値は稼いだ火力の中の平均値を示したものです。1コンボだけのものは除いており、着地狩りや崖展開・復帰阻止などの何かしらの有利展開を維持して稼いだものを示しています。

 このグラフから平均火力こそ大きな差は見られませんが、1ターンで稼ぐ火力の最大値に大きな違いがあることがわかります。

 また上強や空上の割合が減少していたことから上に飛ばすだけでなく崖外に飛ばすことを重視していた可能性も考えられます。

 これら以外にもルーラや崖狩りでの戻りブーメランの撃墜や、マホカンタ状態をうまく流す時間の使い方など色々とありましたが、グラフにすることはできなかったので割愛します。

まとめ

 今回は技使用割合やアカキクス選手の下Bに関する状況などからどのようにしてSigma選手がアカキクス選手に対応していたのかを分析した結果以下のことがわかりました。

1. WSFではボムを主軸に近接を仕掛けるなどをしていたのを、LFでは呪文選択に対してNB,横B,下Bなどの飛び道具でリスク付けを徹底して、呪文を簡単に選択させないようにしていました。

2. ピオリムやマホカンタなどのバフで強化された状態の時もただ逃げ回るのではなく、DAや空中フックでとにかく相手に攻撃を仕掛けていました。

3. 1ターンで一気にとてつもない火力を稼ぎつつ、DAや空中フックなどで積極的に有利展開を継続していました。

終わりに

 今回はSigma選手が西武撃#11にて見せた対応力を分析してみました。いつもとは違った分析でなかなか骨の折れる分析で下が面白かったです。最初の予想では単純に下Bの使用回数が減っているのかと思っていましたが、そんな単純なものでもない結果となり難しかったです。

 今回は分析記事だけでなく動画も作成してみましたので良ければそちらもご覧ください。

 ここまで見てくださってありがとうございました。よければ今後も最上位勢の分析を行っていく予定なのでフォローをしてくださるとうれしいです。また、何か質問やリクエスト、さらなる分析・考察がありましたらコメントをくれるとありがたいです。

集計試合

WSF(試合開始時刻より始まります)

LF(試合開始時刻より始まります)


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