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もし人間社会がフリーSEXだったら?

私が今noteで公開しているSF小説のテーマがずばり《SEX》なので、最近までそれ関連についていろいろと考えていた。
昨今話題の『性的同意』もSEXに関するトピックのひとつだが、そのようなアレコレについて私の興味である生物進化の観点から考えたことをとりとめもなく書いてみた。

※例によって、専門家による一般的な意見ではなくどうでもいい他人の個人的な意見です。そんなのいらないって人は読まなくて大丈夫ですよ。

ポリコレ的にはSEXに至るには男女双方からの平等なアプローチがあって然るべきかもしれないが、歴史的にみても基本は男性から女性にアプローチがあってSEXが成立する場合が多いし、進化生物学的にいってもそのほうが《自然》なので、以下の話は男性が女性にアプローチするという前提に立っている。べつに私が個人的にそれが正しいと主張するとか、推奨するというわけではないので、そこはご了承ください。

それと、ポリコレ的にSEXとは異性間に限らないものだとは思うが、ここでは生物進化的な興味についての話がしたいわけなので異性間のSEXに限定するが、私が同性間のSEXは認めないとか主張しているわけではない。いちいちこういうの書くのは面倒ではあるけど、まあしょうがないのかな。

ご存知のとおりヒトはレイプをするが、レイプばかりしているわけではなく、同意をとってSEXする場合もある。世界的にみてどちらの比率が高いのかはなんとも言えない(世界じゅうの男女にSEXするときに同意があるかどうかを聞くアンケートをとってもたぶん正しい統計はとれない気がする)。

私は女性なので男性の気持ちは想像するしかないが、『女性をレイプしても法的にも社会的にも罰せられない』状態であればレイプする男性がそれなりに多いのではないかと思うが、どうだろうか?
戦争のときなどはまさにそういう状態であって、少なくとも過去の記録や現代のニュース等から考えると、戦争などの社会の混乱時にそれなりに喜んでレイプする男性は一定数いるようだし、喜んで積極的にそうしているようには見えなくても、なにかと理由をつけて結果的にそうなるようにする男性はさらに多いと思われる。

《自然》は別に男性が女性をレイプすることを禁止していないので、動物の世界にはレイプがいっぱいある。鳥類は一夫一妻制が多くつがいになるために面倒な儀式があることで有名だが、これは子育て環境が過酷で両性の協力が必要なのでそうなったと思われる。ヒトもいちおうは鳥類と似た理由で一夫一妻制を採用したと思われるが、たいていの鳥類がそうであるようにヒトの一夫一妻制もそれほど厳密にそうであるわけではなく、隙があれば女性はよりレベルの高い男性を求め、男性はより多くの女性と繁殖しようとするのが性の本質だ。
そしてその場合に女性がよりレベルの高い男性とSEXできる確率よりも男性が(わりと誰でもいい)別の女性とSEXできる確率のほうが大きい(より簡単に可能となる)ので、男性の浮気願望のほうが大きくなるのだと思われる。べつに男性が不誠実だからそうなるわけではないが、結果としては不誠実になるわけだw

浮気は双方の合意のもとで行われるが、《同意》というのもあいまいな概念だ。私はここで昨今話題の社会的な方向には踏みこまないが、進化生物学的にみると同意というのは鳥類のつがいの儀式のようなわかりやすいものを指すだけじゃなくて、研究者が観察していて『無理くり』じゃなさそうだったら同意とみなしているような感じに思える。ハッキリした同意の定義はたぶんない。
同意の定義がないなら、どこまでが同意でどこからがレイプかもはっきりしないんじゃないかという話になるし、人間社会の昨今話題の方向から考えても、そんなにクリアになることではない気がする。

たぶん、SEXにおける《同意》という概念も男女の生殖戦略のせめぎあいの上にあるものなので、それぞれの考えが違っていて当然なのだと思う。
それを社会的にどう落としこむかというのは私の興味の管轄外だが、まあ大事なことだとは思うので、皆でたくさん議論していけば良いんじゃないかなと思う。

進化生物学的にいうと、哺乳類の男性は生殖に関して限りなくコストが低く、SEX後に受精をしたとしても妊娠・出産・育児を女性に丸投げしてすぐに別の生殖活動をすることができる。
もちろんヒトの場合は社会的要素によって生殖活動が制限されるので、ここまで自由な行動はできないようになっているが、やはり哺乳類なので、男性の立場からいえばどんどんヤリ逃げして多くの女性とSEXするほうが都合が良いし、その場合に同意なんか必要ないほうが都合が良いんじゃないかと思われる。
これは男性が1個体とした場合の(主観的な)考え方で、実際には女性と同じ数(若干それ以上)の男性が存在する。その場合は《ゲーム理論》の考え方が必要になってくる。

一般的に哺乳類の場合、女性の妊娠・出産・育児コストが低い場合は女性は自分だけでそれを行うので、男性のフリー生殖活動が活発になるわけだが、その場合は男女比がほぼ1:1であるため必然的に男性同士の女性の奪いあいが発生する。するといろんな方法で男性同士が争った結果として順位が決定され、ランキング1位から順に自由な生殖活動ができるということになっていく。類人猿でいうとゴリラの状態だ。
この場合はフリー生殖にもかかわらず多数の弱者男性が生殖できないという結果になる。

チンパンジーも男性はまったく育児に参加しないのでフリー生殖に近く、実際に乱婚制である。しかしチンパンジーは群れ同士の抗争で多くのオスが死亡するし、群れ内でのランキング争いでもオスが死亡することがあるので、成体の男女比が1:2くらいになる。つまり男性の半分は男性同士の争いで死ぬ。ライオンもオスは生まれ育った群れから追い出されて1匹でサバイバルしている間に半数は死ぬので大変だ。

ようするに自然界では動物たち、特に哺乳類はフリーSEXを実践しているが、女性の同意を取る前に男性同士の抗争や生きるためのサバイバルで半分くらいが死んだり生殖から排除されて結局は男性なら誰でもSEXできるような状況にはなっていないということだ。いちいちこんなに書かなくてもNHKの『ダーウィンが来た!』か『ワイルドライフ』を見ればわかるんだけどね。
しかもそれは哺乳類の男性たちが身軽になってフリーSEXを求めた結果、ゲーム理論的に決定された状況なのだ。

ヒトの場合は成人男性が競争して半分になるほどの過酷な状況にはないが、子供を自立するまで育てる労力は他の動物にくらべてかなりの高コストで、だからこそ基本的には一夫一妻制が進化してきたようである。しかし上記のように隙あらば女性にコストを押しつけて浮気したい(それがより可能である)傾向が男性にあるとすると、そのようなさまざまな要素の結果として男性間のゆるい生殖競争がある状態だと思われる。
そして、社会の状況によってフリー繁殖を求める傾向がさまざまに規定されていく。

人間の歴史は戦争の歴史だといわれるが、それはたぶんレイプの歴史でもあると思われる。許されるなら多くの生殖につながるレイプを試みるのは上記のような過程の帰結ではないかと思われる。

念のために書いておくが、私はあくまで進化生物学的な《傾向》の話をしているので、個々の男性が《誰でも》レイプしたがっていると主張しているのではない。個々の男性で見れば浮気したくない人、レイプしたくない人、そのようなことは絶対したくない人もいて当然だと思う。女性だって繁殖のためだけに生きているという人のほうが少ないだろう。ヒトの個体には多様性があり、男もいろいろ、女もいろいろである。

あくまで《進化生物学的に理論的な行動を取る男性集団》と《進化生物学的に理論的な行動を取る女性集団》というものを仮定して考えてみる。実験したら理論値をとる物質を仮定するのと同じような意味ですが、よろしいでしょうか?

それを前提として、あくまで脳内妄想として、もしヒトの社会で《レイプ可》ということにしてみたら、どういうことになるだろうか?

その場合、男性はあちこちで女性をつかまえてレイプを試みるだろう。その場合、女性はそのへんの男性にレイプされてしまうよりも性的魅力が高い好みの男性と生殖がしたいので、そのような男性に近づいて生殖と保護を求めるだろう。しかし性的魅力がトップ1に近い男性たちに女性たちが集中してしまうと、その少数の男性たちは他の大多数の男性の集団から女性たちを守りきれない。

だからたぶん、最終的には男性を性的魅力で上から順に並べてちょうど半分からちょっと下あたりの男性(つまり過半数を超えるあたり)にすべての女性が群がって生殖と保護を求めることになるだろう。
そうすると、それ以外の男性に女性が襲われても保護を求められた男性が数で勝るので、集団で女性を守ることが可能になるだろう。男性もそれくらいの数があれば女性を保護するコストが分散されるし、生殖活動においてもやや有利に子孫を残せる(男女比が1:1よりは有利になる)ので妥協点となりえるのではないかと思われる。

ようするに、結局それが現代の人権がある社会の《法と警察》によって守られた状態ということではないだろうか?
実際には《法と警察》は法を守るほぼすべての男性が女性と生殖する一夫一妻制を認めているので、《自然の状態》よりも社会は優しい。その状態でも女性の意向によって1:1の完全な配偶関係は成立しないが、それはしょうがない。女性も男性と同じ生物個体であり、われわれは全員同じ《ゲーム理論》の駒ですから。全員仲良く争いましょうw

しかし、保護を求める女性を守るのはそれを求められる男性にとってのコストなので、戦争状態などで個人が所属する社会の外側にいると思われる場合などは、女性を守るよりも襲う側になったほうが生殖に有利になる場合があり、ヒトは無意識にそうする場合もある。
脳内ホルモンのオキシトシンは自分が所属する社会にたいする思いやりをヒトに持たせるが、所属外の相手には残忍性を発揮するのもオキシトシンらしい。そのように進化させるのは《そう計算すれば》その遺伝子が有利になって広まっていくからなのだ。
このような《計算》には複雑なパラメータがからんでいて、個人が持つ遺伝子によるパーソナリティも影響する。

ちなみにヒトが浮気するかどうかは脳内ホルモンの《ドーパミン》と《バソプレシン》の量で決まる……と言いたいところだが、まだそこまで言いきるほどの研究結果は出ていない。

ちょっとまとめきれてない感じになりましたが、よければ上記のようなSEXについての私の小説も読んでみてください!

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