tokeru

犬の恋

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裏側

きょうは朝からあなたが好きと言っていた黒いワンピースを着て出かけるのです。もちろんあなたに会いに行くために。あまり細身ではないわたしの身体が少し見えすぎてしまうこともあまり気にしなくなりました。あなたが連れて行ってくれるお店でキスをするのも随分慣れました。世間の目なんて気にすることはないということをあなたは教えてくれました。あなたはわたしの美しいところをたくさん教えてくれました。あなたはいままでであった男のひとが言わなかったようなことをたくさん言ってくれるので、なんだか幸福な

    • ソネット7

      花を探す この花か あの花か  花は 枯れたが うまく 絶望をうたえない 失われた 心のなかで失われる心 死ぬまで 書き続けるだろう なにも ないのに また花は 咲いて死ぬことさえ失う 今夜 夜空がまっしろで 綺麗 なんてことはなかった ことにしたほうがよいだろう

      • GW奇譚

        まとまった休みがあると何か予定を入れなくてはならないなどと思ったことはこのかた一度もなく、現にこのゴールデンウイークも何もない。勤め先などではゴールデンウイーク前にゴールデンウイークは何するの的な会話をしてはみるが、それを聞いたところでどうなるものでもない。ただゴールデンウイークに何をするか聞くことが世の礼儀だと思って聞いているだけである。答える方も何もないとは答えたくないのか、ない場合でも子どもが受験でとか、それっぽい理由でないことにしたがる(現にその通りなのだろうが)。

        • 読みかけの本を開くと不意にあの人にもらった栞が出てきた。岡本かの子の金魚繚乱が書かれた栞。

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          ただあなたの美しさに負けた

          ただあなたの美しさに負けた

          しゃぼん玉

          あなたの好きな しゃぼん玉が破れて あたり一面が わたしの世界になる

          しゃぼん玉

          年末について

          本当に書くことは慰みごとだとおもう。私の書くメッセージはそっけなくて冷たいけど話したら面白い人という評価だったらしいことを一昨日耳にしたが、本当につめたいというのが真実なんだよと心のなかでつぶやいていた。誰かとリアルで話せば話すほどその後の孤独は増えていく。そんなことは20年以上も前からわかっていたはずだが、それを反復することが人生なんだろうなと思って、自殺を夢見ている。会社にいろいろあって仕事にいろいろあって、他の人がやらないからますます自分のスキルがアップしているから皆さ

          年末について

          ソネット6

          淡路の駅で乗り換える頃には 魂が行き場をうしなっている 愛すべき無意味などといって 愛の半分以上が憎しみだったら あなたは喜んでくれるだろうか 踏切のない家に越して もう待つものはなくなった あなたの後ろ姿 いや 誰の後ろ姿も 見るに耐えない 私は 誰よりもはやく 歩く もっと はやく歩けるように 駅からは遠くしてある

          ソネット6

          ソネット5

          15年ぶりに引越しをして どうやら風邪をひいたらしい 掃除好きの人間というのは 世界を塵埃のかたまりと見ているのか そのうち私もゴミ箱行きになるだろう しかし皆がゴミなら ゴミ同士の連帯もあるかもしれない ゴミが連帯したところで 小さなゴミが大きなゴミになるだけだが ところでぶらさがり健康器は ゴミにしなかった この世に及んで まだぶら下がるつもりがあるのか ないのか 馬鹿なのか

          ソネット5

          ソネット4

          パンを焼く匂い などという牧歌的な殺意で朝は はじまり かつての罪も すべて なかったことにしてしまう ドトールでは 物をおくときの優しさで その人を判断してしまう コーヒーが冷たすぎて 溶けない氷が 溶けたときにまた 恨む あのとき殺してしまえば よかったのだろう しかし このパンは 焼きすぎ

          ソネット4

          ソネット3

          わたしは狂わなかった あなたも狂わなかった それでよかったとも思えない 狂えば狂っただけの 果実がえられるだろう 誰かがそのせいで 不幸の果実をえるだろう わたしは狂わず あなたも狂わず また会えばいい 正気とは 悲しみと虚しさの認識 狂いそうなその意識のなかで 日々は狂っている

          ソネット3

          ソネット2

          面倒だ が板についている 新しい帝国 新しい帝国にも冬はきて 薄着の 天使が落ちてくる 聞き飽きた アリアと アルコールはもう 飲み尽くした が 今日も同じ酒を飲むだろう 愛の告白をしたいと思った 誰に? 誰でもいい 酔いが 終わる前の喧騒で あなたをつれていきたい 一言も 口答えできない 快楽の 帝国

          ソネット2

          ソネット1

          あなたのために そっと 差し出した 手の きたならしさに 恍惚と してしまう なんのために が 聞いて呆れる そこに愛があるから などと 愛を履き違えて 愛を履き違えたから なぜか まだ立てる 終わるなら 早く 終わらないなら 永遠に どうでもいい 正午

          ソネット1

          雑念

          仕事にかまけていて 季節についてすべて忘れた 川はよどむこともなく流れず 空から鳥は落ちてこない 世界が白い音楽を奏でて 私はぶつぶつと中空を見つめている 卑劣を憎み 卑劣そのものになった 思えば幸福とはこのようなことだった 銃声が響くのは 精神の奥深くで それも何かを思い出すように 何かを忘れる 明日はきっと大きなことができるだろう 私たちは聖者 眠れば 眠るだけ尊い 私は私の王国の広いベッドで 今日も眠るだろう

          デッサン

          動かないでとあなたの背中を紙にもっと見られたいの幻想でいっぱいになって、触れたいの欲望がうずく。何処かの水色取って、散りばめて、鉛筆の尖った先でクリトリスを撫でてるんだよ。動くと痛くなるから動かないであの時計が3時になるまで。だれにきいても何もない、鳥籠の、その横のベッドの。ほらもっと開いて、描きたいとこ描くから、全部描くから。規則的に身体はうごいて心が不定形に落ちて、動物がみな笑ってる。人間て気持ち悪いね、って人生相談の結論にいまさら笑ってる。見たいよ、見たいから見せて、嫌

          デッサン

          女の要求

          女にそこでしてみてと言われると言われるがままに自分が出した体液をペニスの先に塗りつけてぬらぬらと指先で弄んだ。親指と人差し指で赤くなったそれを包み込んでゆっくりと上下に動かすと、受話器に声が漏れて女まで届いた。 「もっとしてみて。ほら、見ててあげるから。可愛い。」 静寂に声が響いている。オフィスには私しかいない。誰が入ってきてもおかしくはない場所で下半身を露わにして呼吸を荒くしている。身体が熱くて空調が効いていても身体は汗ばんでしまう。 「恥ずかしい?可愛い。私は可愛い

          女の要求